経理屋が読み解く『MMT入門』

『MMT入門』(L・ランダル・レイ,2019,東洋経済新報社)をベースにMMTを解説します。ときには自分の思うところを書き綴ったり。

落書き:ハイパーオンフレ論

この記事はMMT解説ではありません。

  

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異次元金融緩和いわゆる黒田バズーカによって、日本円のマネタリーベースはいまや空前絶後の規模に膨れ上がっています。

 

市中銀行は大量の日銀当座預金を抱え込むことになり、さらにマイナス金利政策によって、その宙に浮いたマネーの運用先を必死で探さなければならない状況に追い込まれました。これが国債金利が一時期マイナスになるほどまで低下した原因です。

 

これは「日銀当座預金のままではマイナス金利によって毎年1%目減りしてしまう。それくらいなら日銀当座預金国債に替えて毎年0.5%の目減りであった方がマシだ」という金融業界のメカニズムが働いたということです。

 

しかしこれは、破綻を先延ばしにしているだけで、破綻に向かっていることに変わりはありません。根本的な構造改革を必要とされているのに、メガバンクは旧態依然とした経営体制を変えようとしないのです。その理由は、情けない話ですが、経営陣の高齢化が主な理由です。つまり、「私はそう長くはない。とりあえずマイナスだろうが破綻への道のりだろうが、こうやっていれば、私の引退までは銀行はつぶれない。私が引退した後のこと?そんなもん、知ったことか。」このように考えているのです。

 

それでは、いよいよ銀行が破綻していったときには、誰が国債を買ってくれるのでしょうか。国内に買い手がいなければ、海外に買ってもらうしかありません。しかし、国内銀行が次々と破綻している国の国債ウォール街のハゲタカたちが低金利で買ってくれるわけがありません。つまり、そこから国債金利が暴騰を始めるということです。ギリシャでは、これと同じことが実際に起きました。そして、国債金利の暴騰は、円の価値が暴落していくことを意味しています。そこがハイパーオンフレの入り口です。

 

いちどハイパーオンフレが始まってしまえば、あとはそこから雪崩を打つように加速していきます。なぜならハイパーオンフレ自体がハイパーオンフレを引き起こす原因として働くからです。これがハイパーオンフレスパイラル、いわゆるオンスパ、と呼ばれる現象です。もはやハイパーの影も形もありません。

 

さて、バブル景気の時代には、土地価格の暴騰という現象が起こりました。ハイパーオンフレとまでは言えませんが、限りなくそれに近い状態であったと考えるべきではないかと思います。これは私だけではなく、多くの良識的な金融アナリストの見解です。

 

なぜ土地の値段が高騰したのか、これは例えば先週の時点で、ある土地の値段が100万円であったが、いまは200万円になっている。周りの他の土地も値段が上がっている。そこで私はこう考えます。「来週には300万円になっているだろう。」と。

 

それに気づいた私は銀行に行って、200万円を借ります。借りたお金で土地を買います。すると来週には300万円で売れて、銀行に200万円を返せば、100万円の利益となるわけです。

 

さて、300万円で売れたということは、300万円で買ってくれた人がいるわけです。その人はなぜ300万円で買ったのでしょう。簡単なことです。その人物も私と同じように、「来週には400万円になっているだろう。」と考えたからです。彼も銀行から300万円を借りて、土地を買っていたのです。これが延々と繰り返されると土地の値段はぐんぐん上がっていきます。このようにバブルは膨らんでいきました。

 

ハイパーオンフレであれば、これが200万から300万というレベルではなく、200万から2000万、2億、20億というオーダーで事態が悪化していきます。

 

このように、ハイパーオンフレの状況下では、ハイパーが人々をさらなるハイパーに導きます。ハイパーがハイパーを呼ぶ、まさにハイパーオンフレスパイラル。スーパッパと言うしかありません。

 

ハイパーオンフレの先には何があるのか。先進国の例では日本のバブル崩壊や米国のリーマンショックのような突然の大きな経済ショックが生じました。バブルがはじけて、多くの人が傷つくことになったのです。

 

幸いにも、第二次世界大戦以降、先進国においてハイパーオンフレと呼ばれるほどの破綻は起きていません。しかし、バブル崩壊リーマンショックがそれに近い状態であったことから、実際にハイパーオンフレが起きれば、これらをはるかに超える規模の経済ショックが起きることは容易に想像することができます。

 

それでは、ハイパーオンフレを回避することはできないのでしょうか。それは理屈としては簡単なことです。事態は冒頭の黒田バズーカによって始まったのですから、リセットすればいいのです。つまり、大量に発行した国債を償還し、マネタリーベースを適正な水準まで縮小させる、ということです。

 

しかし、そのためには国債償還のための財源を政府が調達しなければなりません。政府が財源を調達する手段は2つあります。税と国債です。ただ、当然ながら、新しい国債の発行で古い国債を償還しても意味がありませんから、選択肢は税しかありません。つまり増税です。

 

これは世論から反発を受けるため、政治はそこになかなか踏み切ることができません。さらに、次の首相はおそらく菅氏でしょう。彼は高齢で、銀行経営者と同様にこう考えるでしょう。「私が死んだ後のことなんか知ったことか。」

 

ですから、ハイパーオンフレ回避のために、増税をしなければならないというのは理屈としては至極真っ当で簡単なのですが、「言うは易く行うは難し」であるわけです。

 

ですから、私たちは、いつかは日本経済が破綻し、ハイパーオンフレがやってくることを前提に、これからの時代を生きていかなければなりません。こういうと絶望的な気分になるかもしれませんが、絶望する必要は全く無いことをここに断言しましょう。

 

たしかに私たちに日本経済の破綻を防ぐ力はありません。しかし、私たち自身のミクロの生活を防衛することは可能です。例えば、外貨によって資産を運用すれば日本円の価値が下がってもダメージを受けません。また、英語をマスターすれば、日本が破綻しても海外移住という選択肢が残ります。その他、ハイパーオンフレに備えるための方策はいろいろあります。

 

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何にも調べず、何にも考えずにこんだけ書けてしまった・・・いや、楽な商売ですね。ハイパー師匠の気持ちが少し分かりました。

 

それでは、本日ここまで。