民間支出が物価の安定を脅かす危険性はあるが、政府は、インフレを寄せ付けないために思うように使える、様々な政策手段を有している。必要ならば、政府は、民間支出を冷やすために増税などの対策を講じることができ、超過需要を取り除く必要に応じて自らの支出を減らすことができる。
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。
こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。
目次
本日のお題
(´・ω・ `)<ほいだらこの図を使って、
(´・ω・ `)<「政府が徴税をする」ってのはどういうことなんかを説明してくで。
( ゚д゚)<なんでや。
(´・ω・ `)<みんなに知ってほしいことやからや。
( ゚д゚)<そんならもっと早よ言うてくれや。
(´・ω・ `)<何事も順序ちゅうもんがあるんじゃ。
( ゚д゚)<ほー。そーゆーもんか。
(´・ω・ `)<せや。そーゆーもんなんじゃ。
ということで、今回のお題はこちらです。
【徴税が実物資源に与える影響とは】
(´・ω・ `)<よろしゅうな。
( ゚д゚)<まかしときー。
(´・ω・ `)<ちゃうちゃう。ぼくが教える側よ。
( ゚д゚)<きみ、よー飽きひんな。
(´・ω・ `)<こっちのセリフじゃ。
貨幣の視点から見た税
まずは徴税に関する会計上の仕組みをおさらいしておきましょう。
仕訳はこう↓で、
図にするとこう↓です。
[10-4]のとおり、税は貨幣を動かします。
すなわち、政府が自身の発行した貨幣(=負債)を民間部門から徴収することで、民間部門は誰もが貨幣を必要とするようになり、経済が貨幣化します。
貨幣化した経済、つまり貨幣経済とは、[10-10]のとおり、カネを支払えば見返りに社会から仕事の成果を提供してもらえて、社会に仕事の成果を提供すれば貨幣が得られる社会です。
実物資源の視点から見た税
以上が貨幣の視点から見た税の役割です。
それでは、税が実物資源に対してどのような影響を与えるかを見ていきましょう。
政府が徴税を加えると、民間部門は、
- 保有する貨幣が減り、
- 支出を減らし、
- 民間資源の割合が減り、
- 遊休資源の割合が増えます。
つまり、
【民間部門による資源利用を減らし、遊休状態の資源を増やす。】
これが実物資源の視点から見た税の本質です。
よって、政府が同額の支出と徴税をした場合、仕訳の合計はゼロ、つまり貨幣の視点で見たときには正味の変化はゼロですが、
実物資源の視点で見れば、元どおりにはなっていません。この点には注意が必要です。
実物資源の視点から見た税の機能
[第5章]のとおり、税には「租税は貨幣を動かす」以外にも次の3つの機能があります。
- 格差の是正
- 需要の安定化
- "悪行"の抑制
これらを実物資源の視点から見直してみることにしましょう。
格差の是正
実物資源の視点で見ると、「貧困層と富裕層の格差」とは、こういうこと↓です。
つまり、「貧困層が利用できる資源がほとんど存在しない一方で、富裕層はたくさんの資源を利用できている」という状態です。
ここで考えられる原因は、次の3つです。
よって、富裕層を狙い撃ちで増税し、貧困層が利用可能な遊休資源を作り出すことは格差是正に役立つかもしれません。
( ゚д゚)<「かもしれません」てなんじゃい。煮えきらんこと言うやっちゃの。しばくぞ。
(´・ω・ `)<しばくな。
( ゚д゚)<うい。
(´・ω・ `)<3つのうちのどれか1つだけしか起きてへんとは限らんけーの。単に遊休資源が増えただけに終わったら貧困層の救済にはならへん。
(´・ω・ `)<例えば、富裕層の支出過多と貧困層が貨幣を持ってないことが同時に起こっとったら、富裕層に増税しただけじゃ貧困層は十分な資源を利用できるようにはならへんやろ。その場合は、富裕層増税に加えて、給付金やったり、貧困層向けの減税やったりが必要になるわけよ。
需要の安定化
《需要》とは「人が他人の仕事の成果を欲しがったり、必要としたりする程度」と言えます。一方で、貨幣経済において他者の仕事の成果を得るには支出をしなければなりません。
これらを合わせて考えれば、「貨幣経済における需要」とは、「人々がどれだけ支出をするか」であり、【需要≒支出】("需要"と"支出"はだいたい同じ意味である)とシンプルに表現することができます。
冒頭のとおり、税は民間部門の支出を減らします。【需要≒支出】ですから、これは「税は民間部門の需要を減らす」ということでもあります。
ということは、政府は、次のようにして、税の民間部門の需要を減らす作用を利用して需要を安定化させることができるわけです。
- あらかじめ民間部門へいくらかの税をかけて、自然状態よりもいくらか需要が減った状態にしておく。(これは貨幣を動かすためにも必要なことです)
- 不景気によって需要が減ったときは、減税をして需要を増やして、それを打ち消す。
- 好景気によって需要が増えたときは、増税をして需要を減らして、それを打ち消す。
なぜ需要の安定化が必要なのか
民間部門の支出(≒需要)が増えたり減ったりするということは、実物資源の一部が稼働状態になったり遊休状態になったりする、ということですから、需要が安定化させれば、遊休状態⇔稼働状態の行ったり来たりを防ぐことになります。
(´・ω・ `)<さて、ここで問題です。
( ゚д゚)<ばちりと来んしゃーい。
(´・ω・ `)<「遊休状態のヒト資源」のことを一般的には何と呼ぶでしょう?
( ゚д゚)<失業者!
(`・ω・´)<いえすざっつらいと!てことは?
( ゚д゚)<てことは?知りません!
(`・ω・´)<元気があってよろしい!元気があるのはよろしいけれども、なにがしか答えてみてもええんちゃうかな!
( ゚д゚)<知りませんって答えました!
(`・ω・´)<あいたこりゃこりゃ!一本とられた!
( ゚д゚)<はい!じゃあ答えをどうぞ!
(´・ω・ `)<しゃーないのー。てことはな、需要が安定させれば失業者数が急に増えたり減ったりするのを防ぐことができるわけよ。
( ゚д゚)<失業者数が急に増えたり減ったりしたらいかんのんか?
(´・ω・ `)<そこは[10-13]の公益の議論で決めることじゃけー、一概に良し悪しは決められんけど、労働者の人たちの立場を不安定にさせることが「良い」ことやとは、ぼくには思えんな。
( ゚д゚)<ほんほん。
(´・ω・ `)<ただ、それを防ぐことができるってのは客観的な事実じゃけ、そこは公益の議論とは別次元の話やで。
"悪行"の抑制
[5-5]のとおり、ここで言う"悪行"とは、殺人とか窃盗とかのリアルガチ悪行のことではありません。
( ゚д゚)<例えば?
(´・ω・ `)<よく例に出されるのは喫煙に対するタバコ税とか、飲酒に対する酒税とかやな。タバコ税とか酒税が増税されたら、それまでよりカネがかかるようになるけー、みんなタバコとかお酒を減らすようになったりするじゃろ。
( ゚д゚)<ほんほん。そのへんは悪行抑制のための税なんやな。
(´・ω・ `)<ああ、いや、それは違うな。違うっていうか、全部の税が何らかの行為を対象にしとるわけじゃけ、「●●税は悪行抑制のための税、▲▲税は悪行抑制とは無関係の税。」ってことはなくて、どんな税も何らかの"悪行"を抑制する機能を持っとるよ。
税が"悪行"を抑制する仕組み
全資源を次の4つに分けたとき、
- 政府資源
- 遊休資源
- 悪行資源(悪行のために利用される民間資源)
- 善行資源(悪行以外のために利用される民間資源)
政府が悪行に課税をすると、民間部門は悪行資源を以前と同じように利用するためには、より多くの支出をしなければならなくなります。
そのときに民間部門が取れる対応をパターン分けすると、このように↓なります。
そして、人々は思い思いにパターンA、BまたはCの対応をして、全体としては、民間資源(善行資源+悪行資源)が減り、遊休資源が増えることになります。
なお、パターンBで支出を減らされる善行は具体的には様々であるのに対して、パターンAで支出を減らされる悪行の方は課税対象とされたものだけに限定されますので、政府が課税をすれば、
- いろんな善行への支出が少しずつ減り、
- ターゲットの悪行への支出が大きく減り、
- それぞれの分だけ遊休資源が増えて、
- 全体としては【民間資源が減り、遊休資源が増える】ということになる。
まとめ
【租税は貨幣を動かす】
これは貨幣の視点から見た税の本質であると言えるでしょう。しかし、これが税の意味・役割の全てではありません。
【民間資源を減らし、遊休資源を増やす。】
実物資源の視点から考えれば、税にはこのようなもう1つの意味・役割があることが見えてきます。
政府はこれを利用して、次の政策目標を実現することができます。
- 格差是正:富裕層への課税で、貧困層が資源にアクセスしやすくなる。
- 需要の安定化:民間部門の需要の増減を打ち消すように税を上げ下げすることで、需要を安定化させることができる。
- "悪行"の抑制:悪行への課税で、資源が悪行のために利用されるのを抑えることができる。
次回予告
( ゚д゚)<おつかれさん。これにて完結やな。
(´・ω・ `)<いや、もすこしあとちょっと。
( ゚д゚)<えええ。
(´・ω・ `)<まあまあ、次がほんまに最後じゃけ。JGPとベーシックインカムもこのグラフ↓で説明したら分かりやすいなと思っての。その話だけさせてや。
( ゚д゚)<そか。まあ好きにしたらええがな。
(´・ω・ `)<ういー。
それでは本日ここまで。
おまけ
前回記事からだいぶ更新間隔が空きましたが、ちょっと年明けからおかげさまでいろいろと忙しくしておりまして。次回はそれほど間隔は空かないと思います。とはいえ、まあ、マイペースでやらせてもらおうかなとは思っていますが。
それはそうと、
ねんがんのメカニカルキーボードをてにいれたぞ!
ということで、MX Mechanical Mini(logicool)を先月下旬に買いました。
これの左側にテンキーを置いて、
こんな配置で使ってます。テンキーは作業によっては右側に置くこともあります。
キーボードはずっと会社支給のPCに付属してたフルサイズのキーボード(Enterの右側に方向キーとかhomeキーとかのエリアがあって、そのさらに右にテンキーがあるタイプ)を使ってたんですが、
前にトラックボールマウスを買ってから[10-11おまけ]、「やっぱりええやつはええなあ」というのを感じまして、日に日に「キーボードもええやつ行っときたいのう」という気持ちが湧き上がり、
- 75%サイズ(方向キーとかhomeキーとかも全部ギュってなってるタイプ)←フルサイズだとマウスを持とうとしたときの距離がなんか最近気にくわなくなってきまして。
- ファンクションキーあり
- ロープロファイル(薄型タイプ)
この条件に合うやつってことでこれに決めました。決めたというか、意外とこの条件に合うやつがこれとあと1つ(Keychron社のK3)しか見つからなくて、K3は方向キーの配置が無理そうだったので実際には選択肢なしだったんですが。
で、1ヵ月弱使っての使用感は、
- 打ち心地:良し。とても良し。
- 75%サイズ:キーボードからマウスが近いのはええっすわ。なんていうか、スピード感?的な?そういうやつが出ますよね。やっぱり。
- 方向キーとかhomeキーとかも全部ギュってなってる:まだ慣れてなくて、よく打ち間違えますけど、使い始めの不慣れ具合からの1ヵ月弱で到達した慣れ上昇速度で考えると、たぶんもう2,3ヵ月くらいで克服できそう。
- 唯一の問題点:右のctrlキーが無い。これはそこそこ不便感あります。けど、右にctrlキーがある75%サイズだとUS配列のやつしかないし、さすがにカスタムは高すぎるし・・・ま、しゃーなしかなあ。そのうち慣れるっしょ。
定価が2万円超えてるので、気軽にはおすすめはできないんですが、使ってて「ええやつ」感は間違いなくあります。よければお試しください。
日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。
私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。
( ゚д゚)<最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!!
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