「"モノ"としての貨幣」の"制度としての"本質は何か?
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。
こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。
目次
本日のお題
(´・ω・ `)<うし、再開しよか。しっかり休憩できたかの?
( ゚д゚)<おう!元気元気よ!ぼくがいまだかつてこんなに元気やったことあるんかなってくらい元気元気やで!
(´・ω・ `)<そかそか。元気があるのはええこっちゃ。
( ゚д゚)<しゃー!元気元気がいちばんよー!
(´・ω・ `)<せやの。ほいだら、前回の続きでやってこうかの。
( ゚д゚)<まだまだいけるでー!元気元気ー!
(´・ω・ `)<分かった分かった。はよ始めるで。
( ゚д゚)<うおーっ!
(´・ω・ `)<休憩中になんかキメてきたんか?
ということで、本日のお題は、前回に引き続きこちらです。
【貨幣とは】
なお、前回と同じく、普段は「貨幣」と言うと大げさな感じがするので、貨幣のことを「カネ」と言っていますが、本記事ではテーマ的にそれだと内容が分かりにくくなってしまうので、「貨幣」と言います。
貨幣とは(おさらい)
まずは貨幣とは何なのか、前回の復習をしておきましょう。
貨幣とは、その内容が次のどちらかに該当する約束のことです。
これが負債の説明と同じであるのは、貨幣と負債が同じものだからです。貨幣は、発行者にとっては「負債」であり、保有者にとっては「資産」となります。
全ての貨幣は発行者のB払いによって生まれて、発行者へのA払いによって消えます。
貨幣であるもの
さて、前回「貨幣と思われているけど、実は貨幣でないもの」を挙げていきました。
今度は「"貨幣ではない"または"貨幣かどうかはっきりしない"とされているけど、実はれっきとした貨幣であるもの」を挙げていきます。
貨幣がどうかの見分け方は、「貨幣でないもの」の見分け方と同じです。負債と貨幣は同じものですから、負債であるかどうかを考えれば、それが貨幣であるかどうかは分かります。負債であれば、それは貨幣です。
国債・手形・小切手
国債は、世間一般では、貨幣ではないと考えている人が大多数だと思いますが、政府が「期日が来たら、保有者に額面金額分の貨幣を支払う」と約束をして発行する負債なんですから、これは明らかに貨幣です。
同じく、手形・小切手もその発行者が「期日が来たら/保有者が銀行へ持ち込んだら、保有者に額面金額分の貨幣を支払う」という約束をして発行する負債ですから、やはりこれも貨幣です。
商品券・クーポン券
商品券やクーポン券には「保有者が指定の商品を買ったら、その保有者の代金債務を額面金額分だけ消去する」という約束が込められています。
つまり、債務消去の約束(=負債)ですから、これも貨幣です。
電子マネー
Suica、nanaco、PayPay等の電子マネーは、それぞれの運営会社が発行している負債ですから、これらも貨幣です。
PayPayを例に説明してみましょう。なお、PayPayは「PayPay株式会社」が発行する電子マネーです。
- Xさんが預金をPayPayにチャージして、
- XさんがコンビニでPayPayで買い物をして、
- PayPay社がコンビニに代金分の預金を振り込んで決済する。
という取引の仕訳は、こう↓なります。
最後の決済は、PayPayに込められた「保有者に額面金額分の貨幣を支払う」という約束が果たされた、と解釈することができます。
PayPay=貨幣支払の約束なのであれば、貨幣支払の約束=負債ですから、PayPay=負債=貨幣であると言えます。
ちなみに、電子マネーを「現金の代わりにやり取りして、後で"本物の"現金に交換するもの」と説明するのは間違いです。電子マネーは、それ自体が独立した貨幣であり、現金の代替物とかそういったものではありません。
デジタル通貨
日本銀行は、現在「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」の導入を検討しています。*1
さて、このCBDCというものはそもそも一体何なのかと言いますと、日銀のホームページに「事務局説明資料(第2回中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会)」というのがあったのですが、それに掲載されていたこの図↓とさっきのPayPay決済の仕訳の指し示す内容は全く同じでした。
つまり、CBDCとは、「日本銀行が運営・発行するPayPay」つまり「国営PayPay」だと理解するのがいちばん分かりやすいかと思います。
CBDCが国営PayPayであるということは、上記のとおり、PayPayが貨幣なんですから、国営PayPayであるCBDCももちろん貨幣であるということになります。
なお、仮想通貨とデジタル通貨をごっちゃにしたニュース記事等をよく目にするんですが、[10-2]のとおり、「テザー」等を除き仮想通貨は貨幣ではなく、一方のデジタル通貨は貨幣ですから、両者は全然別のもので、共通点は「電子データであること」くらいです。
CBDCに関する私見
私はCBDCの導入自体には賛成の考えです。
「貨幣のやり取りのシステム」なんてのは社会基盤インフラですから、それを国営でやると言うなら、それはたいへん結構ことだと思います。
ただし、
(゚⊿゚)<CBDCは既存の貨幣の概念を打ち破る全く新しい次世代の決済システムだ!
(゚⊿゚)<CBDCをいち早く実装した国が今後の国際金融市場の覇権を握るんだ!急がないとデジタル人民元ガー!
(゚⊿゚)<ロスチャイルド家に支配されたこの世界を救うための最終兵器だ!
CBDCにこーゆー夢を抱いて導入に賛成されてる方をよく見るんですが、これらには全く賛同しません。あれはただの国営PayPayです(´・ω・ `)
現金・預金の本質
《現金》は「貨幣」と聞いて、多くの人が最初にイメージするものかと思います。現金はもちろん貨幣であり、政府または日銀が発行した負債でもあります。*2
《預金》も「貨幣」と聞いて、多くの人がイメージしやすいものでしょう。なお、この「預金」には市中銀行の銀行預金だけでなく日銀当座預金も含みます。本記事中は以降も同様です。預金ももちろん貨幣であり、日銀当座預金であれば日銀が、銀行預金であれば市中銀行が発行した負債です。
現金の本質
負債の本質とは、それに込められた「発行者から保有者への約束」ですから、政府・日銀の発行した負債である現金にだって何らかの約束が込められているはずです。
(´・ω・ `)<さて、その約束とは何でしょうか?
( ゚д゚)<知らん!
(´・ω・ `)<元気があってよろしい!でもちょっとくらいは考えてみよう!
( ゚д゚)<んーと、知らん!
(´・ω・ `)<ダメだこりゃ!よーし!それじゃあヒントを出そう!
貨幣とは負債であり、負債とは、その内容が次のどちらかに該当する約束のことです。
なので、貨幣である現金に込められた約束は、この2つのうちの少なくともどちらかには該当するはずです。
ここで、現金に貨幣支払の約束が込められていることは考えられません。なぜなら、政府・日銀は、「現金を何とも交換しない」ということを宣言している(管理通貨制を採用している)からです。
であれば、残るは債務消去です。
(´・ω・ `)<では、「現金を政府にA払いすることで消すことができる債務」と言えば何でしょう?
( ゚д゚)<知らん!
(´・ω・ `)<うーん元気があってよろしい!現金だけに元気元気ってか!
( ゚д゚)<いえす!元気元気だ!カモンカモン!現金現金カモンカモン!
(´・ω・ `)<調子乗んなよ。
( ゚д゚)<うい。
現金を政府にA払いすることで消すことができる債務と言えば、それはもちろん税(と罰金等)のことです。
つまり、現金に込められた政府の約束とは、
「保有者の税債務を、これと引き換えに消去します。」というものであり、
よって、現金の本質とは、
【税債務を解消するもの】であると言えます。
預金の本質
そして、現金と同じく預金にだって何らかの約束が込められているはずです。
( ゚д゚)<さて、その約束とは何でしょうか?
(´・ω・ `)<ぼくがクイズ出す側なんやけど。
( ゚д゚)<ええやんけ。どーせぼく答える気ないんやし。サクサク行こうや。
(´・ω・ `)<何を開き直っとんねん。しゃーないのー。ほいだら順序立てて説明してくけー、よー聞いときんさい。
( ゚д゚)<いやです。
(´・ω・ `)<黙って聞けっ。
( ゚д゚)<うい。
預金も現金と同じく「それを発行者にA払いするとどうなるか」を考えることで答えに近づいていくことができます。
ここで再確認しておくと、貨幣=負債であり、
- 貨幣支払
- 債務消去
貨幣は、少なくともこのどちらかの約束です。そこでまずは、預金にはどんな貨幣支払の約束が込められているかを考えてみましょう。
すると、預金を銀行に渡す、つまり預金残高を引き落として、それと引き換えにある貨幣を銀行から受け取る行為を私たちは日常的に行っていることに気づくかと思います。
( ゚д゚)<現金引き出しのことかー!
(`・ω・´)<いえすざっつらいと!やればできるやんけ!
( ゚д゚)<あたぼうよ!
預金を銀行にA払いする(残高を引き落とす)ことで銀行から支払われる貨幣と言えば、それは現金のことです。
つまり、預金に込められた銀行の約束とは、
「保有者が要求すれば、これと引き換えに同額の現金を支払います。」というものであり、
よって、預金の本質とは、
【現金と交換できるもの】であると言えます。
( ゚д゚)<ん?ちょっと待って。預金て融資の返済にも使えるやん。それは債務消去の約束があるってことちゃうん?
(´・ω・ `)<ええとこに気づいたの。せやで。預金は現金支払の約束であり、かつ債務消去の約束でもあるんや。
( ゚д゚)<そんな1つの貨幣に2つも約束が込められとってもええの?
(´・ω・ `)<「少なくとも1つの貨幣支払または債務消去の約束が込められとること」が条件じゃけー、2つでも3つでもええよ。ただ、みんながみんな銀行に債務を負っとるわけじゃあないけー、債務消去の約束が誰にでも意味のあるものとは限らへん。じゃけー、「本質つまりコアの部分は何か」って話なら、やっぱり現金支払の約束がそれに当たるやろな。
おまけ
今回のおまけはオススメ動画です。
サムネがもう笑かしに来てる(´・ω・ `)
腹がよじれるかと思いましたわ(´・ω・ `)
日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。
私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。
( ゚д゚)<最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!!
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