経理屋が読み解く『MMT入門』

『MMT入門』(L・ランダル・レイ,2019,東洋経済新報社)をベースにMMTを解説します。ときには自分の思うところを書き綴ったり。

5-1.税は財源ではない ver.3

それは何を意味するのだろうか?もちろん、支出のために歳入は必要がないということだ。

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当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。 

xbtomoki.hatenablog.com

 

当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事の途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

xbtomoki.hatenablog.com

  

当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。

MMT現代貨幣理論入門

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目次 

 

第5章に入ります

今回から第5章「主権国家の租税政策」に入ります。ということで、これからしばらく税の話ばかりになります。

(`・ω・´)こりゃ楽しみですな!

 

本日のお題

税の話ですから、まずはやはりこれです。

( ゚д゚)<ババン!

「税は財源ではない」

過去にも同じテーマで番外記事を書きましたが、

xbtomoki.hatenablog.com

今回はもうちょっと堅苦しいスタイルで説明してみようかと思います。

 

「税は財源ではない」とは

この「税は財源ではない」というのは、命題というよりは、キャッチコピーのようなものです。

つまり、言わんとするところがあるんだけれども、それをちゃんと正確に述べようとすると、すごく長くなっちゃうので、エッセンスだけを抽出したものなんですね。

 

支出のために事前の徴税は必要ない

本記事では、せっかくですから、エッセンスを抽出せずに、「税は財源ではない」をありのまま述べてみましょう。

 

まず、"税"とは、政府が国民から一方的にカネを徴収する制度のことです。[4-3]で解説した徴税の仕訳を確認しましょう。

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徴税が行われると、政府のカネが増えて、民間のカネが減ります。

 

さて、ここで問題です。

( ゚д゚)<ババン!

政府は、支出をする前に、この徴税を行って、カネを増やしておかなければ、支出をすることができないのでしょうか?

(`・ω・´)<んなこたぁないさ。

第4章では、[4-1]から[4-12]、それから[番外3.B払い]も合わせると全部で13本の記事で、いろんな財政にまつわるオペレーションを説明してきました。

その中で政府部門から民間部門への支払オペレーションとして、政府支出・国債償還・国債利払い・買いオペ等が出てきましたが、これらの説明の中で、事前に徴税をしないと実行できないものは1つもありませんでした。

そりゃあそうです。

[4-3][4-11][4-12]のとおり、主権通貨を持つ国の政府は自由に自国通貨を発行できますので、カネが必要なら、わざわざ国民から徴収しなくても自前で発行すれば済むんですから。

つまり、主権通貨を持つ国の政府は、支出をするために事前に徴税をする必要は無く、たとえ税収がゼロであっても、いくらでも支出することができる。税は財源ではないのである。

これが「税は財源ではない」の言わんとするところです。

なお、断っておきますが、[4-1]のとおり、"いくらでも支出できる"という主張は、"いくらでも支出するべきだ"という意味ではありません。

 

ついでに言うと、通貨を発行できるのは政府部門だけですから、政府が民間部門から通貨を徴収するためには、事前に政府部門がその通貨を発行して支出していなければいけません。

つまり、政府支出の前に徴税が必要なのではありません。順序が逆です。徴税の前に政府支出が必要なんです。政府がいくら徴収しようとしたって、発行されていなければ民間部門は払いようがありません。

 

次回以降の予告

さて、「税は財源ではない」ということが分かっていただけたところで、次の疑問が生まれてくることかと思います。

  • 財源でないなら、税は何者なのか?
  • 税収がゼロでも政府はいくらでも支出できるのならば、税は不要なのでは?

ただ、「税は何者なのか?」については、もう答えは出ています。"税"とは、政府が国民から一方的にカネを徴収する制度のことです。答えはこれ以上でも以下でもありません。「税とはいったい何なんだろう・・・」なんていう思索は哲学者に任せることにします。おまけに書いたとおり、下手に意味付けをしようとすると、ろくなことになりません。

ということで、問題になるのは「税は不要なのでは?」、こちらの疑問だけです。これについて答えるために、次回以降では、税の果たす機能と役割を解説していこうと思います。

( ゚д゚)<ほいじゃ、よろしゅう!

 

 
 
それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

ちなみに財務省は、税をこのように説明しています。

このように、みんなが互いに支え合い、共によりよい社会を作って いくため、公的サービスの費用を広く公平に分かち合うことが必要です。まさに、税は「社会の会費」であると言えます。

もっと知りたい税のこと(令和2年6月発行 財務省) 2/26pp

本編で解説したとおり、税は財源ではありません

しかし、実際には「税は財源である」というのが一般常識になっていて、この「税は財源である」という誤解からいろんな害悪が生まれています。

その中でも、私がトップクラスの害悪だと思うのが、この「税は社会の会費」ってやつです。この手の発言を目にすると、私はすごく嫌な気持ちになります。会費?断じて違います。税は政府から国民から一方的に徴収をするシステムというだけのものであって、それに副次的な意味付けをする必要はありません。

( ゚д゚)<税は「社会の会費」であると言えます。

(´・ω・ `)<「税はカネを徴収する仕組みです」でええやんけ。なんでわざわざ分かりにくく言い換えるん。それ人を騙そうとするやつしか使わん手口よ。

なんでこれがトップクラスの害悪なのかというと、容易にこういう"高額納税者はVIP会員"思想に至るからです。

納税額は、人の優劣とは何の関係もありません。この「税は社会の会費」という理屈について、"間違ってはいるけど、国民の連帯意識を醸成するという点では評価できる"みたいなことをときどき聞いたりしますが、私は全くそうは思いません。

間違っているし、国民を分断しているだけの害悪だと思います。

 

 

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

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