本節では、財政赤字と貯蓄の関係、さらには財政赤字が準備預金と金利に与える影響を確認する。以下の議論は、一般的な性質に関するものである。
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。
こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事の途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。
当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。
目次
おさらい
前々回[4-2]と前回[4-3]では、財政赤字(政府の赤字収支)が民間貯蓄に与える影響を説明しました。
ざっくり復習すると、
本シリーズのテーマ
本記事から始まる「財政赤字と国債金利」シリーズでは、「財政赤字が増えると(減ると)、国債の金利はどうなるか」を解説していこうと思います。
ただ、答えは先に言っちゃいます。
「財政赤字がいくら増えようが減ろうが、国債金利はどうもなりません。上がりも下がりもしません。」
"どうもならんの?関係ないってこと?それをシリーズで解説するの?"
いや、あの、関係がないわけではないんです。関係なくはないんですが、結果的にはどうもならんのです。
これがどういうことなのかを理解していただくためには、
- 債券の仕組み
- モノの値段の決まり方
このへんの説明が必要になります。
その上で、
本シリーズでは、こういったところに展開していく予定です。
そしたらば、まず本記事では国債・債券のざっとした概要を確認していきましょう。
国債とは
国債の基本知識
前回記事までで国債ガー国債ガーって言っといてなんなんですが、ここで国債の基本的な仕組みを説明しておきます。
- 政府の金融負債である。
- 表面金額・満期期日・利率を定めて発行される。
- 満期になるまで、発行時に定めた利率で半年ごとに利息が支払われる。
- 満期になったら、額面の金額が支払われて、消滅する。
- 平成15年からは、紙で発行されてない。口座の中だけで電子データとして発行されている。
例えば、表面金額100万円・年利率2%の1年国債を買ったら、政府から半年後に利息で1万円、1年後に100万円と利息で1万円、全部合わせて102万円が支払われます。
参考1:
参考2:
国債は"国の借金"?
よく"国の借金みたいなものだ"とか言う人がいますが、
債券の債は、借金という意味です。借金をしたときの、借金のカタ、借金の念書、約束の証書、借金証書です。「たしかに借金をいたしました、満期が来たら、利子をつけてお返ししますよ」というものです。これが債券です。だから国債は国の借金。
違います。てかシャッキンシャッキンうるさいな。刷り込んでくるのやめろ。
( ゚д゚)「池上さんが言うにはな、債の字は借金という意味だから、国債は国の借金らしいねん。」
(´・ω・ `)「あのね。じゃあ、貧乳は貧しい乳か?ちゃうやろ?おっぱいはみな尊いのよ。池上さんはそんなことも知らんのん。てか、そんなん言うたら池上さんは池の上か?場所か?日当たり良さそうじゃの。で、あのおじさんは人間に見えるけど、実は場所やったんか?」
( ゚д゚)「池上さんが言うにはな、国債ってのは"たしかに借金をいたしました"ていうものらしいのよ。」
(´・ω・ `)「あのね。国債は電子データなのよ。そんなんどこに書いとんのよ。捏造ヨクナイヨ。池上さんに言うといて。」
( ゚д゚)「池上さんが言うにはな、国債ってのは"満期が来たら、利子をつけてお返しします"ていうものらしいのよ。だから借金なんやて。」
(´・ω・ `)「あのな。定期預金は?貯蓄型保険は?どっちも満期になったら利子付きで返ってくるでしょーが。"定期預金って銀行の借金ですか?"って池上さんに聞いてみて。」
どないなっとんねん。もうええわ。
国債は借金ではない
国債は借金ではありません。
ほんとは「AはBであるか?」ということを考えるには、Bの定義を明確にして、その定義の範囲にAが含まれるかどうか、みたいに論考すべきですが、それはまた今度にして、いまはただマウントだけ取りに行きます。
そもそも、借金とは何でしょう?
池上さんの貧乳理論に従ってみると、"借金"てのは"借りたカネ"てことになります。
けど、前回記事で説明したこちらの仕訳図をご覧ください。
これ、何か借りてるように見えますか?
政府支出の基本はA払いではなく、B払いです。政府がカネを借りる必要なんかありません。
債券ってのは・・・
順番があべこべなようですが、続いて"債券"ってのが何なのかを説明します。
債券ってのは、
- Xさんが紙きれに例えば「この紙を持ってる人に、毎月10万円(年間120万)を支払って、5年後に1000万円を支払うことを約束します。」と書く。
- すると、ただの紙きれが表面金額1000万円・5年満期・表面利率年12%の債券になる。
- Xさんが「この紙、誰か買いませんか〜。」と売りに出す。
- それをAさんが例えば500万円で買う。
- Xさんは約束どおり、毎月Aさんに10万円を(12ヶ月×5年=60回→総額600万円)、5年後には1000万円を支払う(総支払額1600万円)。債券に書かれた約束が果たされて、債券は元の紙きれに戻る。
- 最後の表面金額1000万円の支払によって債券を紙きれに戻す手続を債券の"償還"と呼ぶ。
- Aさんは、5年も待たずに途中で債券を別の誰かに売ることもできる。例えば500万円で買ってすぐに、Bさんに1000万円で売れば、Aさんは債券を右から左に流しただけで500万円の得だし、Bさんは1600万円がもらえて600万円の得だから、2人とも気持ちよくなれる🙃
こういうもんです。
で、Xさんが政府だったら、その債券は国債と呼ばれます。そんだけのことです。牛の丼は牛丼やし、鶏と卵なら親子丼なのと同じです。貧乳は関係ありません。
債券の金利とは
Aの買値(500万)とXの支払額(1600万)の差(1100万)を債券の"金利"と呼びます。債券の金利といえば、この差額のことで、表面利率の"年12%"のことではありません。
数式で表すと…
これを数式で表すと、こうなります。
Xの総支払額-Aの買値=債券の金利
Aの買値とは、つまりは債券が売買されたときの値段(債券価格)ですね。それでは、数式の左辺右辺を入れ替えて、名前をちょっといじります。
債券金利=総支払額-債券価格
この数式を"債券の価格と金利の恒等式"と呼ぶことにします。これは、国債金利のことを理解するのに欠かせませんので、非常に重要です。
恒等式の意味
債券金利=総支払額-債券価格
ですから、Aさんが債券を5年間持ち続けたら、金利は 1600-500=1100万円です。
ところがBさんに1000万円で売られたら(価格が上がったら)、金利は 1600-1000=600万円に下がります。
つまり、
「債券の価格が上がる」
「債券の金利が下がる」
この2つの文の意味内容は全く同じです。
逆に債券の金利が上がった、ということは債券の価格が下がったことを意味します。
ややこしい話
債券の金利は"利回り"とも呼ばれます。
また、利回りを価格で割り算して、年あたりに換算した数値もまた、"金利"または"利回り"と呼ばれます。ややこしいですね。当ブログでは、どっちのことか誤解の無いように、こっちの意味で言うときには"相対金利"もしくは"相対利回り"と言うようにします。
上記の例では、価格500万円に対して、5年で1100万円の利回りですから
→1100/500=2.2 さらに5で割って→2.2/5=0.44=44%
ということで、上記の例の相対利回りは、44%です。
これを整理すると、こういう数式になります。
日本銀行が「国債の金利目標を●%にします。」とか言ってるときは、こっちの相対金利の方のことを言っています。
おまけ
おまけは、たぶん読者の誰も分からない内容の愚痴です。
拝啓
P社の審査員様へ
先日、「全ての変数について、標準不確かさをAタイプ・Bタイプそれぞれの方法で評価して、その2つの値を平方和の平方根を取って合成してますが、これって合成するんじゃなくて、Aタイプ・Bタイプどちらかの評価方法を選択するものじゃないですか?」
という私の質問に対して、
「合成するに決まってるじゃないですかww当たり前でしょうwwwww」みたいな口をききやがりましたね。
依頼者の質問を鼻で笑ってくるとは思いもしなかったので驚きました。
それでは、お元気で。
敬具
日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。
私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^
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