銀行の総資産と総負債が、各々400ドルになっていることに注目しよう。銀行は200ドルの貨幣をまさに創造したのだ。
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。
おさらい
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銀行への預金行為の実質は銀行に貨幣を貸し付ける行為である。だから銀行は預金に利息を支払う。
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銀行預金は銀行の負債であって、「要求されたら、同額の現金通貨を支払う」という約束の証拠である。
- マンキューは超スタンダード。
- 銀行融資とは、銀行が新たな貨幣を発行する(誕生させる)行為である。その貨幣は融資した銀行に預けられて、"銀行預金"になる。
- 銀行は融資を行うにあたって、元手や原資といった何か"先立つもの"を用意する必要はない。
- マンキューはワンダーランド。
預かり・融資以外の仕事
銀行屋さんは忙しい仕事です。貨幣を預かる、貨幣を貸し出す、それ以外にも日々、こんな業務も処理してくれています。
- 現金引き出し
- 預金振り込み
- 納税の仲介
これらには共通点があるので一気に仕訳を見ていきましょう。
なお、ここでいう"振込"は他銀行口座への振込を考えます。自銀行内の振込はサザエさんの口座残高を減らして、マスオさんの残高を増やすだけなので解説は必要ないでしょう。
現金引出・他行振込・納税仲介
現金引出
顧客が現金を引き出すときの仕訳はこちらです。
これは簡単ですね。特に解説の必要も無いと思います。
他行振込
A銀行の顧客のサザエさんが、タラちゃんのB銀行の預金口座にカネを振り込むときの仕訳はこちらです。ちょっとややこしいです。
ここでは、分かりやすくするために、サザエさんがタラちゃんに仕送りをするのを想定しています。
他行振込では、カネの動きはA銀行とB銀行の間だけで完結せず、日銀が絡みます。
サザエとタラだけを見れば、振込額の分だけ、サザエの銀行預金が減って、タラの銀行預金が増える、ただそれだけなので、日銀をはさむ必要は一見なさそうですが、
- A銀行は"サザエの銀行預金"という負債が減っている(利益を得ている)。
- B銀行は"タラの銀行預金"という負債を増やしている(損失を受けている)。
- 顧客の決済を手伝っただけでAが利益を得て、Bが損失を受けるのはフェアでないので、その分だけAがBに日銀預金を支払ってこれを清算する。
この最後の清算作業が必要なのでA銀行とB銀行がともに口座を持っている日銀が絡む必要が生まれます。
納税の仲介
顧客が自分の銀行預金で税を納めるときの仕訳はこちらです。他行振込が分かれば問題なく理解できると思います。
政府は日銀に口座を持っているので、日銀がさっきの他行振込のB銀行の役割を兼ねています。政府は他行振込のときのタラちゃんに相当します。
3つの取引に共通すること
現金引出・他行振込・納税仲介の全てに共通することは"銀行の日銀預金が減る"ということです。(他行振込では振込元のA銀行の日銀預金が減り、振込先のB銀行の日銀預金が増える。)
融資は何も無い所から貨幣を誕生させるものですから、先立つものは不要です。しかし、これらの取引には元手となる銀行の日銀預金が必要になります。
元手の日銀預金が無かったら?
それでは、銀行が経営難だったり、もしくは一時的な資金繰り悪化で、例えば顧客の引き出し要求に応じるための日銀預金が不足してしまったとき、銀行はこのピンチをどう凌ぐでしょうか。
方法は2つあります。
- 日銀から借りる。
- 他銀行から借りる。
日銀から借りるパターンは銀行融資と同じ仕組みです。
他銀行から借りるパターンは、"無担保コール翌日物"なんていう大げさな名前が付いてます。これは銀行融資よりも個人間の貸し借りに似ています。また、この翌日物には金利に関する重要な構造があります。
次回は、このあたりを説明しようと思います。
それでは本日ここまで。
おまけ
本日のおまけは大阪市廃止の阻止達成について少しばかりコメントをしようと思います。
ひとまず、何にしても安心しました。選挙速報で思わずガッツポーズしたのなんて初めてです。
私の勝手な推測ですが、維新の思惑はこんなところだったんでしょう。
日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。
私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^
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