要約すれば、政府が支出すると、誰かの銀行預金と銀行の準備預金に同時に振込がなされる。課税の場合はその反対で、銀行預金と準備預金から同時に引落としがなされる。国債の売却は、銀行の準備預金からの引落としで決済される。
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。
目次
財政に関する仕訳を見てみよう
政府の財政政策には、細かいことを言い出せばそれこそ無限のパターンがありますが、大きな視点で捉えれば、つまるところは次の2つ(4パターン)です。
- 徴税を増やすor減らす
- 政府支出を増やすor減らす
政府がどーゆー財政政策をすると、どこにどんな影響が出て、それが結局はどういった変化をもたらすか、みたいなのを考える前に、仕訳を確認しておきたいと思います。急がずゆっくりいきましょう。
まずは、徴税と政府支出の仕訳を説明して、ついでに、政府の財政政策には国債が大きく関係してきますので、国債の発行と償還(返済)の仕訳も見ていきます。
徴税・政府支出の仕訳
徴税
当たり前ですが、これは過去記事[3-3.銀行の役割 その3 (引出・振込・納税)]で解説した銀行の納税仲介と全く同じ仕訳です。政府の資産(日銀預金)が増えて、企業・家計の資産(銀行預金)が減るわけですが、その仲介をした銀行の資産(日銀預金)と負債(銀行預金)も減っている点に注意してください。
政府支出
政府の資産(日銀預金)が減って、企業・家計の銀行預金が増えます。
当たり前だと思うでしょう?でも、財務大臣さんはこれを理解してないみたいです。これを理解してないってことは徴税すると企業・家計の預金が減ることも理解してないかもしれません。いやまさかね・・・
"ネットの声"とやらも理解してないみたいで、そこがさらに気が滅入るわけですけど・・・
さて、今度は徴税のときとは逆に、仲介をした銀行の資産(日銀預金)と負債(銀行預金)が増えています。
さらに言うと、その他の部分も何から何まで、徴税と政府支出は逆の動きになっています。それぞれの合計を並べてみると、このとおりです。
徴税と政府支出って素朴な感覚だと、別次元に思えてしまいますが、実はこの2つはセットで対を成しています。
財政政策のキモ
徴税と政府支出は真反対ですから、徴税を増やすのと、政府支出を減らすのは本質的には同じことです。
で、徴税を増やすと政府の収益が増えて、政府収支が黒字に傾きます。徴税を減らせば赤字化します。政府支出を増やすと費用が増えて赤字化し、減らせば黒字化します。
但し、支出は政府が決めたとおりに増やすことができますが、税収は税率を上げれば上げただけ増えるとは限らないことには注意が必要です。
つまり、財政政策というものは、突き詰めると、"政府収支を黒字にするか、赤字にするか、黒字(or赤字)にするならば、どのくらいの額にするのか"というものであるわけです。
国債の発行と償還の仕訳
国債の発行
"貨幣は資産|負債の取引の記録"ですので、資産|負債の仕訳があるところには必ず貨幣発行があるわけですが、国債発行のプロセスには政府に 資産|負債 の仕訳がありますので、貨幣が発行されています。ここで発行されている貨幣は国債です。よって、国債は貨幣の一種であり、政府が発行する貨幣ですから"通貨"の一種でもあります。詳しくはこちらの過去記事参照のこと。
ちょっと脱線しますが、
国債発行のプロセスでは、銀行の日銀預金が減り、その分だけ政府の日銀預金が増えます。これはこういうふうに理解できます。
ここで、銀行にとっては、国債も日銀預金も金融資産であることには変わりありません。但し、銀行にとっての国債と日銀預金はこんな違いがあります。
国債の償還
それでは本日ここまで。
おまけ
本日のおまけは独り言です。
ネットニュースでもテレビのニュースでも、最近よく「ネットの声」なるものが紹介されますけど 、あの手口にすごい嫌悪感があります。違和感じゃないです。嫌悪感です。すごく嫌な気持ちになります。
ネットの声って、それこそいろんな意見があるわけで、それの中から自分の主張とか立場に都合いいのをピックアップしただけですよね、あれ。
それを「こんなのもありました。」なら百歩譲ってまだマシですけど、だいたいは「みんなこう言ってます」の体で出てるのがね。もうほんときもい。自分の意見があるなら堂々と言いなよ。やり方が卑怯っちゅうか、こすいっていう言葉がぴったりくる。
あーもー、やーねー。やだわー。もーほんとにいや。
日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。
私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^
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