経理屋が読み解く『MMT入門』

『MMT入門』(L・ランダル・レイ,2019,東洋経済新報社)をベースにMMTを解説します。ときには自分の思うところを書き綴ったり。

10-11.財政の正しい捉え方

政府は資金不足にはなり得ない。政府には常に、我々が自立した国家運営を行うのに必要な財政的な能力がある。

MMT現代貨幣理論入門』kindle版 522/553pp

 

当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。 

xbtomoki.hatenablog.com

 

当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

xbtomoki.hatenablog.com

 

目次 

 

本日のお題

( ゚д゚)<で、あれはどうなったん?

(´・ω・ `)<あれ?アレやったのはオレやで。

( ゚д゚)<いや、そういうのええから。

(´・ω・ `)<なんじゃー、ノリ悪いの。アレてなんやねんな。

( ゚д゚)<[10-5]の始めで言うてた「正しい財政の理解」ってやつじゃ。

(´・ω・ `)<ああ、アレ言ったのはオレやで。

( ゚д゚)<そういうのええて。しばくぞ。

(´・ω・ `)<うい。

( ゚д゚)<で?まだ教えてくれへんの?

(´・ω・ `)<ほじゃの。「税は財源ではない」の話も全部できたし、経済の本質は仕事の成果の持ち寄りと分け合いって話もしたし、次はその話をしようかの。

ということで、今回のお題はこちらです。

【財政の仕組みはどのように捉えられるべきか】

(´・ω・ `)<よろしゅうな。

( ゚д゚)<まかしときー。

(´・ω・ `)<ちゃうちゃう。ぼくが教える側よ。

( ゚д゚)<ったく、いつになったら覚えるんや。

(´・ω・ `)<いつになるかねえ。

 

政府支出と徴税だけでええんよ

「財政」と言えば、多くの人はこんな↓イメージをお持ちだと思います。

( ゚д゚)<難しい!
( ゚д゚)<ややこしい!
( ゚д゚)<よく分からん!

(´・ω・ `)<どのへんが難しくてややこしくてよー分からんの?

( ゚д゚)<えーと、国庫短期証券を発行して、政府支出をして、国債を発行して、国庫短期証券の償還をして、徴税をして、ほいで国債の償還か。

( ゚д゚)<こんだけの仕訳を覚えるだけでもいっぱいいっぱいやし、これを組み合わせてどーのこーのまで言われたら、もう訳が分からんのよ。

(´・ω・ `)<ほんほん。

( ゚д゚)<とは言え、財政政策をどうしたらええかってことをちゃんと考えるんやったら仕組みを理解しとかなあかんやんか。どうしたらええんや。

(´・ω・ `)<ほんほん。それな、覚えんでええで。

( ゚д゚)<えっ?

(´・ω・ `)<覚えんでええんよ。もちろん覚えるに越したことはないけどな。普通のいち国民として「政府がどんな財政政策をやるべきか」ってことを考えるときはこれ↓だけ覚えとけば足りるで。

( ゚д゚)<ほんまに?てか、その前にこの「統合政府」って何じゃい。

(´・ω・ `)<政府と日銀を一体のものとして考えるときの言い方やな。

( ゚д゚)<政府と日銀を一体のもんとするて、そんなんやってええんか。

(´・ω・ `)<ほんとに一体にしようっちゅう話ちゃうで。「政府がどんな財政政策をやるべきか」ってことを考えるときは、一体のもんとして考えても支障は無いし、その方が分かりやすいけー、そうしましょうって言うとんのや。

 

徴税時の政府預金発行は不要

[10-9]のとおり、徴税の本分は民間部門の資産を減らすことであって、政府部門の資産を増やすことではありません。

よって、徴税のときには、

①銀行預金の消滅
②日銀当座預金の消滅
③政府預金の新規発行

の3つの取引が同時に行われますが、このうちの③政府預金の新規発行は必要なものではありません。①②の時点で既に徴税の目的(民間部門の資産を減らす)は達成されています。

(´・ω・ `)<じゃけー、③は意味ないねん。いらんのんよ。徴税ってのは、本来これで↓十分なんじゃ。

(´・ω・ `)<ほいで、「これやと収益が日銀に発生してて気持ち悪い」って言うんやったら、こうしたら↓スッキリするがな。ついでに「国民」じゃなくて「企業・家計」に書き直しとくで。

 

支出時の政府預金消滅も不要

同じく政府支出の本分は民間部門の資産を増やすことであって、政府部門の資産を減らすことではありません。

(´・ω・ `)<じゃけー、政府支出もこれ↓でええんよ。

 

政府預金は不要

さて、

この統合政府で考える場合の仕訳↓には、政府預金がどこにも出て来ません。

ということは、政府預金が仕訳のどこにも出て来ないような徴税・政府支出の仕方でも、徴税・政府支出の目的はちゃんとつつがなく達成することができるということです。

よって、【徴税・政府支出を実行するのに、政府預金なんていう預金口座は本来は別に必要でない】ということが分かります。

 

国庫短期証券も不要

(´・ω・ `)<ほいでさらに、ということは?

( ゚д゚)<ポテトサラダにということは?

(´・ω・ `)<ポテトサラダとは言うてへんよ。

( ゚д゚)<せやな。で?

(´・ω・ `)<しばくぞ。「徴税・政府支出のために政府預金は必要ない」ってことから、さらに何が分かりますか?って聞いとんじゃ。

( ゚д゚)<知りません。

(´・ω・ `)<ちょっとは考えてーや。

( ゚д゚)<そんなもん時間の無駄じゃ。はよ。答えを言いんさい。怒ったりせんけー。ささ、はよ。

(´・ω・ `)<やりづれえのー。

( ゚д゚)<人のせいにしない!はよ!ほれ!はよ!

(´・ω・ `)<はいはい。分かった分かった。

( ゚д゚)<ハイとゴメンは1回でよろしい!

(´・ω・ `)<あーもう。ええか?てことはな、国庫短期証券の発行も本来なら必要ないんじゃ。

( ゚д゚)<なんでや。

(´・ω・ `)<政府預金なんか無くても政府支出はできるのに、なんで国庫短期証券を発行して政府預金の残高を補充する必要があるんじゃ。

( ゚д゚)<知りません。答え。はよ。

(´・ω・ `)<ああ、いや、いまのはクイズを出したかったわけじゃなくてやな。

( ゚д゚)<あ?ほいだら何じゃい。

(´・ω・ `)<補充なんかせんでも目的である支出を実行できるってことは、いちいち補充する必要なんか無いってことじゃろ?

( ゚д゚)<知りません。答え。はよ。

(´・ω・ `)<ダメだこりゃ。

 

まとめ

徴税とは、
【納税者の銀行預金が消滅して減る】
【銀行の日銀当座預金が消滅して減る】
だけで成り立つものであり、
【政府の政府預金が発行されて増える】
は必要なものではありません。

 

同じく政府支出も
【支出先の銀行預金が発行されて増える】
【銀行の日銀当座預金が発行されて増える】
だけで成り立つものであって、
【政府預金が消滅して減る】
も同じく必要なものではありません。

 

この「政府預金を発行する・消滅させる」という余計な取引を無視して徴税・政府支出の仕訳を書くと、政府のところは「仕訳なし」になります。

これは、政府と日銀を一体のもの(統合政府)として考えてしまっても支障が無いことを意味します。

 

さらに、政府預金が存在しなくてもよいことは、政府預金の残高補充のための仕組みである国庫短期証券も存在する必要が無いことを意味していて、また、[10-6]のとおり、徴税・政府支出の実行には国債も必要ではありません。

よって、財政政策の実行に当たって、

は、必要なものではなく、事務手続上の存在程度の意味しかありません。"財政政策の実行には"という点には注意してください。国債国庫短期証券は金融ビジネスにとっては重要なものです。

 

つまり、冒頭で( ゚д゚)

このようにたくさんの仕訳を並べましたが、

という無意味なものを除いてしまえば、

残るのは、この2つだけとなります。

つまり、実際に財務省や日銀が行っている事務処理は政府支出・徴税・政府預金・国債国庫短期証券が絡み合う複雑なものですが、そのコアは単純なこの2つ↓だけのオペレーションであり、

私たちが「政府はどんな財政政策を行うべきか」を考えるときには、【財政は統合政府による支出と徴税だけで成り立つ】ものとして議論をすればよい、と言うことができます。

 

よって、[10-9]で、「徴税とは、端的に表すと、このようなもの↓だ」と言いましたが、

より端的に核心の部分だけを表すなら、このように↓描くべきです。

 

なので、政府支出・徴税とは、"お金"というブツがあっちに行ったりこっちに行ったりするようなイメージではなく、*1

電気のスイッチをつけたり消したりするようなイメージで考えるべきものです。*2

ここまで理解していただければ、政府支出に財源が必要でないことが、もっと広く言えば、[10-5][10-9]で説明してきた内容がごく当たり前のこととして理解できるようになると思います。

 

 

それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

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ねんがんのトラックボールマウスをてにいれたぞ!

 

ということで、8月頭にこの↓トラックボールマウスを買いました。

www.elecom.co.jp

いやーこれ、便利ですわ。

ただ、便利さの9割くらいはトラックボールというか、ボタンの多さ(左クリック・右クリック以外に8個付いてて、それぞれにショートカットを設定できる。しかも操作してるソフトごとに違う設定ができる。)にある気もしますが、まあいいでしょう。

トラックボールでのカーソル操作は、最初の1週間くらいは苦戦しましたが、今はもうほとんど問題ないです。かと言って、「普通の光学式にはもう戻れない!」ってほどでもないです。まあ、そこは大した違いじゃないかな、マウスがキーボードとかに不意に当たってイラッとすることが無いのは良いかな、といった感じです。

唯一まだ慣れきってない、やりづらさが抜けないのは、ドラッグ&ドロップの操作ですね。左クリックボタンが親指の位置にあるので、手のひらでマウス全体を押さえながら、親指を押し込んだ位置に固定しつつ、人差し指・中指を動かす感じになるんですけど、気を抜くと親指がピクって動いてドラッグが外れます(´・ω・ `)

まあ、もうちょい慣れたら克服できるでしょう。全体としては良い買い物したなという感じです。

が、つい最近、会社でそこそこ大きめの問題を見つけまして・・・

 

問題点

( ゚д゚)<xbくん、ちょっとお願いしてええかな。

(´・ω・ `)<うい。なんすか。

( ゚д゚)<パソコン仕事なんやけど、これこれこーゆーことをお願いしたいんよ。

(´・ω・ `)<んーと、何言ってんのかよー分からんす。ぼくのパソコンでちょっとやって見せてもらえませんか。

( ゚д゚)<せやな、そっちのが分かりやすいか。ん?なんやこれ。

(´・ω・ `)<ねんがんのトラックボールマウスをてにいれました。

( ゚д゚)<そか、よかったの。ほいだら説明するで…あれ、このマウス動かんぞ。

(´・ω・ `)<あっ、マウス自体じゃなくてボールを動かしてください。左クリックは親指のとこのいちばんでかいやつです。

( ゚д゚)<おお、なるほどな。ほいでな、ん、む、ああっ、ああっ!ああん!ううん!うふんうふん!

(´・ω・ `)<先輩、場所をわきまえてください。

( ゚д゚)<あかん、これぼくには無理や。

(´・ω・ `)<そうですか。そしたらちょっとめんどいですけど、先輩の机のとこに行きますか。

( ゚д゚)<そうしよか。しゃーないの。

ってなことがありまして、

いろんな仕事のやり方があるので、この問題は誰にでも起きるわけじゃないと思いますが、トラックボールマウスを買ってみようかなと思っていただいたのであれば、こーゆーことが起きるってことは知っておかれた方がいいかなと思います。

 

ここからが本題

で、ここからが本題なんですが、

( ゚д゚)<えっ、まだあるん?

(´・ω・ `)<うるせえ嫌なら読むな。

このマウスを買うかどうか考えてたとき、私は「他の人に使ってもらうとき」のことなんか頭の片隅にも無かったんですよ。

今となっては、そりゃそうだよなと思いますし、買う前の時点でも気づくことは可能だっただろうなとも思います。

でも、気づけませんでした。実際にそれが起こるまで全く気づけませんでした。

だから、つまりはきっとそういうことなんでしょう。

私たちの想像力なんてのはその程度であって、事前に起き得る問題を何でも予測して、先回りで手を打てるほどのものじゃないんです。テレビの世界には後出しジャンケンで「こんなの事前に予測できたはずなのにウンタラカンタラ」みたいなこと言う予言者さんたちがたくさんいますが。

マウスでワチャワチャしたくらいで大げさかもしれませんが、今回、私は改めて経験というものの存在の大きさを感じました。

挑戦して、失敗して、分析して、教訓を得て次に活かす。その経験の積み重ねのことを私たちは知恵・伝統と呼んでいて、結局のところ、私たちが成長していく方法は、そのようにする以外に無いんでしょう。

 

アレとアレの浅はかさ

それでは、もう少しだけ話を続けますと、

( ゚д゚)<なっがwwww

(´・ω・ `)<うるせえ。

これは[10-10]で言ったことと少しかぶるんですが、そんなことまで考えを進めてみると、先人の知恵の上に成り立っているものを思いつきでぶち壊してしまうことがいかに浅はかで、いかに危ういことであるかを強く感じます。これは、そこにチャレンジすることを否定しているわけでなくて、大した思慮も覚悟も無しに「既存の古臭いものより、ぼくのかんがえたさいきょうのシステムの方が優れてるに決まってる。」と考えることを浅はかだと言っています。

それとともに、もうひとつ、そんな知恵を私たちが受け継いだり、共有したりするために欠かせないものが言葉です。

今回の件では、そういった側面での言葉というものの大切さと、

いっとき流行った

(゚⊿゚)<我が社は英語を社内公用語にします!

とかいうやつの浅はかさも感じました。

いまもやっとんかな(´・ω・ `)
やっとんだろうな(´・ω・ `)

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

( ゚д゚)<最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!!

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