本記事は、MMT解説ではありません。
思うところを[番外]ということで記事にしてみた次第です。
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。
こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。
本記事における税制の説明はこちらのwebページで公開されているPDFの内容に基づいています。
目次
本日のお題
前回までで、これらの説明をしてきました。
( ゚д゚)<前回のあらすじ~
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(´・ω・ `)<仕入税額控除とは、これこれこういう仕組みです。
( ゚д゚)<これ、くそややこいの。いったいこれで何がしたいん?
(´・ω・ `)<分かりません。次回までに調べて参ります。
( ゚д゚)<そか。はよしてな。
(´・ω・ `)<申し訳ございません。
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( ゚д゚)<てな感じやったな。
(´・ω・ `)<あとの方がちょっと違うな。
( ゚д゚)<ちょっとくらいならええやんけ。ケチくせえの。
(´・ω・ `)<んー・・・まあええわ。やってこか。
ということで、本日はこれをやっていきましょう。
【仕入税額控除の狙いは何か】
(´・ω・ `)<よろしゅうな。言っとくけど、今日の話もめちゃんこややこいで。
( ゚д゚)<そか。まあお手柔らかに頼むわ。
(´・ω・ `)<ういー。
前回の復習
まずは前回の内容をざっと復習しておきましょう。
①事業者は、この↓フローに従って仕入税額控除の計算方式を選択します。
②それぞれの計算方式の内容は、この↓ようになっています。
③以上で計算した《仕入税額控除》と、前々回説明した《消費税額》を差し引きして、消費税の納付税額が決まります。
差引してマイナス(消費税額より仕入税額控除の方が大きい)の場合は、事業者が納付するのではなく、逆に政府が事業者に消費税を支払うことになります。
仕入税額控除のコンセプト
それでは、仕入税額控除が【どういったコンセプトに基づいて考えられた仕組みなのか】というところを見ていきます。
なお、これは"政府がそういうふうな想定をしているだけ"であって、民間部門で実際にこういう仕組みや考え方に従って価格転嫁が行われている、というわけではないことにご注意ください。
雪だるま式の価格膨張を防ぐ
まずはじめに、消費税が存在しない世界を想定して、事業者が100円で仕入れて150円で売り、50円の利益を得ようとしているとします。
このときの販売価格【150円】を算出する過程は、こう↓なっています。
ここに消費税(10%)が生まれると、事業者は元の利益(50円)をキープするために15円の値上げ(価格転嫁)をします。
ところが、実際には、消費税を課税されるのは事業者だけではありません。仕入先だって消費税を課税されますから、仕入先も価格転嫁をします。すると、元の利益(50円)をキープするには、値上げ幅は15円では足りなくて、26円の値上げが必要になります。
仕入先A→事業者→消費者くらいなら、このくらいの金額で済みますが、A→B→C→D→事業者→消費者のようにいくつもこれが連なっていた場合はどうなるかというと、
このように、10%だったはずの消費税が消費者のところに届くときには38%〔=(414-300)/300〕になってしまいます。
この雪だるま式の価格膨張を防いで、消費者に転嫁される負担を税率どおり、"本体価格"の10%にする、つまり最終の消費者への販売をする事業者の値上げ幅を元の価格の10%だけにさせるのが仕入税額控除の狙いです。
価格転嫁に価格転嫁が乗ってしまう
なぜ雪だるまが生まれてしまうのかと言うと、計算式の【×110%】の部分が消費税の価格転嫁なんですが、これが仕入先の価格転嫁に乗ってしまっていることが原因です。
これを回避するには、各事業者に仕入額から仕入先の価格転嫁を除いて販売価格の設定をしてもらう必要があります。そうすれば、価格転嫁に価格転嫁が乗らなくなるので、雪だるまが発生しません。
(´・ω・ `)<要するに…こう書けば分かるかな。
( ゚д゚)<ああ、そゆこと。でもさ、「仕入額は税抜価格を想定してください。」とかいくら言われても、実際には価格転嫁されとるわけじゃん。事業者は、そんなん大人しゅう聞いてくれるん?
(´・ω・ `)<そこで仕入税額控除が出てくるわけや。
仕入先の価格転嫁分をバックする
(゚⊿゚)<事業者さん、仕入額のうちの価格転嫁分は、政府が事業者にバックするから、"税抜価格で仕入れた"ものとして、販売価格を設定してちょんまげ。
というのが仕入税額控除のコンセプトであり、その狙いは、【最終消費者に転嫁される消費税負担を〔"本体価格"×10%〕だけにすること】です。
仕入先が価格転嫁した10円は、事業者→仕入先→政府→事業者と元に戻るので、事業者は、仕入額から消費税分を差し引いて消費者への販売価格を設定しても利益がキープされます。
消費税分の流れだけを図にするとこんな↓感じです。
非課税売上対応の仕入を除外する理由
( ゚д゚)<前回の個別対応方式ってやつで、「非課税売上に対応する仕入は、仕入税額控除の対象から除外して、どっちか分からんのは課税売上割合の分だけ控除対象にする」ってのがあったやん?
( ゚д゚)<これ、なんでなん。
(´・ω・ `)<たぶん、大した理由は無いっていうか、ただ「つじつまが合わなくなるから」ってだけやと思う。
例えば、土木屋さんに販売用土地の造成を発注して、その土地を消費者に販売した場合、土地の売買は非課税取引なのですが、造成工事は10%課税取引なので、このような↓構図になります。
土木屋さんの消費税10円を最終的に負担しているのは消費者です。
ここで、事業者の仕入税額控除を認めると、消費者が負担した10円が事業者のところに流れてしまいます。
(´・ω・ `)<せやから、非課税売上に対応する仕入については、仕入税額控除を認めないってことなんちゃうかな。んで、「対応する売上が課税か非課税か分からんやつは、課税売上割合を掛けるっていうざっくり計算ってことでええよ」てな感じかの。あと、一括比例配分方式は「いっこいっこ用途区分とかめんどかったら、全部ざっくり計算でええよ」で、全額控除方式は「課税売上高が少なくて、ほとんど課税売上の事業者なら、もっとざっくりでええよ」って感じかな。
( ゚д゚)<ほんほん。I have a two questions.
(´・ω・ `)<急にどうした。てか、どっちや。1つか、2つか。
( ゚д゚)<2つや言うてるやろ。twoも分からんのんか。
(´・ω・ `)<はいはい、2つね。
( ゚д゚)<いや、ハイは1回でええんよ。
(´・ω・ `)<やかましいやっちゃのー。
非課税なのに消費者が10円負担?
( ゚д゚)<土地の売買って非課税取引なんじゃないん?
(´・ω・ `)<非課税取引やで。
( ゚д゚)<でもきみ、「消費者が10円負担しとる」って言わんかった?
(´・ω・ `)<言うたよ。
( ゚д゚)<どないなっとん。
(´・ω・ `)<せやから、消費税を課税されるのは、消費者じゃなくて事業者なんやて。"非課税"なのは事業者であって、消費者じゃないんや。
( ゚д゚)<ああ、せやったな。
(´・ω・ `)<じゃけー、消費者にとって、自分の取引が非課税かどうかってのは、目の前の事業者からの価格転嫁を負担するか、その1個前の事業者(土木屋さん)からの価格転嫁を負担するかの違いでしかない。ただ、政治家とか財務省とか経済学者とかがそのことを理解しとるかどうかは、ぼくは正直あやしいと思っとる。
(´・ω・ `)<それと、そろそろバグってきとる頃やろうから、もっかい確認しとくな。ここまでの説明は、全部、"政府は、こういうふうな想定をしています"っていうだけで、実際に民間部門がこんなふうに考えて価格を設定しとるかどうかとは別問題やで。
( ゚д゚)<ああ、それもせやったな。
(´・ω・ `)<ぶっちゃけ、こんな「もし消費税がなかったら~仕入に利益を乗せて~そこに税率を掛けて~」とかいう考え方で価格設定しとる事業者なんか、滅多におらんと思うねん。普通は「いちばん利益が取れるギリギリまで高くする」ってだけやと思うけどな。
「非課税」って、いるん?
(´○ω○ `)<次の質問どうぞ。
( ゚д゚)<極左は遊びで茶化すもんちゃうで。あいつら火炎瓶投げてくるけーの。
(´・ω・ `)<あれはどっちかっちゅうと火炎瓶を投げられるタイプの極左やろ。ケチやし。
( ゚д゚)<やめろっ。消されるぞっ。
(´・ω・ `)<で、何よ。
( ゚д゚)<「どっちか分からんのはざっくり計算」とかさ、そんな雑なことするくらいなら、全部、全額控除方式にしちゃって、「非課税取引」っていう区分を無くしてもうたらええんちゃう?
(´・ω・ `)<おおいにあぐりーやわ。そもそも消費税を廃止するべきなんやけど、それは置いといて、ぼくも「非課税」とかいう区分は無くした方がええと思う。"政策的配慮で非課税とする"とか言うなら、"軽減税率"って何なんやっちゅう話やし。
( ゚д゚)<ほーん。そしたらさ、無くした方がええとか言っといてなんなんやけど、「非課税」の区分を無くしたらまずいことってないん?
(´・ω・ `)<まずいっていうか、いわゆる"輸出戻し税"っていう仕組みが成り立たんようになる。
( ゚д゚)<なんかそれ聞いたことあるの。なんなんそれ。
"輸出戻し税"とは
前回の復習ですが、課税売上割合の計算式はこうです。
「非課税取引」という区分が無くなったら、課税売上割合は、分子と分母が同じで常に100%になってしまうので、現行の課税売上割合を使った仕入税額控除の仕組みが成り立たなくなります。
よって、もしも、こんな免税売上(輸出売上)全振りの事業者がいたとして、
この事業者の課税売上割合を計算すると、100%になります。
そこからさらに消費税額と仕入税額控除(一括比例配分方式)を計算すると・・・
納付税額がマイナスなので、この事業者は消費税を税務署に納めるのではなく、逆に税務署から消費税を支払ってもらう(還付を受ける)ことになります。
なお、この事業者は免税売上(輸出売上)に全振りしていますから、毎年必ず、消費税額はゼロに、課税売上割合は100%になり、消費税の還付を受けることになります。
この仕組みには、誰が言い出したのかは知りませんが、"輸出戻し税"というなんだかよく分からない妙な通称が付けられていて、「トヨタなんかの輸出企業への実質的な補助金だ。けしからん。」と言う人もいますし、「いや、輸出企業は消費税を消費者に価格転嫁できないから、還付されるのは正当だ。」と言う人もいます。
(´・ω・ `)<これがけしからんのかどうなんかは、もうちょっと突っ込んだ説明が要るけー、また今度な。
( ゚д゚)<ういー。
事業者免税点制度
年間の課税売上高が1000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除されます。この制度は《事業者免税点制度》と言われているそうです。
この制度によって納税義務が免除される事業者を《免税事業者》といい、免除されない普通の事業者を《課税事業者》といいます。
免税事業者は、「消費税を課税されない」という優遇措置を受けます。その"代わり"ではありませんが、仕入税額控除は受けられません。
( ゚д゚)<なんか非課税売上の説明の図に似とるような気がするの。
(´・ω・ `)<全くおんなじやで。
( ゚д゚)<ほいだら「免税事業者」じゃなくて「非課税事業者」っていう名前にした方が分かりやすくない?免税取引とごっちゃになりそうやねんけど。
(´・ω・ `)<おおいにあぐりーなんやけど、なんでかねえ・・・
次回予告
(´・ω・ `)<消費税の計算の仕組みは、これにてだいたい説明できたかの。返品があったときの処理とか、そういう細かいのは省略するわ。
( ゚д゚)<おお、おつかれさん。もう終わりか?
(´・ω・ `)<いやまだまだ。次回は経理処理の説明をするつもりや。それでテキストに書いてあることの説明はおしまいかの。んで、本題はその先よ。
( ゚д゚)<本題?
(´・ω・ `)<消費税の何が問題なのかっていう話やがな。いまやっとるのは、その準備や。批判するにしても、批判の対象がどういうもんなんかを客観的にちゃんと理解しとらんと、ただのイチャモンになってまうけーの。
( ゚д゚)<ほんほん。そらええの。ほいじゃあ、またな。
(´・ω・ `)<ういー。おつかれー。
ややこしすぎやて。こんなもんさっさと廃止したらええねん(´・ω・ `)
おまけ
本日はオススメ動画を。
サムネがおふざけになられていますが、内容は至って真面目です。開いたらやっぱりふざけとるじゃねえか( ゚д゚)と思われるかもしれませんが、なんというか、大丈夫です。
私はとても重要な問題提起をされていると思いました。
ぜひご覧ください。
日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。
私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。
( ゚д゚)<最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!!
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