経理屋が読み解く『MMT入門』

『MMT入門』(L・ランダル・レイ,2019,東洋経済新報社)をベースにMMTを解説します。ときには自分の思うところを書き綴ったり。

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

3-1.銀行の役割 その1 (預金)

銀行の総資産と総負債が、各々400ドルになっていることに注目しよう。銀行は200ドルの貨幣をまさに創造したのだ。 『MMT現代貨幣理論入門』kindle版 186/553pp 当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未…

2-7.章まとめ 自国通貨の発行者による支出

学生は皆、我々の通貨が「法定」-何も裏付けがない、単なる債権-だと知っている。通貨の裏側をのぞいてみよう。そこには何かあるのだろうか? 『MMT現代貨幣理論入門』kindle版 114/553pp 当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいて…

2-6.爆発の条件

ジェームズ・ガルブレイスは、赤字支出の持続可能性を評価するための代表的なモデルを構築した。カギとなる公式は、こうだ。 Δd=-s+d*{(r-g)/(1+g)} ここで、dは当初の債務額対GDP比率、sは「プライマリー黒字」(すなわち、純支払利息を控除した後の財政黒字…

番外2.税は財源ではない ver.2

よくできた標語 「税は財源ではない。」 誰が考えたのか分かりませんが、政府財政の仕組みを端的に説明する標語としてよくできたフレーズだと思います。 政府財政の仕組みは複雑で、全部説明していくと、それはそれは多くの不幸な脱落者を生んでしまうでしょ…

2-5.様々な取引とその仕訳

従って、一国の(閉鎖)経済を全体として捉えるならば、純金融資産は合計するとやはりゼロになる。 『MMT現代貨幣理論入門』kindle版 138/553pp 当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一…

番外1.租税が貨幣を動かす その4

今や先の質問-なぜ誰もが政府の「法定不換通貨」を受け取るのか?-に答えることができる。それは、政府の通貨が、政府に対して負っている租税などの金銭債務の履行において、政府によって受け取られる主要な(たいていは唯一の)ものだからである。租税の不…

2-4.租税が貨幣を動かす その3

今や先の質問-なぜ誰もが政府の「法定不換通貨」を受け取るのか?-に答えることができる。それは、政府の通貨が、政府に対して負っている租税などの金銭債務の履行において、政府によって受け取られる主要な(たいていは唯一の)ものだからである。租税の不…