経理屋が読み解く『MMT入門』

『MMT入門』(L・ランダル・レイ,2019,東洋経済新報社)をベースにMMTを解説します。ときには自分の思うところを書き綴ったり。

4-1.基本的な原則

上記の原則は、政府は無制限に支出すべきだという意味ではないことに注意しよう。同様に、政府は自国通貨建てで売られているものなら何でも「購入する能力がある」という言説は、自国通貨建てで売られているものなら何でも購入すべきだという意味ではない。

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当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。 

xbtomoki.hatenablog.com

  

当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。

MMT現代貨幣理論入門

MMT現代貨幣理論入門

 

 

目次 

 

貨幣とは

第4章を始めるにあたって、まずは繰り返しになりますが、貨幣とは何かを確認しておきましょう。

貨幣とは、【資産|負債】の取引の記録です。その発行者にとっては金融負債であり、その所有者にとっては金融資産です。

貨幣の本質は、【資産|負債】の取引によって発行者が負債を負ったという情報です。つまり、貨幣とはデータであって、モノではありません。端的に言えば、1万円札は貨幣ではなく、1万円札に書かれてある情報が貨幣なのです。

 

貨幣発行者に関する基本的な原則

現代の日本経済における主要な貨幣は、国債(政府発行の負債)、日銀預金・現金紙幣(日銀発行の負債)銀行預金(銀行発行の負債)の4つです。

それぞれの発行者である政府・日銀・市中銀行には、以下の原則が当てはまります。

  1. 政府は、貨幣の計算単位を決定し、その計算単位によって課税する。[2-1]
  2. 政府の支払方法は、保有している貨幣を譲り渡すというものではない。政府は、新しく貨幣を発行して、支払先に付与するという方法によって支払を行う。
  3. 政府は、自身が決定した計算単位建て(自国通貨建て)で売られているものであれば、いくらでも購入することができる。
  4. 政府と企業・家計との間の貨幣のやりとりは、銀行の仲介のおかげで成り立っている。[3-5]
  5. 政府支出のプロセスでは、日銀当座預金と銀行預金が増える。[3-5]
  6. 日銀は、翌日物金利をコントロールできる。[3-6]

1・4~6は、いままでに説明した内容です。それぞれのリンクを末尾に付けておきました。

2・3は、新しい命題です。勘のいい方なら、いままでの内容から類推できるかもしれませんが、私は初見では全然できなかったので、次回以降の記事で説明していこうと思います。

 

貨幣発行者に関するよくある誤解

続いては、政府・日銀・市中銀行には当てはまらないのに、なぜか浸透しちゃってる誤解を羅列していきます。

なぜかっていうか、なぜかは分かっとんですけどね。

池上彰さんとか橋下徹さんとか竹中平蔵さんとか小林慶一郎さんとかアトキンソンさんとか山口真由さんとか藤巻健史さんとか小黒一正さんとか辛坊治郎さんとか土居丈朗さんとか麻生太郎さんとか高橋洋一さんとか・・・

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彼らが何度も何度もテレビで言い続けて、国民をマインドコントロールしてくれちゃってるからですね。

 

さて、もとい、よくある誤解を羅列していきます。

これらは全て事実ではありません。

  • 政府は、企業や家計と同じく、徴税や借入によって貨幣を調達して、支払をする。
  • 政府は、事前に貨幣を調達できなければ、支払ができない。
  • 政府の財政赤字は、金利を上げる。
  • 政府の財政赤字は、民間の貯蓄を減らす。
  • 政府の財政赤字は、民間の投資を減らす。
  • 政府の財政赤字は、民間を市場から締め出す。(クラウディングアウト)
  • 政府の財政赤字は、将来世代にツケを残す。そうならないように、政府は増税と歳出削減に努めなければならない。
  • 政府の財政赤字は、国の借金である。これが増えると、政府はより多くの元本返済と利息支払を迫られるため、増税を避けられなくなる。
  • クニノシャッキンガー!仲間達はどうした!力を合わせることも出来ない弱き者達に生きていく資格など掴みとれるものか!滅びの悪魔よ、去れぇぇぇ!

 

いくらでも購入すべきだという意味ではない

当たり前ですが、

基本的な原則の「3.政府は、自身が決定した計算単位建て(自国通貨建て)で売られているものであれば、いくらでも購入することができる。」は、いくらでも購入するべきだ、という意味ではありません。

"じゃあ政府はいくらまで購入するべきなのか"とか、詳しいことは後々説明していきますが、とりあえずここでは、政府の購入が多すぎる場合に考えられる影響を書き出すだけにとどめておきます。

  • インフレが起きる。
  • 通貨の為替レートが下がる(円安になる)。

政府の購入が少なすぎれば、この逆の影響が生じる可能性があります。

 

 
それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

本日のおまけは動画紹介です。 


こどもの未来を変える❗️テレビ新聞政府の【消費税のウソ】を三橋貴明先生がカンッペキに暴きます。こども経済教室vol.4。税金の真実。消費税賛成の人を説き伏せ消費税撤廃に導けるようになります。

 

こちらの動画、メインテーマは"消費税の問題点"で、なぜ消費税は廃止するべきなのかが説明されています。

もちろんその意味でも拡散したいのですが、その前置きとして、そもそもの「税とは何か」がしっかり説明されていますので、よくある"税は財源じゃないなら、税金はいらねぇってことかい?"っていうイチャモンは「これ見て」で返しちゃってください。

私も"税とは何か"の記事を書こうかな・・・

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

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