ここで、現在流通している国債は、政府による過去の財政赤字の結果として発行されたものなので、国債購入に必要な準備預金残高は間違いなく、過去の政府赤字やFRBの非政府部門に対する貸出の結果である。
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。
目次
仕訳集
[3-1]から[3-6]まで、たくさんの仕訳が出てきました。
いいかげん訳が分からなくなっていると思いますので、ここらでまとめておきましょう。
わあ、すごい。たくさんありますね。
ついでなので、リンク集みたいにしておきます。
- 現金預け入れ [3-1]
- 銀行融資 [3-2]
- 現金引き出し [3-3]
- 他行振込 [3-3]
- 納税 [3-3]
- 徴税 [3-5]
- 日銀借り入れ [3-4]
- 銀行間貸借 [3-4]
- 政府支出 [3-5]
- 国債発行 [3-5]
- 国債償還 [3-5]
- 買いオペ [3-6]
- 売りオペ [3-6]
仕訳集の使い方
仕訳集はいろんなプロセスの仕訳の合計のところをかき集めたものですが、これをさらに合計して使うことができます。
この、"全部を合計することで、結局どうなったのかが簡単に分かる"、というのが複式簿記の真骨頂です。
国債発行+政府支出+買いオペ
例えば、「政府が国債を発行して、財政支出をしました。国債は後で日銀が買いオペをしました。さて、銀行の日銀預金は増えるでしょうか?減るでしょうか?」
これにパッと何も見ずに答えられたら大したもんです。
そこで仕訳集の出番です。仕訳集から国債発行と政府支出と買いオペを抜き出して、合計すると・・・
徴税+国債償還
貨幣はどこで生まれるのか
日本円建てで存在している貨幣にはいろんな種類がありますが、このブログのテーマはマクロ経済ですので、重要なのは次の4つです。
- 銀行預金
- 日銀預金
- 国債
- 現金(紙幣)
どこかで誰かが作ってるはず
ある会社員が毎月、自分の銀行口座に給与を支給されてたとします。さて、その振り込まれた給与はどこからやって来たのでしょうか?
勤め先の会社の売上ですよね。じゃあ、その売上はどこから?会社の顧客の所得から?じゃあ、その顧客の所得はどこから?
このどこからどこからゲームは、一見するとキリが無いようですが、いつかは必ず終わるはずです。だって、貨幣の総量は全種類が毎年毎年いまでも増え続けていますから。
見づらいですが現金紙幣も少しずつ増えてます。
いま世の中にあるカネがぐるぐる回ってるだけなんだったら、ほんとにキリが無い可能性がありますが、貨幣総量が増えてるっちゅうことは、どこかで誰かが貨幣を作ってるんです。
そうでなきゃ辻褄が合いません。
なぜこの問いが重要か
この問いは、仕訳集を分析することで答えが見えてきますが、それは次回にして、この問いに対する間違いの代表例が2つありますので、今回記事ではそれを解説します。
「貨幣がどこで生まれるか」がなぜ重要なのかは、その2つの間違いがどういうクレイジー政策につながっているかを知れば分かると思います。
付加価値説
「仕事によって付加価値が創出されて、それが売上として具体化されるときに貨幣が増える。」という説です。
少々分かりにくいですよね。まあ間違ってるんで、ピンとこないのは当たり前なんですけどね。これは例えば、100円で原材料を仕入れて、加工して製品を作って、200円で売れたら、100円の付加価値が生まれる、というような感じです。だからその200円はどこから来たんかって聞いとんのよ、っちゅう話で答えになってないんですけどね。
この説が正しければ、みんなが一生懸命仕事をすれば、みんなが黒字になれるはずですが、それが不可能なことは[1-4](マクロ会計の恒等式)で解説したとおりです。
というわけで、これは完全な間違いなわけですが、これをこじらすと、こうなります。
がんばれば黒字になる→がんばってないと赤字になる→赤字は怠け者の証拠! 黒字はえらい!ユニクロが過去最高益だって!?すごい!ユニクロ最高!日本の誇り!お控えなすって!え?なんだって?給与とかのコストカットしただけ?株主配当が増えただけで、きみにとっては1円の得にもなってないよだって?ユニクロの社員の給与が減った分、世の中の消費が減って、むしろきみの所得減ってるよ?やかましいわ。ひがむな貧乏人が。わしの所得は減っとらんわ!20年前からずっと同じや!
挙句の果てには「大阪市をこんなに黒字化させました!(=大阪市民をこんなに貧困化させました!)」とかいう何の自慢にもなってないことを"改革実績"なんつってアピールしてしまい(デマかもしれませんが)、「もっともっと市民を貧乏にしよう!」とかいうワンダーランドに突入してしまうわけです。
外貨説
「輸出等で外国からカネを得たときに貨幣が増える。」という説です。だからその外国のカネはどこから来たんかって聞いとんのよ、っちゅう話でこれも答えになってません。
この説が正しければ、外貨を獲得できなければ、日本は経済成長できないということになりますので、とにかく大事なのは"国際競争力"つまり、いかに日本の財・サービスを外国に買ってもらうか、ということになります。
ここで、ガツンと投資して供給能力を高めて、良い製品で勝負するってぇならまだマシなんですが・・・政府と経団連が取った方策は、「コストカットして安売り」でした。結局は同じことです。日本人の所得は20年前から全く増えていません。
さらに悪いことに、誰が言い出したか知りませんが、最近では"インバウンド"で外貨を稼ごう、とかいうのも現れました。
日本の美しい景色や文化をエサにしてカネを落としてもらおう、というわけです。これなら簡単に外貨が稼げます。今まで先人たちが築き上げてくれた財産を切り売りするだけですから。もうね、ほんと情けない・・・いや、外国の人たちに観光に来てもらうのは悪いことじゃないんですよ。ただね、これで「日本経済を浮上させる」とか総理大臣に言われちゃうと、いやー、ちょっとしんどいな。
おまけ
先日、座右の銘を決めました。
「分かりません。間違いました。ごめんなさい。」
詳しいことは控えますが、これが言えなくなったら、人間としての成長が終わるんだなあって実感する出来事があったもので。
日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。
私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^
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