国全体で見れば、実物的観点では、輸出は費用であり、輸入は便益である。
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。
こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。
当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。
目次
[7-1]のおさらい
(´・ω・ `)<さて、今回もまずは[7-1]のおさらいから行こか。
( ゚д゚)<主権通貨国の政府は、B払いができるから、カネはいくらでも作れる。いくらでも作れるんやからいくらでも払える。せやから、財政政策・金融政策をどうするべきか考えるときに財源不足とか債務残高増加とかは気にせんでええ。
(´・ω・ `)<うむうむ。もう完璧やな。
( ゚д゚)<おうよ!税は財源ではない!
(´・ω・ `)<マーベラス!
本日のお題
(´・ω・ `)<さて、第7章は本日が最後になります。
( ゚д゚)<お、7章は短めやの。
(´・ω・ `)<んー、第7章は一個一個の記事が長めになっとるからな。全体のボリュームで言うたら他のとあんまし変わらへんで。まあそんなこたぁええねん。最後のお題は輸出と輸入や。まずはそれぞれの用語を整理しとこか。
《輸出》とは、国内で生産した財・サービスを外国が消費することです。
一方、《輸入》とは、国外で生産された財・サービスを国内で消費することです。
生産も消費も国内で行うパターンには特定の名前がありませんが、本記事では《自給》と呼ぶことにします。
(´・ω・ `)<この輸出と輸入、それから自給について、主権通貨国の政府がどう考えたらええんかっちゅうのが本日のお題や。よろしゅうな。
( ゚д゚)<まかしときー。
(´・ω・ `)<ちゃうちゃう、ぼくが教える側よ。きみ、最後までやりきりおったな。
( ゚д゚)<おうよ。もうやめどきが分からへん。
(´・ω・ `)<そか。きみもたいへんやな。
貨幣的側面と実物的側面
輸出をすると、経常収支が黒字に、為替レートが通貨高(日本であれば円高)に傾きます。一方、輸入をすれば、経常収支が赤字に、為替レートが通貨安に傾きます。これを輸出入の《貨幣的側面》と呼ぶことにします。
輸出・輸入には、貨幣的側面だけでなく、《実物的側面》もあります。つまり、輸出は、国内の実物資源を費やして、その成果たる財・サービスの便益を外国人に享受させることであり、国民にとっては損失でしかありません。一方、輸入では、国内の実物資源を全然使わずに、国民は便益を享受することができます。これは国民にとっては純利得であると言えます。
ここで、主権通貨国の政府は、変動相場制を採用していて、為替レートを市場に放任しています。[6-2]のとおり、主権通貨国は国内の供給能力と需要が十分に大きく、政府が介入しなくても為替レートは勝手にバランスが取られる構造になっていますので、主権通貨国の政府は、輸出入の貨幣的側面をほとんど無視することができます。
これが固定相場制を採用する非主権通貨国の政府であれば、貨幣的側面を無視するなんてことはできません。むしろ固定相場制を維持するために、実物的側面に多少目をつぶらざるを得ない場面の方が多くなることでしょう。
経済政策とは
(´・ω・ `)<さて、ここでちょっといまからペラペラしゃべり倒してええか?
( ゚д゚)<あかん。待て。
(´・ω・ `)・・・
( ゚д゚)<まだやで。まだ待つんや。
(´・ω・ `)・・・
( ゚д゚)<よし!
(´・ω・ `)<まず、財政政策・金融政策をひっくるめて"経済政策"と呼ぶで。
( ゚д゚)<好き。
(´・ω・ `)<ぼくも好き。ほいでな、経済政策の根本的な目的は、《国民生活の向上》であって、この点については、機能的財政論も均衡財政論も意見の相違は無いと思うねん。
( ゚д゚)<国民生活の向上、と言いますと?
(´・ω・ `)<んとね、「国民がより多くの、もしくはより高品質の財・サービスの便益を享受できるようになること」って感じやな。
( ゚д゚)<ほんほん。ほいでほいで?
(´・ω・ `)<経済っちゅうのは、財・サービスの《生産》と《消費》で成り立っとる。生産とは「財・サービスを創り出すこと」や。消費とは「財・サービスの便益を享受すること」や。消費をするためには生産が必要や。生産されてないものは消費できひん。せやから、たくさん消費するには、たくさん生産をせなあかん。これは「たくさん生産すれば、たくさん消費される」という意味ではないことに注意してください。
( ゚д゚)<んほほんほ。ほいでほいで?
(´・ω・ `)<そして、生産をするためには実物資源が必要や。せやから、たくさん生産するには、たくさんの実物資源を活用せなあかん。ここで実物資源は有限で、貨幣みたいにそれ自体の絶対量は簡単には増やせんけー、いかに遊ばせずにフル活用するかを考えなあかんな。
(´・ω・ `)<いったん整理すると、
- 経済政策の目的は、《国民生活向上》つまり国民の消費をできる限り大きくすること(消費の最大化)である。
- 消費の最大化には、生産の最大化が必要である。
- 生産の最大化には、実物資源のフル活用が必要である。
(´・ω・ `)<ということは、《経済政策のキモは実物資源をいかに有効活用するかにある》と言えるでしょう!
( ゚д゚)<ほほー、なるほどなあ。ん?でも、それなら自然と機能的財政論に帰着するはずやないか。なんで均衡財政論とか出てきたんや。
(´・ω・ `)<それが分からへんのよー。
( ゚д゚)<そか。ミルクボーイは長くなるからまた今度な。
(´・ω・ `)<うい。
輸出の影響
輸出は、国民が消費できる財・サービスを少しも増やさず、それどころか、実物資源が輸出向け生産に費やされてしまうことで国内向け生産が減り、国民が消費できる財・サービスがむしろ減ってしまう可能性すらあります。《国民生活向上》という目的に対しては、マイナスの影響しかありません。
( ゚д゚)<たしかにそこだけ見たらマイナスかもしれんけど、輸出産業の人たちの所得が生まれとるちゃうか。
(´・ω・ `)<そんなもん、政府はいくらでも支出できるんやから、わざわざ外国に買ってもらわんでも政府が買い上げたら済む話やがな。
もちろん、もし政府が買い上げるだけ買い上げて廃棄するくらいなら、その財・サービスを欲しがっている外国人に譲り渡した方が明らかに道理に適います。ただ、ここで言っているのは、《国民生活向上》という目的に対してどうなのか、ということに議論の対象を絞ったときには、輸出には何のメリットも無い、ということなんです。
ましてや、国内に満たされていない民間需要があるのに、わざわざ輸出向け生産に実物資源を振り向けるような、例えば、
(゚⊿゚)<農業もグローバル化の時代だ!地元のスーパー向けのタマネギなんか作っても儲からないぞ!外国人様が喜ぶ高級フルーツを作って海外市場で戦うんだー!
こーゆーのは、《国民生活向上》という目的に真っ向から反したバカげた政策だと言うべきでしょう。
輸入の影響
輸入は、実物資源を一切使わずに、国民が消費できる財・サービスを増やすことができます。《国民生活向上》という目的に対しては、プラスの影響があります。
( ゚д゚)<ほいだら輸入しまくったらええってこと?
(´・ω・ `)<んー、基本的には、輸入は国民生活向上のためにはプラスになるけど、とにかく輸入しまくったらええっちゅうわけではないな。
( ゚д゚)<ありゃ、何があかんのん?
(´・ω・ `)<輸入は供給能力を毀損するからや。
( ゚д゚)<どーゆーことや。しばくぞ。
(´・ω・ `)<しばくな。
( ゚д゚)<うい。
(´・ω・ `)<ええか?いままで国産品しか売られてなかった市場に輸入品が参入して、消費者に国産品と輸入品っていう選択肢が生まれたら、国産品の売上は減ることはあっても、少なくとも増えることはあり得んじゃろ?もちろん選択肢が増えた方が国民生活は向上しとるけどな。
( ゚д゚)<ほんほん。
(´・ω・ `)<それからちょっと脱線するけど、いまぼくがしとるのはマクロの話ってことに気ぃつけてな。輸入品が参入してきても、売上が変わらんかったり、むしろ増える企業も中にはおるかもしれん。ミクロではいろんな影響が起こる可能性がある。でも全体のトータルは必ず減っとるんや。
( ゚д゚)<おけ。そこは大丈夫やで。
(´・ω・ `)<そか。話を戻すで。売上が減るってことは、所得が落ちて、中には廃業してしまう生産者も出てきてしまうってことや。つまり、輸入は、国内の生産者を減らして、供給能力を毀損してしまうわけやな。
( ゚д゚)<なるほどな。そしたら政府が所得補償とかやっとけば、バンバン輸入してええんやな。
(´・ω・ `)<いやいや、輸入した財・サービスが売れるっちゅうことは、国内に満たされてない需要がある、需要超過(供給不足)の状態ってことであって、それはつまり、国内生産者が投資して供給能力を高める余地があるってことや。
( ゚д゚)<ほんほん。
(´・ω・ `)<なのに、その需要を輸入で満たしてもうたら、せっかくの成長のチャンスを逃してしまうことになるやないか。所得補償をすれば、今現在の供給能力が毀損されることは避けられるけど、それでも結局は将来の供給能力が毀損されとるんじゃ。
( ゚д゚)<なるほどな。そしたら石油とか、そもそも国内で供給できひんやつの輸入やったら問題ないんか。
(´・ω・ `)<お、ええとこに気づいたの。そのとおりや。そういうやつなら毀損される供給能力が無いから問題にならへんな。
( ゚д゚)<ほんほん。ちょっと話が戻るんやけど、もし政府が所得補償とかほったらかして、供給能力がぐちゃぐちゃになってもうたらどうなるん?
(´・ω・ `)<[7-1]のとおり、主権通貨国であるためには、供給能力が十分に大きくないとあかんわけじゃけー、供給能力がぐちゃぐちゃになってもうたら、当然主権通貨国でいられなくなってまうわな。
安全保障の問題
また、これはMMTの範疇ではありませんが、生産を輸入に頼りきることには、安全保障の面で大いに問題があります。
(゚⊿゚)<食料なんか外国から買えばええやん!必死こいて自給なんかせんでええねん!
みたいなのは、こちらの動画で語られているとおり、かなり危うい考え方だと思います。
まとめ
ここまでの内容を表にまとめます。
繰り返しですが、経済政策のキモは実物資源をいかに有効活用するかにあります。
輸出に関する結論
- 国内の生産活動には、自給向け生産と輸出向け生産の2種類がある。
- 主権通貨国の政府にとって輸出は純損失である。
よって、主権通貨国の政府は、国民生活向上を目的として、実物資源の活用を促そうとするときには、実物資源が輸出向けではなく自給向けの生産に活用されるような経済政策を行うべきです。
実物資源がいくら輸出向け生産に活用されても、国民生活は全く向上しません。
輸入に関する結論
- 国内の需要を満たすには、自給と輸入の2種類の方法がある。
- 主権通貨国の政府にとって輸入は純利得であるが、供給能力を毀損してしまうデメリットもある。但し、石油等、元から自給ができない財・サービスについては、このデメリットは生じない。
よって、主権通貨国の政府は、国民生活向上を目的として、国内需要を満たそうとするとき、それが自給可能であれば、需要が輸入ではなく自給つまり国内の実物資源を活用することで満たされるような政策を行うべきです。
自給可能な需要を輸入で満たす場合、国民生活向上という目的自体は達成されるが、重大なデメリットが伴うことになります。
おまけ
先日、銀行屋さんが担当交代ということで来社されたときのことなんですが・・・
( ゚д゚)<どうも、xbと申します。よろしくお願いします。
(´・ω・ `)<どうも、新担当です。よろしくお願いします。
〜雑談中〜
( ゚д゚)<銀行屋さんって預金が負債だったり、融資のときにお金が生まれたりして、仕訳が特殊じゃないですか。入社のときに研修みたいなのがあるんですか?
(´・ω・ `)<えっ、そんなん無いですよ。てか、私、銀行が融資するときとかの仕訳ってどうなってるのかぶっちゃけ分からんっす。
( ゚д゚)<えっ、そういうもんなんですか。
(´・ω・ `)<いや、でも知ってた方が自分のためにもなりそうですね。会社に戻ったら経理部に聞いてみます。今度伺うときまでの宿題にさせてもらいます。
( ゚д゚)<ありがとうございます。楽しみです。
さて、どうなるかなあ。楽しみです。
日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。
私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^
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