ここで、現在流通している国債は、政府による過去の財政赤字の結果として発行されたものなので、国債購入に必要な準備預金残高は間違いなく、過去の政府赤字やFRBの非政府部門に対する貸出の結果である。
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。
目次
前回記事より
前回記事でこんなことを書きましたが、
本記事では、銀行・財政・国債のオペレーションに関して、最後に3つの注意点を挙げて、第3章を締めくくろうと思います。
3-8.貨幣オペレーションに関する注意点 - 国債乱発派のMMT解説
3つの注意点のうち1つ目(貨幣はどこからやってくるのか)だけで結構なボリュームになってしまったので、残り2つを今回記事に回していました。
それでは残り2つ、行ってみましょう。
と、その前に、
古典派・緊縮派の経済学や新自由主義の立場からよく言われる財政破綻ストーリーを紹介しておきます。
- 政府は国債発行で銀行の日銀預金を借りて、そのカネで公共事業の代金や公務員の給料を払っている。
- これをどんどんやっていくと、いつかは銀行の日銀預金が底をつく。
- 政府は国債発行でカネを調達できなくなる。
- クニノシャッキンガー
- ザイセイハタンスルー
これがなぜ起こらないのかを示すのが本記事のメインテーマです。
国債発行には預金準備が必要
この取引では、銀行の日銀預金が国債に振り替わります。この振替の分だけ、政府の日銀預金と国債が増えることになります。
ですので、国債を発行する前に、銀行が日銀預金を準備できていないと、この取引はできません。これが注意点その2です。
なので、財政破綻ストーリーの"銀行の日銀預金が底をつくと、国債発行ができなくなる"、これ自体は間違いではありません。
日銀当座預金は減らない
それでは、まだ銀行の日銀預金は底をついていないものとして、"政府が国債発行で銀行の日銀預金を借りて、そのカネで公共事業の代金や公務員の給料を払う"と、どうなるのかを見てみましょう。
注目していただきたいのは銀行です。
国債発行の時点では、たしかに日銀預金が減ります。しかし、政府支出[3-5参照]の時点では逆に増えます。結局、合計では相殺されて、日銀当座預金は増えも減りもしない、ということになっています。これが注意点その3です。
"これをどんどんやっていくと、銀行の日銀預金が底をつく"ようなことはありません。
増減するのは、国債と銀行預金です。それぞれが増えることになります。
買いオペが入るとどうなる?
国債発行+政府支出では、日銀当座預金は増減無し、国債と銀行預金が増えると分かりました。ここでさらに増えた国債を日銀が買い上げる(買いオペ[3-6参照]をする)と、どうなるかを見てみましょう。
ここでも注目していただきたいのは銀行です。買いオペで銀行の持つ国債が日銀預金に振り替わり、日銀預金が増えます。
買いオペが入ると、底をつくどころか増えました。
どうやったら底をつくか
底をつくどころか増えてしまいました。銀行の日銀預金は一体どうやったら底をつくんでしょうか。
理屈上で考えられるのは次の2つです。
- 現金引き出し
- 国債発行(政府支出なし)
現金引き出し
現金引き出し[3-3参照]では、現金が引き出された分だけ、銀行預金と日銀預金が減ります。
そして、[3-7]で作ったグラフのとおり、銀行預金の残高 > 日銀当座預金の残高 になってますので、銀行預金が半分くらい引き出されたら、日銀当座預金は底をつきます。
ということで、例えば、大量の金持ちが一斉に銀行に駆け込んで、預金を全部引き出して、自宅の金庫に詰め込んで、今後は支払のたびに金庫から札束を取り出すことに決めた場合なんかですね。
国債発行(政府支出なし)
国債発行の時点では、たしかに日銀当座預金が減るんです。ただ、政府支出が伴うと、行って来いになって、結局は増減無しになることを説明しました。
"じゃあ、政府が支出をせずに、ひたすら国債発行だけをやっていれば、いずれ底をつくじゃないか"
売りオペ
"売りオペ(日銀が銀行に国債を売る)[3-6参照]によって日銀当座預金が減る"、これは普通にあり得ます。
但し、日銀が国債を売るためには、その前に国債を買っておかなければなりません。
ということは、売りオペで日銀当座預金が減っても、それは過去の買いオペで増えた分ですから、"売りオペによって日銀当座預金が底をつく"ということは考えられません。
結論
冒頭の財政破綻ストーリーは、やはり間違っています。
特に2.の「これ(国債発行+政府支出)をどんどんやっていくと、いつかは銀行の日銀預金が底をつく。」ここが完全な間違いです。
これをいくらやっても銀行の日銀預金は増えも減りもしません。むしろ買いオペが加わって増えることはあっても、減ることは考えられません。
どーにかこーにかして底をつくようにするためには、金持ちか政府が奇行に走るしかなく、そんなことが起きる心配をしてもしょうがありません。
おまけ
ツイッターでもちょっと話題になっていましたが、この動画の2:33:00あたりからの議論を取り上げたいと思います。
話題の中心は、直接的には言明されていませんが、れいわ新選組の舩後議員だと推測します。
論点は
- れいわ新選組は、山本太郎の知名度を利用して障がい者に議席を与えた。また、逆に障がい者を客寄せパンダにして票を稼いだ側面もある。これは不適切ではないか。
- 舩後議員は自分の口で言葉を話せない。彼には議員としての資格が無いのではないか。
1.の論点(障がいや知名度を利用して票を取った)について
これに尽きます。
2.の論点(自分の口で話せない)について
まず、事実として、動画の議論の中で室伏さんが指摘されているとおり、
舩後議員は、たしかに自分の口では話せませんが、コンピュータ利用と秘書の代読で、しっかりと国会議員としての職責を果たされています。
【字幕付き】舩後靖彦(れいわ新選組 参議院議員 ふなごやすひこ)2019.11.19 文教科学委員会参考人質問 大学入学共通テストにおける障害者の合理的配慮について
まともに発言できない。
— 冲にいさん (@chuniisan) November 29, 2020
何様💢
誰ならまともなのか?
まともに発言してるって誰が決めるのか?
時間が遅いとか、伝わりにくいとか、新自由主義同様、能率の悪いものを排除する事が正しいと考えてる。
障害者を利用して選挙してるという考え出るのも心の底で障害者を嫌悪している現れでは pic.twitter.com/Zu2Q6bXh9s
日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。
私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^
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