EMU加盟国でこのような債務問題が発生する可能性を減らすため、各加盟国は財政赤字と債務発行に対する制限を採用することに同意した。
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。
こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事注釈で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。
当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。
目次
本日のお題
それでは、前回記事から引き続き、"ユーロ"の基本的な仕組みを解説していきましょう。
( ゚д゚)<よろしゅう!
マーストリヒト基準
EUは、ユーロ使用国の政府に、"マーストリヒト基準"を満たすことを求めています。
( ゚д゚)<まーすと?なにそれ?
(´・ω・ `)<↓こちらでございます。
( ゚д゚)<要するに緊縮財政をやれっちゅうことか。
(´・ω・ `)<そのとおりや。ユーロ使用国は緊縮財政をせなあかんことになっとる。ほんでどのくらい緊縮せなあかんのかっちゅうのを決めたのがマーストリヒト基準や。ちなみにやけど、ほとんど守られとらんらしいわ。
( ゚д゚)<ええ・・・じゃあ、これ意味ないんか。
(´・ω・ `)<んー、まあ、有名無実化しとるかもしれんけど、ユーロ使用国の財政の仕組みを理解するには、ここの説明が必要なんよ。
( ゚д゚)<そか。ほいだら気ぃ取り直してこ。なんでユーロ使用国は緊縮財政をせなあかんの?
(´・ω・ `)<それが本日のお題や。なんでEUがユーロ使用国に緊縮財政が求めるんか、これからその趣旨を説明していくで。
期待値の話
(´・ω・ `)<突然やけど、"期待値"って知っとるけ?
( ゚д゚)<知らん!
(´・ω・ `)<元気があってよろしい。ええか?例えば、
( ゚д゚)<あかん!
(´・ω・ `)<えっ、どしたん。
( ゚д゚)<ハー!
(´・ω・ `)<調子乗んなよ。ええか?例えば、サイコロを振って、2〜6が出たらぼくから賞金100円がもらえる、1が出たらハズレで0円、このゲームの参加料が100円やったらやるか?
( ゚д゚)<やるわけないやん。なんやそのまわりくどいカツアゲ。ハズレで丸損やし、当たっても参加料が返ってくるだけやないか。
(´・ω・ `)<参加料が50円やったらどうや?
( ゚д゚)<それやったらええで。むしろぼくに有利そうじゃけーの。はい50円。サイコロどこ?
(´・ω・ `)<やらんわ。80円ならどや。
( ゚д゚)<やらんのか。80円ね、そらきわどいな。えーと、6回やったら500円返ってくる計算やんな、ほいで80円を6回なら480円か。そしたら80円は買いや。90円ならブーやな。
(´・ω・ `)<それや。
( ゚д゚)<どれや。
(´・ω・ `)<きみがいま計算した"6回やったら500円返ってくる"ってのが、まさに期待値や。普通は1回あたりの計算で考えるけどな。つまり、このゲームの期待値は83.333…円や。きみはこの83.333…と参加料を比べて、買いだのブーだの言っとるわけやな。
( ゚д゚)<ほんほん。さすがぼくやな。な?
(´・ω・ `)<はいはい。
( ゚д゚)<はいは1回でよろしい。
(´・ω・ `)<うっとうしいのう。ええか?さっきは
( ゚д゚)<ハー!
(´・ω・ `)<しばくぞ。さっきは1だけがハズレやったけど、1,2がハズレで0円、3~6がハズレで100円、これなら参加料いくらまでいける?
( ゚д゚)・・・(どういうことや。全部ハズレやぞ。でも0円とか100円とか、なんかえらそうに言っとる。ボケか?天然か?わからんわからん。もしかしたら、ぼくがふざけるから内心キレとるんかもしれんな。とりあえずスルーしとくか。)
( ゚д゚)<えと・・・それやと6回で400円じゃけえ、期待値は66.666…円じゃけえ、60円なら買い、70円はブーやな。
(´・ω・ `)<今日は飲みこみが早いの。そのとおりや。↓こういうことやな。
- ハズレの確率が上がると期待値が下がる。
- 期待値が下がると、参加料を安くしないと買ってもらえなくなる。
( ゚д゚)・・・(天然やったんか?)
( ゚д゚)<で、その期待値がどないしたん?
(´・ω・ `)<後で分かるわ。伏線てやつや。
( ゚д゚)<伏線て言うてもうてますやん。え?それはボケなん?天然なん?もうわけがわからんわ。ごめんやで。ぼくがふざけ過ぎたわ。
(´・ω・ `)<ボケやがな。どうしたんや。
地方自治体の財政の仕組み
ユーロ使用国の政府は、主権通貨を捨ててしまっているので、B払いをすることができず、A払いしか支払方法を持ちません。
ですから、ユーロ使用国の政府は、たくさん支出をするためには事前に貨幣をたくさん入手しておかなければならない、ということになります。
これは日本で言えば、政府よりも都道府県や市町村などの地方自治体の立場に似ています。
日本の地方自治体は、基本的には、住民税等の地方税と政府からの交付金を合わせた歳入で支出を賄います。ですが、もし支出に対して歳入が足りなければ、その財政赤字は地方債を発行して埋め合わせます。
( ゚д゚)<"政府からの交付金"って何や。
(´・ω・ `)<補助金みたいなもんや。例えば、東京なら事件があってもすぐ警察が来てくれるけど、田舎やったら無法地帯、みたいなことになったらあかんやろ。じゃけえ、税収が少ない自治体には、政府がおこづかい渡して、日本中どこでもそれなりの行政サービスが受けれるようにするための仕組みや。
( ゚д゚)<ユーロ使用国にもEUからおこづかいがあるんか?
(´・ω・ `)<ないで。ドイツもフランスもギリシャも基本的な歳入は税収オンリーや。国営企業とかも多少はあるやろうけど。
( ゚д゚)<ほーん。たいへんやな。
地方債は、政府で言うところの国債に当たるわけですが、[4-11]のとおり、日本政府は、国債償還のためのカネが必要になれば日銀にいくらでも作らせることができるので、日本政府の国債に非自発的デフォルトのリスクはありません。
一方、地方自治体には、日銀のようにいくらでもカネを作ってくれる存在がいませんから、[4-12]のとおり、償還のためのカネを地方税・交付金から捻出しなければならず、地方債には非自発的デフォルトのリスクがあります。
地方債は償還期限が訪れると、歳出の一部になります。そのときも[地方税+交付金<支出]の財政赤字状態であれば、地方債を償還するためのさらなる地方債が必要になります。これが続くと地方債が利払い費と合わせてどんどん膨らみます。
逆に、[地方税+交付金>支出]の財政黒字状態であれば、余った歳入で地方債を減らしていくことができます。地方債がすっかりなくなれば、むしろ貯蓄が生まれることもあり得ます。但し、支出削減や税収増による地方自治体の黒字は、住民の赤字の裏返しであり、通常、望ましいことではありません。
(´・ω・ `)<さて、どっちの方が地方債がデフォルトする可能性は高いでしょう?
( ゚д゚)<そら財政赤字状態の方やろ。
(´・ω・ `)<そのとおりや。よし、じゃあ伏線回収していくで。
( ゚д゚)<それはボケやんな?
(´・ω・ `)<どうしたのよ、きみ。
財政赤字スパイラル
警察・医療・救急・教育・年金・インフラ等の政府支出は、(普通は)削ろうと思っても削れるものではありません。国民生活に大きな支障が生じてしまうからです。とはいえ、通貨主権を持たないユーロ使用国の場合、いくら国民が困ろうとも、カネがなければ、削るより他にしようがありません。
なので、ユーロ使用国の政府は、税収が思ったように上がらず、歳入だけで支出を賄えないときには国債を発行・売却して、投資家からカネを調達します。これが非主権通貨国にとっての国債の意義です。これを借金に例えるのは理解できないこともないです。 [4-7]のとおり、主権通貨国にとっての国債が金融政策を機能させるための手段に過ぎず、支出を賄うという側面が全く無いのとは大違いです。
よって、ユーロ使用国の政府は、いつでも必要なときに必要なだけのカネを確実に投資家から調達できるようにしておかなければなりません。
一方、買い手側の投資家にとって、非主権通貨国政府の国債とは、最初のサイコロゲームのようなものです。
ゲーム代を払って、だいたいはゲーム代以上の額が返ってきますが、一定の確率でハズレつまりデフォルトとなり、1円も返ってきません。ゲーム代をいくら払うかは、デフォルトの確率から計算される期待値と比較して決定されます。
( ゚д゚)<ほんで、その投資家が払ったゲーム代で、政府が税収不足を補うっちゅうことやな。
(´・ω・ `)<そういうことや。今日はええ子やな。よしよし。
国債のデフォルト確率は、サイコロゲームのように具体的にいくらと計算することはできませんが、「非主権通貨国政府の国債のデフォルト確率は、財政赤字や累積債務が大きいほど上がる」ということは間違いありません。
( ゚д゚)<デフォルトの確率が上がる→期待値が下がる→ゲーム代(国債の販売価格)を安くしないと国債が売れない、こうやったな。
(´・ω・ `)<今日はほんまええ子にしとるな。そのとおりや。もうちょっとがんばってみようか。[4-4]で解説したことや。国債の販売価格が下がるということは?
(´・ω・ `)<いえす!ざっつらいと!販売価格が下がれば、賞金に対してちょっとだけのゲーム代しか払ってもらえへんってことやから、調達したい金額に対してたくさんの国債を発行せなあかんくなって、償還費・利払い費が増えて、債務がどんどん膨らむ。つまり、↓こういうことが起きるわけや!
この財政赤字スパイラルにはまってしまうと、デフォルト確率が上がり続けて、いつかは非自発的デフォルトに追い込まれることになり、警察や医療等の必要な支出が削られて、国民生活に大きな支障が生じてしまいます。
( ゚д゚)<つまり、ユーロ使用国は主権通貨を捨てとるけー、国債にデフォルトリスクがある。投資家にデフォルトリスクを高く見られると、国債が高く売れへん、つまり高金利でないと売れへんくて、カネの調達がしんどくなる。カネが調達できひんと国民が困る。じゃけえ、ユーロ使用国の政府は、普段から緊縮財政をして、デフォルトを遠ざけなあかん。でも、一部の国だけが緊縮したら、他のユーロ使用国に国民が逃げて偏りみたいなのがEUの中で起きるとよろしくない。そこで、ユーロ使用国同士で足並み揃えるために基準を作って"みんなでそれを守りましょう"と取り決めた。それがマーストリヒト基準ってことか。
(´・ω・ `)<いよっ!おまとめ上手!
但し、もちろんこれは非主権通貨国だけの話です。日本みたいな主権通貨国は、上の図のいちばん最初の[財政赤字]→[デフォルト確率up↑]、これが成り立たないので、スパイラルになることはありえません。
おまけ
40分弱のやや長めの動画なんですが、消費税の仕組みから問題点までをしっかり網羅されています。ぜひご覧ください。
本当はむしろ消費税賛成の方にこそ見てもらいたいんですが、まあ見ないんでしょうね。
なお、安藤先生が会長を務めている議員連盟「日本に未来を考える勉強会」の中での講演で、ある程度消費税の仕組みを分かっている人向けなので、説明の仕方が少々手加減無しになってます。
( ゚д゚)<でも大丈夫!
安藤先生は月1くらいのペースで#あんどう裕さんに質問で寄せられた質問ツイートに答えるYoutubeライブをやってます。分かんないところがあったら、#あんどう裕さんに質問で「あの動画のここのとこがよく分からんかったんですが」と質問してみましょう^^
日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。
私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^
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