銀行の総資産と総負債が、各々400ドルになっていることに注目しよう。銀行は200ドルの貨幣をまさに創造したのだ。
『MMT現代貨幣理論入門』kindle版 186/553pp
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。
おさらい
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銀行への預金行為の実質は銀行に貨幣を貸し付ける行為である。だから銀行は預金に利息を支払う。
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銀行預金は銀行の負債であって、「要求されたら、同額の現金通貨を支払う」という約束の証拠である。
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マンキューは超スタンダード。
銀行融資の仕訳
- 銀行が顧客に貨幣を貸し付ける。
- 顧客が借りた貨幣を銀行に預け入れる。
では、まずは貸付の仕訳がこちら続いて預け入れの仕訳がこちら
そして、まとめたのがこちら
銀行融資に原資は必要ない
ここで、特に注意していただきたいのは、"銀行は融資をするときに、何の原資も必要としていない"ということです。
池上彰さんとかがよく言う"銀行は顧客からカネを集めて、それを貸し出す商売だ"という説明は誤りです。
なんでテレビ局の人は誰もつっこまないんですかね?
上の仕訳をもう一度確認してください。この一連の取引を行うために銀行が前もって何かを準備する必要はありません。もし、融資をする前の時点で銀行の日銀預金がすっからかんで、さらに金庫が空っぽであっても、この取引を行うのには何の支障もありません。
銀行は、融資の段階で新しく貨幣を誕生させて、それを預かるだけだからです。
別の角度からも銀行融資に原資が必要ないことが分かります。実際の銀行融資のとき、顧客と銀行が物理的にはどんな作業をするかイメージしてみてください。
「顧客は借用書を書く、銀行は顧客の通帳に融資分の金額を書き込む。」これだけです。
紙とペンと通帳があれば、取引はつつがなく完了します。しかもいまどき紙もペンも要りません。キーボードを叩くだけです。
さらに別の観点から言えば、
もし顧客から集めたカネを貸し出してるんなら、貸し出す前に一言断るのが筋でしょう。銀行業って他人のカネを無断で又貸しして儲ける商売なんですか?
そんなわけないでしょ。銀行なめんな。
マンキューさんの説明
前回記事で触れましたが、
先日近所の図書館でマンキューさんの経済学テキストを借りてきました。
やっぱ"超スタンダード"ってなかなかのパワーワードやな、たしかにぶっ飛んでるもんな・・・
マンキューさんは銀行融資をこんな感じで説明しています。
まず、A銀行がサザエさんから例えば1000万円を預かって、さらにそれを日銀に預けます。
次に貸し出しです。
ここで、銀行は日銀預金の銀行預金に対する割合をある一定以上に常にキープしなければならない、という謎ルールに従うものとします。ちなみにこの謎ルールを"預金準備制度"、その割合を"預金準備率"と言います。
ここでは、預金準備率を20%とします。
貸し出しの話に戻ります。
A銀行は日銀預金を800万円引き出して、現金を用意して🤔⁉️、マスオさんに800万円の現金を手渡します😦⁉️すると、マスオさんは現金800万円を紙袋に詰めて、A銀行を出て😟⁉️、B銀行に行き🤪⁉️、B銀行に預け入れます。
B銀行はそれを日銀に預けます。
さらに貸し出しが続きます。B銀行も日銀預金を引き出して、カツオくんに640万円の現金を貸し付けます。すると、カツオくんは現金640万円を紙袋に詰めてC銀行に移動し、預け入れます🤯⁉️
これが延々と続くと段々と金額が減っていって、いつかはゼロになり、それ以上は別途サザエさんみたいな全く新規の預け入れがないと貸し出しができなくなります。ゼロになった時点でのA銀行・B銀行・C銀行・・・の貸し出し額の合計は、最初のサザエさんの預金額を最初に設定した預金準備率の逆数倍(預金準備率が20%=1/5→これの逆数は5なので、貸し出しの合計は1000万円の5倍で5000万円が限界)した額になることが数学的に証明されています。数学好きの方はこちらをどうぞ。
よって、最初の原資(サザエさんの預金)が存在しなければ、ゼロに何をかけてもゼロですから、貸出額の限界はゼロになってしまい、銀行は貸出を行うことができません。
かいつまむと、銀行は顧客から預かったカネを元手にして、それを預金準備率の逆数倍に膨らまして貸し出しているというのがマンキューさんの説明です。
池上さんは「預かったカネをそのまま貸し出す」という説明でしたが、マンキューさんは「預かったカネを膨らませて貸し出す」という説明です。ちょっとだけ違いますけど、基本は一緒です。
それでは本日ここまで。
おまけ
本日のおまけは、「マンキューさんを論破してみよう🤗」のコーナーです。ちょっと長いですが、ぜひご覧ください。
さて、マンキューさんの主張はこうです。「銀行は顧客から預かったカネを元手に貸し出し業務を行なっている。」
それに対してMMTの主張はこうです。「銀行は融資をするときに、何の原資も必要としていない」
論点は銀行融資には元手や原資といったなにか"先立つもの"が必要かどうか、です。
とりあえず、マンキューさんの説明を訳が分からなくさせているマスオさんの奇行をやめさせてあげましょう。
いったんマンキューさんの説明に従って、A銀行がマスオさんに800万円を現金で貸し付ける、というユーチューバーみたいな嫌がらせをしてきた所までプロセスを進めます。そもそもこの時点であり得ないんですが…
マンキュー説によれば、マスオさんは800万円の札束を持ってA銀行を後にしますが・・・そんなことするやつ絶対にいません。
ですので、マスオさんはその場でA銀行にその800万円を預け入れることにします。さらにA銀行はそれを日銀へ預けます。
そうすると、貸借相殺できる部分がたくさん出てきます。
相殺できるのは、A銀行が日銀から800万を引出して、マスオさんに手渡し、それをマスオさんから預かって、再び日銀に預けなおす、という意味不明な儀式を執り行っている部分です。この分を消してみましょう。
余計な部分が多すぎて草
なんということでしょう!私が最初にまとめたものと全く同じことになりました!再掲しますので比べてみてください。
この取引に原資が不要なことは上述のとおりです。
はい論破。
論破ついでに遠慮なしに言わせていただくと、マンキュー説は、まさに過去記事『爆発の条件』のおまけで言及したワンダーランド論法です。
マンキューさんは、いきなりマスオさんをA銀行から札束を受け取ってB銀行に持ち込むという奇行に走らせて、聞き手をパニックに陥れ、逆数倍とか数学的に証明とか畳みかけて、いつのまにか読者をワンダーランドに連れ込み、「この意味不明な儀式を執り行うには原資となる預金が必要だ」と主張します。
たしかにその預金準備制度っちゅう謎ルールに従って謎儀式をするためには必要なんでしょうね。それはもういいから、銀行融資の説明をしろよ。誰が振込手数料のケチり方を説明してくれって言ったよ。
バカか。
日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。
私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^
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