本記事は旧版です。
本記事を書き直したver.2がございます。
内容は変わりませんが、こちらの方が見やすくなっていると思いますので、ver.2の方をご覧ください。
まずは複式簿記を掴んでください
当ブログでは、お金の動きを複式簿記の方式で説明しますので、これを理解していただかないとチンプンカンプンになると思いますから、ぜひともご一読ください。
複式?
"複式"というからには"単式"もあります。
単式簿記というのは、いわゆる普通のおこづかい帳とか家計簿の書き方です。
お金がいくら増えたか・減ったか、その理由と金額を記録します。
一方、複式簿記は帳簿のプロが使う記録方式です。下図のとおり、お金の動きに関する情報をストック・フローの2つの大分類に分けて、ストックを資産・負債・純資産の3つに、フローを費用・収益の2つの中分類、さらにそれぞれを具体的な小分類に細分化して、1つ1つの取引を記録します。
※小分類を"勘定科目"または"科目"と呼びます。
このとき、あらゆる取引は2面性があるので、その両方を記録するのが複式簿記の特徴です。
言葉だけで説明すると難しそうですね。
百聞は一見にしかず
例)100万円の給与収入があり、そこから30万円を引き出して、家賃30万円を現金で支払った。
これを単式・複式、それぞれの書き方で示すと次のようになります。
単式:
給与収入(預金口座振込) +100万円
【現金引き出し(30万円)】
家賃支払(現金払い) -30万円
複式:
預金(資産)|給与(収益) 100万円
現金(資産)|預金(資産) 30万円
家賃(費用)|現金(資産) 30万円
なんとなく雰囲気は掴めたでしょうか?
○|○ ●円
これが基本のフォーマットで、左の○を"借方"(カリカタ)、右の○を"貸方"(カシカタ)と言い、両方合わせて貸借(タイシャク)と呼びます。
借方と貸方のそれぞれに適切な勘定科目を書き込み、金額を書き込むという方式です。
なぜ"借方貸方"と呼ぶのか?江戸時代の商人の慣習がどうのこうのみたいな理由らしいのですが、気にしてもしょうがないので、丸暗記してください。
100万円 預金|給与 100万円 のように貸借両側に金額を書くのが正しい作法らしいのですが、どうせ同じ金額ですから、意味が無いので、私は1つだけ書きます。企業合併とかのれん勘定とか出てくるようなややハイレベルなやつだと両側に書いた方が分かりやすかったりしますが、MMT解説でそのレベルの簿記が出てくることは絶対にありません。
ちなみに、この記録の一つ一つを"仕訳"と呼びます。
取引の2面性
"給与収入100万円"は預金の100万円増加であり、同時に給与収入100万円の発生でもあります。仕訳は次のとおり。
預金|給与 100万円
"30万円引き出し"は現金30万円増加・預金30万円減少が同時に生じています。仕訳は次のとおり。
現金|預金 30万円
"30万円家賃支払"は現金30万円減少・家賃費用30万円が同時に生じています。仕訳は次のとおり。
家賃|現金 30万円
このようにあらゆる取引には2つの側面があり、それが同時に生じます。その両方で捉えないと正確に内容を記録できません。
2つの大分類と5つの中分類
お金の動きの情報はストック情報とフロー情報に大別できます。ストックは資産・負債・純資産に、フローは費用・収益に分かれます。
ストック情報
ストック情報とは資産(現金預金等)と負債(借入金等)で、その差額は純資産と呼びます(負債の方が多いときは"純負債"と呼ぶこともあります)。
ストック情報を整理すれば、"お金がいまいくらあるのか、その内訳はどうなっているか"が分かります。
ここで資産は増えたら借方に、負債と純資産は逆で増えたら貸方に書く決まりになっています。減ったときは、それぞれ逆側に書きます。
なぜ資産は増が借方で、負債は逆なのか?これはそういう決めごとです。これも丸暗記してください。
例1:現金を銀行口座へ入金
→現金(資産)が減って、預金(資産)が増えた
→(借)預金|(貸)現金 ●円
例2:現金でお金を借りた
→現金(資産)が増えて、借入金(負債)も増えた
→(借)現金|(貸)借入金 ●円
フロー情報
フロー情報とは費用と収益です。
フロー情報を整理すれば、"一定期間のうちに外部とお金をいくらやり取りしたのか"が分かります。
ここで費用は発生したら借方に、収益は逆で発生したら貸方に書きます。取り消されたときは、それぞれ逆側に書きます。
例3:家賃を現金で支払った
→家賃(費用)が発生して、現金(資産)が減った
→(借)家賃|(貸)現金
例4:給与が銀行口座に振り込まれた
→給与(収益)が発生して、預金(資産)が増えた
→(借)預金|(貸)給与
例5:買った食品を返品して、代金が現金で返ってきた
→食費(費用)が取消、現金(資産)が増えた
→(借)現金|(貸)食費
ストックの合計はある瞬間の情報、フローの合計は一定期間の情報
ストック情報を合計して分かるのは、お金が"ある時点でいくらあるのか"です。
一方、フロー情報を合計して、収益から費用を差し引いて分かるのはお金が"ある期間でいくら純資産が増えたか(または減ったか)"です。
しつこいようですが、さっきの例で各科目ごとに合計してみると、
- 預金(資産)|給与(収益) 100万円
- 現金(資産)|預金(資産) 30万円
- 家賃(費用)|現金(資産) 30万円
- 預金(資産):1で+100,2で-30→70
- 現金(資産):2で+30,3で-30→0
- 給与(収益):1で+100→100
- 家賃(費用):3で+30→30
ストックの合計は預金が+70、現金は±0、さらに言うと資産と負債の差額(純資産)が+70になっています。
フローの合計は給与が+100、家賃が+30、収益から費用を差し引くと+70の利益が出たことが分かり、これはストックの合計で出た純資産の+70と一致しています。
これは必ず一致します。よくできとるもんだと感心します。
なぜ複式簿記を使うのか
理由は次の2つです。
- 簡単に必要十分な情報を記述できて便利
- 仕訳同士を合計することができて便利
上記のとおり、単式で取引の両面を記録しようとすると文章で書いたり、カッコ書きを駆使したり、たいへんなんですが、複式なら簡単・正確・綺麗に取引を記述できます。
また、既に見たとおり、仕訳を合計していけば、"結局全体としてどうなったのか"が簡単に分かります。単式簿記だと、こういうことはできません、
ただ、書き方を理解してない人にとっては意味不明という問題があります。
ですので、ぜひ、ここで複式簿記の仕組みを理解しておいてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^
最後に、ふくしままさゆき氏のこちらの動画を見ていただければ、おさらいはバッチリです。
全部見なくても27:00あたりまでで大丈夫です。
それでは、本日ここまで。