国債乱発派のMMT解説

ランダル・レイ教授の『MMT入門』をベースにMMTを解説します。ついでに自分の思うところなんかも伝えられたらと思います。ツイッターはこちらhttps://mobile.twitter.com/xbtomoki

6-6.ユーロの欠陥(3)

マクロ会計の恒等式によって、経常収支赤字は、政府部門と国内民間部門の赤字の合計に等しくなければならない。
MMT現代貨幣理論入門』kindle版 339/553pp


当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。 

xbtomoki.hatenablog.com

 

当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事注釈で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

xbtomoki.hatenablog.com

  

当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。

MMT現代貨幣理論入門

MMT現代貨幣理論入門

 

 

目次 

 

本日のお題

[6-4][6-5]でユーロの基本的な仕組みを説明しました。続いてのテーマは"ユーロ危機"です。

( ゚д゚)<ユーロ危機?なにそれ?

(´・ω・ `)<リーマンショックてあったやんか。

リーマンショックとは、すごくかいつまんで説明すると2008年にアメリカのリーマンブラザーズ社が売り出していた"サブプライムローン"という大人気金融商品がインチキであることがバレたことをきっかけに起きた経済ショックです。

大量の投資家が大損こいて、当のリーマンブラザーズ社も倒産して、かろうじて生き残った投資家もビビり倒して手持ちの金融商品を売りまくり、みんなが売りまくるから、それがさらなる売りを呼ぶ、そういうパニック状態が起こりました。

( ゚д゚)<そんなこともあったね。

(´・ω・ `)<んで、パニックはヨーロッパにも波及して、2009年〜2010年にユーロ使用国の中のいくつかの国債がデフォルトしそうやっていう評判が立ったんや。

( ゚д゚)<ほんほん。それでそれで?

(´・ω・ `)<特に危険視されたんがPIIGS(ピーグス)って呼ばれた5ヵ国や。ポルトガル(P)・アイルランド(I)・イタリア(I)・ギリシャ(G)・スペイン(S)やな。

( ゚д゚)<ほーんほんほんほほほんほー。

(´・ω・ `)<ちゃんと聞いとる?ほいでやな、デフォルトの噂が立ったPIIGS国債は、価格が下がり、金利が上がり、前回説明した財政赤字スパイラルに陥ったんや。

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( ゚д゚)<あらまあ、そのPIIGS以外はどうやったん?

(´・ω・ `)<ドイツなんかは大してダメージ受けてへんな。そしてドイツ政府は「あいつらがデフォルトしそうになってるのはブタみたいな浪費家だからだ」ってPIIGSを叩いたんや。

( ゚д゚)<ああ、PIIGSて、ブタのpigと掛けとんの?

(´・ω・ `)<せやで。正直、あんまり使いたくないワードやけど、他に分かりやすいのがないけーの。しゃーなしや。

( ゚д゚)<ほんほん。なんでドイツはノーダメで、ギリシャはピンチみたいな違いが出たんや?ユーロ使用国は、みんな足並み揃えて緊縮しとるはずやろーもん。

(´・ω・ `)<それが本日のお題や。"なぜユーロ危機はPIIGSで起きて、ドイツでは起きなかったのか"を説明していくで。よろしゅうな。

( ゚д゚)<まかしときー。

(´・ω・ `)<ちゃうちゃう。ぼくが教える側よ。このネタ2回目よ。

( ゚д゚)<ええがな、減るもんじゃなし。

(´・ω・ `)<そりゃ減りはせんけど…まあええわ。それから、しつこいようやけど、[4-11]のとおり、日本みたいな主権通貨国では国債の非自発的デフォルトのリスクがそもそもゼロじゃけー、ごっちゃにせんようにの。

 

まずはデータを確認

まずはユーロ危機(2009年〜2010年)前後のPIIGSのデータを見てみましょう。

ポルトガル

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( ゚д゚)<最近グラフがおしゃれになってへん?

(´・ω・ `)<うふふ。

( ゚д゚)<きもっ。

(´・ω・ `)・・・・・

( ゚д゚)<ごめんて。つい。

(´・ω・ `)<ええんやで。こないだこのサイトを知っての。参考にさせてもろとんや。

 

アイルランド

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イタリア

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ギリシャ

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スペイン

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続いて、ドイツのデータも見てみましょう。

ドイツ

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比べやすいようにちょっと小さくなりますが並べてみます。

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( ゚д゚)<2010年前後はどの国も財政赤字で債務が増えとるな。でもドイツだけは早々に赤字から黒字に転換して債務もじわじわ減っとる。ところがPIIGSは赤字が消えるまで年数かかっとるし、アイルランドの債務残高は横ばいくらいやけど、他の国はずっとじわじわ増えとる。こんなとこかの。

(´・ω・ `)<うむうむ。

( ゚д゚)<ギリシャが2012年にガクンって債務が減っとるんはどしたん?

(´・ω・ `)<デフォルトしたんや。

( ゚д゚)<ああ、なるへそ。

(´・ω・ `)<もひとつ、PIIGSとドイツの大きな違いがあるんやけど、分かるかな?

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( ゚д゚)<分からんわ。

(´・ω・ `)<そか、しゃーない。正解は経常収支や。黄緑のバーやな。

( ゚д゚)<おお、そういえばドイツだけガッツリ経常収支が下側に固まっとるな。経常収支はプラスマイナス逆に描画しとるから、えーと、これはずっと黒字ちゅうことやな。

(´・ω・ `)<うむ。そーゆーこっちゃ。

 

財政赤字の根本原因

[1-4]で説明したマクロ会計の恒等式を再確認しましょう。こちらです。

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国外収支と経常収支

国外収支・経常収支についても再確認しておきます。国外収支はそのまんまで、国外部門(全ての外国)の収支です。それに対して経常収支は、"国内から見た国外収支"です。

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訳が分からないと思うので、もうちょっと説明します。

例えば、日本が1兆円の貿易黒字になったら、日本の経常収支は1兆円の黒字ですが、誰かの黒字は誰かの赤字です。それは国外部門(日本以外の全体)にとっては1兆円の赤字ですので、そのときの国外収支は1兆円の赤字となります。

このように国外収支と経常収支は裏表の関係になっていて、↓この2つの式の意味するところは全く同じです。

  • 政府収支+民間収支+国外収支=0
  • 政府収支+民間収支-経常収支=0

グラフを経常収支で作りましたので、ここから先は↓こっちのバージョンの恒等式をベースに説明していきます。

政府収支+民間収支-経常収支=0

 

経常収支と政府収支

(´・ω・ `)<[4-2]で民間は黒字じゃないと国民同士のしばき合いになっちゃうよっていう話をしたの覚えとる?

( ゚д゚)<覚えとるよ。民間は全体として黒字で膨らんでいかんと限られたパイの取り合いになってしまうんやんな。

(´・ω・ `)<うむうむ。ほいじゃあ、経常収支赤字のPIIGSで民間収支を黒字にしようとしたらどうなるか、見てみよか。

 

恒等式に【民間収支=+50,経常収支=-100】を代入します。
 政府+50-(-100)=0
 政府+50+100=0 → 政府=-150

( ゚д゚)<財政赤字になったの。

(´・ω・ `)<せや。民間収支がプラス、経常収支がマイナスやったら、政府収支は絶対マイナスになる。試しにいろんな数字入れてみるか?

( ゚д゚)<いや、ええよ。きみはそんなしょうもないウソつくやつやないって知っとる。

(´・ω・ `)<そか。ありがとナス。そしたら次行こか。経常収支黒字のドイツで民間収支を黒字にしようとしたらどうなるか。

 

【民間収支=+50,経常収支=+100】
 政府+50-(+100)=0 → 政府=+50

【民間収支=+100,経常収支=+50】
 政府+100-(+50)=0 → 政府=-50

( ゚д゚)<今度は財政黒字になったり、財政赤字になったりするの。

(´・ω・ `)<せや。民間収支も経常収支もプラスやったら、民間<経常のときは財政黒字、民間>経常のときは財政赤字になる。

 

まとめると、経常収支が赤字だと、民間収支黒字を達成するためには、財政赤字が避けられません。
一方、経常収支が黒字なら、民間収支の黒字額が経常収支の黒字額を超えない限りは、政府・民間の両部門がともに黒字になれます。

 

ホームラン級の…

要するに、PIIGS財政赤字は、浪費癖によるものなんかではなく、経常収支赤字国の政府が、国民同士でしばき合いにならないよう、民間収支黒字を保つためには、避けられないものだったわけです。

さらに言うと、大元の原因である経常収支赤字は、ドイツからの輸入が主な要因でした。それは同時に、ドイツの経常収支黒字の主な要因がPIIGSへの輸出であったことを意味します。

PIIGSが経常収支赤字を引き受けてくれるおかげで財政黒字を達成できているドイツがPIIGS(゚⊿゚)<きみたち、そんなんじゃダメだよ。とか言っちゃって、PIIGS( ゚д゚)<ぼくらもドイツみたいにならなくちゃ!とか言っちゃってるわけです。

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さらにさらに言うと、本来なら、各国がそれぞれの通貨を持っていて、ドイツ→PIIGSにどんどん輸出すると、ドイツは通貨高(マルク高)になって、ドイツの輸出が落ち込み、自動的にバランスが取られていたはずですが、ユーロ使用国は共通通貨を採用してしまっているので、そういった為替変動による自動安定化機能も失ってしまっています。

さらにさらにさらに、ユーロ圏内の貿易は自由化されているので、PIIGSの政府は輸入に対して関税や制限をかけて経常収支をコントロールすることができません。

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まるちゃん、なんでもかんでも自由にしたらジャイアンがヒャッハーするだけだよって言ったよね?

 

( ゚д゚)<そもそものそもそもで、なんでPIIGSはドイツからそんなにいっぱい輸入しとったん?

(´・ω・ `)<生産能力不足やな。観光くらいしか産業が無くて、いろんなもんが自国内で生産できひんからドイツ製品を輸入せんと国民生活が成り立たへんかったんや。

( ゚д゚)<あっそ。

(´・ω・ `)<しばくぞ。

 

まとめ

リーマンショックのような経済ショックが起きると、失業者や企業倒産が増えます。
すると、(普通の)政府は、失業手当を支払ったり、現金給付をしたり、新規公共事業を立ち上げたり、公務員雇用を増やしたりして、困窮者を救済しようとします。
つまり、不況期には、通常、政府部門から民間部門への支出が増えて、政府収支は大きな赤字に、民間収支は大きな黒字になります。

ちょっと脱線しますが、どこぞの政府みたいに失業や倒産で苦しむ国民に(゚⊿゚)<自助したらええやんとか言って支出をケチったところで、失業者や倒産企業からは税を取れないので、税収減による財政赤字増大は結局避けられません。ただただ国民が苦しむだけです。

 

問題の本質

PIIGSは、元から恒常的な経常収支赤字によって財政赤字を避けられない体質でした。

これはユーロ危機以前から存在していた問題ですが、世界中のほとんどが気づいていなかったか、もしくは気づいていながら目をつぶっていました(ギリシャ政府は不正会計によって財政赤字を長年に渡って隠蔽していました)。

そして、リーマンショックの影響によってユーロ使用国の財政赤字が目に見えて膨らみ、この問題が明らかになってしまいました。

ユーロ危機のきっかけはリーマンショックでしたが、その原因は(゚⊿゚)<よーわからんけど、とにかく自由化したらええねんで突き進んで生まれたジャイアンがヒャッハーし放題の構造だったわけです。

 

(´・ω・ `)<さて、なんでPIIGSは危機に陥ったのに、ドイツは危機にならんかったのか、分かったかの?

( ゚д゚)<元からPIIGSはヤバい状態で、ドイツはヒャッハーしてた。ユーロ危機は、それが明るみに出ただけのことよ、おっかさん。こういうことやな。

(´・ω・ `)<そのとーり!

 

 

それでは本日ここまで。

 

 

 

おまけ

前回記事からしばらく間が空きました。というのは、年度明けで本業が忙しかったのもあるんですが、こちらの本を読破するのに時間を割いていたからでございます。

こちらの本はユーロ危機に直面した後、事態が悪化し続けていたギリシャで2015年に財務大臣として約半年間、問題解決に奔走した経済学者ヤニス・バルファキスさんの回顧録となっています。

ユーロって[6-4]のとおり、そもそもの制度趣旨からして荒唐無稽で、合理的な説明が無理な部分があまりにも多いんです。

それで、なんでこんなことになるのか、書きながら訳が分からなくなってしまって、ちょっと充電期間というか、勉強してみることにしました。

ギリシャ問題の本質は何だったのか、なぜバルファキスさんはたった半年で財務大臣を辞職することになったのか。このあたりが著書のメインテーマだと思いますが、単純に読み物としても十分楽しめました。

あんまりネタバレはしたくないので、感想はこのへんで…なかなかボリューミーですが、ぜひ読んでみてください!

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

‪最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^

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