本章では、現代貨幣の理解に必要な基礎の構築に取りかかる。なぜこれが重要なのか、最初は分かりにくいかもしれないが、我慢してお付き合い願いたい。基本的なマクロ会計を理解していなければ、政府の財政に関する議論はおそらく理解できない(そして、最近多くの国を苦しめている赤字ヒステリーを論評することもできない)。
『MMT現代貨幣理論入門』kindle版 51/553pp
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。
誰かの金融資産は、他の誰かの金融負債
すべての金融資産には、同額の、その裏返しとなる金融負債が存在することは、会計の基本原則である。
『MMT現代貨幣理論入門』kindle版 52/553pp
"金融資産" "金融負債"とは何か
こちらの記事で説明したとおり、貨幣は"資産|負債の取引の記録"であり、誰かが誰かから借金をしたときに新しく生まれます。つまり、貨幣の根源的な本質は「私には返すべき "借り"があります。」と宣誓した借用書であるわけです。
借用書は、その発行者にとっては「借りがある」こと、すなわち"金融負債"を示すモノであり、一方で、その所有者にとっては「貸しがある」こと、すなわち"金融資産"を示すモノです。
「貨幣の本質は借用書である。借用書はその発行者にとっては金融負債であると同時に、その所有者にとっては金融資産である。よって、彼が所有している貨幣は全て、その彼にとっては金融資産であるが、その貨幣の発行者にとっては金融負債である。」
冒頭の引用を少しかみ砕くと、このような文章になります。
実例を見てみよう
ここまでの説明ではちょっと抽象的でピンとこないと思いますので、"金融資産"の実例を挙げて、それらが全て、その金融資産の発行者にとっては、"金融負債"であることを確認していきましょう。
- 現金紙幣:日本銀行が発行者→日本銀行の負債
- 銀行預金:預け先の銀行が発行者→銀行の負債
- 日銀当座預金:日本銀行が発行者→日本銀行の負債
- 手形:振出人が発行者→振出人の負債
- 売掛金:顧客が発行者→顧客の負債(買掛金)
- 貸付金:借主が発行者→借主の負債(借入金)
このように、世の中のあらゆる"金融資産"は、その発行者にとっては"金融負債"として存在しています。
ここで、「現金紙幣が日本銀行の負債」というのは、ピンと来ない人がいるかもしれません。これは20世紀の前半までは、紙幣が"兌換紙幣"で、日銀に紙幣を持って行くと実物のゴールドに交換されていたので、その頃であれば分かりやすかったかもしれません。しかし、現在はゴールドに交換をしない"不換紙幣"に転換していますので、感覚を掴みにくいのはしょうがないかなといったところです。とはいえ、ピンと来ようが来なかろうが、「現金紙幣が日本銀行の負債」というのは、紛れもない真実であり、日銀の決算書にも現金紙幣は負債として計上されています。どうしても感覚が掴めないなら、「そういうもんなんだ」ということで理解するのが楽だと思います。
ちなみに、紙幣をゴールドに交換してたのを、紙幣を紙幣に交換する方式に転換した(損傷した紙幣を日銀に持ち込むと新しい紙幣に交換してもらえるそうです。)のであって、実際は"不換"じゃないんですけどね。
【本日のオススメ動画】
本日、私がオススメする動画は大西まさと氏のこちらの動画です。特に動画後半の「森林環境税」の説明は多くの方に知っていただきたい内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^
応援コメント、指摘コメント、お待ちしております!よろしくお願いします!