ユーロを採用した国にとって、ユーロは、本書で述べてきた意味における主権通貨ではない。それは、あたかも外貨を採用したようなもの、米ドルに基づくカレンシー・ボード制を選択している国の「ドル化」のようなものである。
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。
こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事注釈で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。
当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。
目次
新シリーズ「ユーロの欠陥」
続きまして、"夢の共通通貨"ユーロの解説を「ユーロの欠陥」ということでシリーズものでやっていこうと思います。
( ゚д゚)<よろしゅう!
シリーズ1本目の本記事では、このユーロの基本的な仕組みを見ていきましょう。
まずはざっくりと
( ゚д゚)<ユーロてフランスとかドイツとかのヨーロッパで使われとる通貨のことやんな?
(´・ω・ `)<"通貨"ってのは正確じゃないな。"計算貨幣"やな。
( ゚д゚)<こまけえのう。
(´・ω・ `)<すまんの。
( ゚д゚)<ええんやで。
ユーロはEU加盟国27ヵ国のうち19ヵ国の政府が共同して利用している計算貨幣です。政府がユーロ建てで徴税を行えば、[5-2]のとおり、租税は貨幣を動かしますので、この19ヵ国では、民間部門もユーロ建てで経済活動が行われています。
( ゚д゚)<ほんほん。EU加盟国=ユーロ使用国ってわけじゃないんか。でも、ドイツ、フランス、イタリア…主要なEU加盟国は、だいたいユーロを使っとるみたいやな。
(´・ω・ `)<ちょっと前まではイギリスっていう例外(主要なEU加盟国でユーロ不使用)があったけど、脱退したけー、その感覚でええと思うで。
( ゚д゚)<んで、このアイルランドからルクセンブルクまでの19ヵ国が仲良く共通の計算貨幣建てで経済活動をやってく、と。
(´・ω・ `)<そういうことや。
( ゚д゚)<そんだけ?
(´・ω・ `)<もいっこ大事なポイントがある。ヨーロッパ中央銀行(ECB, European Central Bank)を作ったことや。日本でいう日本銀行みたいなもんやな。ユーロ使用国は、金融政策の権限をECBに全部移譲して、独自の金融政策っちゅうのは放棄しとる。
( ゚д゚)<金融政策て何やったっけ?
(´・ω・ `)<だいぶ前のことじゃけー、忘れてもうたか。[3-6]でやったやつや。買いオペ・売りオペで翌日物金利を操作することよ。
( ゚д゚)<ほんほん。じゃあ、ドイツ銀行とかフランス銀行とかは無くしてもうたんか?
(´・ω・ `)<いや、あるよ。あるけど、ECBのドイツ支店とかフランス支店みたいな立ち位置やな。日銀みたいに買いオペとか紙幣発行とかはやらへん。政府と銀行の預金管理とか振込決済とかの事務処理をやるだけや。
( ゚д゚)<ほんほんほん・・・ほん?よー分からんな。
(´・ω・ `)<せやろ。とりあえず、ここまでのとこでは、↓このくらいが頭に入っとけばええわ。
- ユーロは、EU加盟27ヵ国のうちドイツやフランス等の主要な19ヵ国が共通で使用している計算貨幣である。
- ユーロ使用国は、共通の中央銀行(ECB)を持っている。各国は金融政策をECBに委任していて、それぞれ独自の金融政策は放棄している。但し、預金管理や振込決済等の事務処理業務は、元々あったフランス銀行等の旧中央銀行に残されている。
ユーロとはユーロ化のこと
そもそも、このユーロという仕組みを簡単に言ってしまうと、「ユーロ化」です。
例えば、南米のエクアドルでは、政府は独自の計算貨幣の通貨を発行していません。じゃあどうやって経済を回しているかというと、アメリカで発行されて、国内に流入してきた米ドルを自国通貨として使用して経済を回しています。こういうシステムを"ドル化"といいます。
また、香港では、香港政府が独自通貨(香港ドル)を発行しているものの、同時に政府が香港ドルと米ドルを一定のレートで交換することを約束していて、政府はその約束が確実に果たせる範囲内(外貨準備の範囲内)でしか香港ドルを発行しません。こういうシステムを"カレンシーボード"といいます。もちろんこれは固定相場制の一種です。
この両者は、細かい違いはありますが、実質は同じ仕組みです。
エクアドル政府は、独自通貨と米ドルとの交換レートを1:1と約束しつつ、"どうせ等価なんだから"、と独自通貨を発行する手間を省いているに過ぎず、ドル化も固定相場制の一種です。「なぜ香港政府は手間を省かないのか」と思うかもしれませんが、カレンシーボードには外貨準備を運用に回して増やせる(かもしれない)というメリットがあります。一長一短です。
で、ユーロ使用国のドイツやフランスが何をしているかと言うと、要するに、エクアドルがアメリカで発行された米ドルを自国通貨として利用しているのと同じように、ECBが発行したユーロを自国通貨として使用しているわけです。つまり、ドル化ならぬ「ユーロ化」ですね。
( ゚д゚)<ドイツとかフランスが元々持っとった主権通貨を捨てて、エクアドルの真似しとるってこと?
(´・ω・ `)<まあ、だいたいそんな感じや。
( ゚д゚)<なんでそんなクレイジーなことするん?
(´・ω・ `)<せやな。先にその話に行こか。
ユーロが創設された理由
理由その1-戦争防止
ユーロが創設された第一の理由は、戦争防止です。
( ゚д゚)<なんでみんなで主権通貨を捨てたら戦争防止になるねんな。
(´・ω・ `)<んとな。↓こんな理屈や。
(゚⊿゚)<やっと第二次世界大戦が終わったぞ!ヨーロッパでもう二度とこんな戦争を起こしてはいけない!
(゚⊿゚)<そもそも国家がいくつもあるから戦争が起きるんだ!
(゚⊿゚)<よし!ヨーロッパを1つの国家に統合しよう!
(゚⊿゚)<1つの国家に統合するために、できることからやっていこう!小さなことからコツコツと!さしあたり、通貨を1つに統合してみようか!ヨーロッパは通貨を1つにまとめた方が経済効率が良くなるっていう経済学者もおったしな!ところで「経済効率」ってなんじゃらほい!
理由その2-"ユーロ圏"を作る
ユーロが創設されたもう一つの理由は、"ユーロ圏"を作ることでした。
ユーロが作られた当時、世界のGDPランキングは、アメリカがダントツ1位で、日本がそれに次いで2位、3位以下はどんぐりの背比べでした。
( ゚д゚)<それがどうした。
(´・ω・ `)<そこでEUさんは↓こう考えたんや。
(゚⊿゚)<こちらのグラフをご覧ください。目下のところ、ヨーロッパ各国は「その他大勢」に甘んじているように見えるかもしれません。ところが、ここでEU加盟国を合計してみましょう。すると、日本の2倍くらい、アメリカと肩並べるくらいになります。
(゚⊿゚)<だから、EU加盟国の通貨をユーロに統一することで"ユーロ圏"という新しい言葉を作ります。
(゚⊿゚)<そうすると、我らヨーロッパは"ユーロ圏"として、アメリカとともに世界の二大巨頭の地位に立ち、かつての栄光を取り戻すことができるのであります!
( ゚д゚)<おい。
(´・ω・ `)<なんや。
( ゚д゚)<きみな、ぼくをバカにするのもたいがいにせなあかんで。
(´・ω・ `)<なによ。バカになんかしとらんよ。
( ゚д゚)<こんなクソくだらん理由で主権通貨を捨てるアホがおるかいな。
(´・ω・ `)<それがおったんよ。むしろこれが当たり前くらいの勢いやったんよ。たぶん主権通貨の意味を理解しとらんかったんやろ。てか、いまでも理解しとらんと思うで。
( ゚д゚)<そんなもんか。
(´・ω・ `)<そんなもんや。
"なぜヨーロッパの先進国がこぞって主権通貨を捨ててユーロに飛びついたのか"に対する答えは、言葉を選ばずに言うと、"バカだったから"なんだと思います。
なので、仕組みや制度の解説をするときは、その趣旨から話を始めていくスタイルが分かりやすくて私好みなんですが、ユーロの解説では、そもそもの目的がトンチンカンなので、それが叶いません。
ということで、なかなか厄介なことになりそうなこの『ユーロの欠陥』シリーズですが、がんばっていきたいと思います。
(`・ω・´)<よろしゅう!
参考記事:
ユーロの歴史を解説【ヨーロッパ中で使われる通貨の誕生から現在まで】 | お金の窓口
おまけ
『( ゚д゚)<1ドルは1ドルです。以上』
— 黄昏のタロ (@taro_tasogare) March 25, 2021
(。・_・。)ノ エッセンスが詰まりまくった一言。詳しくは記事で。
(。・_・。)ノ☕ 濃厚だから、コーヒー・紅茶を用意して、のーんびり読むです。
※彼らに名前を付けてあげたくなるです。「ポンジー兄弟」辺りはどーですか? https://t.co/qwsb0aQKOk
日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。
私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^
応援コメント、指摘コメント、お待ちしております!当ブログの拡散も大歓迎です!
よろしくお願いします!