租税は名刺を動かす。そして貨幣を動かす。
『MMT現代貨幣理論入門』kindle版 268/553pp
当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。
xbtomoki.hatenablog.com
当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。
こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事の途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。
xbtomoki.hatenablog.com
当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。
目次
本日のお題
前回は、「税は財源ではない」ということを説明しました。
この説明をすると、当然出てくる疑問が「じゃあ、税っていらなくない?」です。それに対してMMTは、「そんなことはない。税には複数の大事な機能と役割があるからだ。」と答えます。
その大事な機能の1つが本日のお題であるこちらです。
( ゚д゚)<ババン!
「租税は貨幣を動かす。」
実は解説済み
実は、既に過去記事でこれの解説をしています。
xbtomoki.hatenablog.com
詳しい内容はこれを(できれば[2-3][2-4]も)読んでいただければと思いますが、
( ゚д゚)<まだ読んでない人は読んでから戻ってきてください。ここから先は読んだ前提で進めますね。
っちゅうのはあんまりなので、ざーっとにはなりますが、おさらいします。
- 【2-2要約】
日本政府は主権通貨として定めた"円"で税を納めることを強制します。その結果、日本国内の取引は"円"で行われるようになります。それが最も便利で合理的だからです。というのは、もし例えば"ドル"で代金を受け取ると、納税のたびにいちいち両替が必要になります。それには時間も手間も両替手数料もかかりますし、為替変動で思わぬ損失を生むかもしれません。
つまり、租税には主権通貨をちゃんと主権通貨として通用させる役割があるわけです。
- 【2-3要約】
「なぜ貨幣経済が成り立っているのか。」については、ババ抜き理論・法定支払手段説・商品貨幣論といった理論もありますが、これらは全部間違いです。
- 【2-4要約】
政府は国民に税を課して、政府に通貨を支払うことを強制します。税を課された国民は、なんとかして通貨を集めてこなければ最悪刑務所行きです。だから国民は必死になって貨幣を受け取ろうとする、それによって貨幣経済が成り立っているわけです。
※[番外1]で述べたとおり、[2-4]の「税が貨幣経済を成り立たせている」というMMTの説明については、私はちょっと懐疑的です。
それでは本日ここまで。
( ゚д゚)<おい!
(´・ω・ `)<何よ。
(´・ω・ `)<しゃーないのー。そしたら小噺でもしたろか。
モズラーの名刺
昔々、あるところにウォーレン・モズラーという男がいた。モズラーにはある悩みがあった。
(´・ω・ `)<うちの子はなんでこんなにかわいいんや・・・
めでたしめでたし。
( ゚д゚)<おい。
(´・ω・ `)<何よ。
( ゚д゚)<お前これ2回目やぞ。
(´・ω・ `)<すんません。ちゃんとやります。
改めまして、モズラーの名刺
昔々、あるところにウォーレン・モズラーという男がいた。モズラーにはある悩みがあった。
(´・ω・ `)<うちの子は全然家の仕事を手伝ってくれへん。でもあんなにかわいい我が子に無理矢理家事をやらせるなんて私にはできひん。どうしたらええんや・・・
(´・ω・ `)<せや!ええこと思いついた!モズラージュニアよ。来たれ。
( ゚д゚)<父ちゃん、どないした。
(´・ω・ `)<なんでジュニアはそんなにかわええの?
( ゚д゚)<はよ用件言うて。暇やないんよ。
(´・ω・ `)<おお、すまん、ついつい…あんな、今日からジュニアが家のお手伝いをしたら、わしの名刺をあげようと思うねん。皿洗いで1枚、洗車で10枚、庭掃除は20枚。どや。
( ゚д゚)<なんやそれ。名刺なんかいらんわ。
(´・ω・ `)・・・・・(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
モズラーのご褒美名刺というア
イデアはあえなく敗れ去りました。
しかし、モズラーは諦めません。ご褒美名刺作戦に1つのルールを追加することにしたのです。
(´・ω・ `)<モズラージュニアよ。来たれ。
( ゚д゚)<父ちゃん、それやめて。で、どないしたん?
(´・ω・ `)<なんで…
( ゚д゚)<はいおやすみー
(´・ω・ `)<待って待って。ちゃうねんちゃうねん。こないだお手伝いしたら名刺あげるよて言うたやろ?
( ゚д゚)<なんかそんなんあったね。
(´・ω・ `)<せやろ。んでな、ルール追加や。これから毎月わしに名刺を30枚払いんしゃい。払わんかったら、1ヵ月ゲーム禁止や。
( ゚д゚)<なんやて!父ちゃん、そないな殺生なこと言わんといておくれやす!
(´・ω・ `)<どこでそんな言葉覚えてきたんや。
すると、なんということでしょう。
ジュニアはご褒美名刺を集めるために一生懸命お手伝いをするようになったのです。
( ゚д゚)<皿洗いするー!名刺ちょーだーい!
(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)<うちの子はなんでこんなにかわいいんや・・・
めでたしめでたし。
( ;∀;)イイハナシダナー
まとめ
このお話をまとめると、
- モズラー(政府)は、まず名刺(貨幣)を発行して、それをエサにお手伝いをしてもらおうとしました。ところが、それだけだと、ジュニア(国民)の反応は…( ゚д゚)<なんやそれ。名刺なんかいらんわ。
- そこで、モズラーは毎月名刺30枚(税)を徴収して、滞納者にはゲーム禁止というペナルティを付けました。すると、ジュニアの反応は…( ゚д゚)<皿洗いするー!
「租税は貨幣を動かす」とは、こういう現象のことを言っているわけです。
この小噺はなかなか示唆に富んでいて、まず、税の本質的な意義が含まれています。
- 税には、国民に通貨を受け取る動機付けをする機能がある。
- 政府が税を課すと、国民は、通貨を手に入れるために、自らの意思で政府のために仕事をするようになる。
- つまり、政府は税という仕組みを利用して、警察・消防・その他いろいろな公共のために必要な仕事を、平和的、かつ簡単な方法で国民にやらせることができる。これが税の本質的な意義である。
"平和的かつ簡単"じゃない方法とは・・・
(´・ω・ `)<皿を洗え。さもなくば、おしりぺんぺんじゃ。
みたいな、恐怖や実力行使に訴える方法です。これは国民のやる気をそぐ上に、あちこちでぺんぺんして回る手間がかかって効率的ではありません。
そうではなく、税という仕組みを利用すれば、政府は「この仕事をしてくれたら、紙に100万円って書いて、きみにあげるよ。」で済んでしまう、これは便利だ、というわけです。
政府が欲しているのは"税金"ではない
さらには、こんなことも分かります。
ジュニアから徴収した名刺には、かわいい息子の成長記録という以外に、モズラーにとって何か価値があるでしょうか。そんなもん全くありません。まあ、「きれいだったら印刷する手間が省けるし、再利用しようかね。」くらいのものでしょうか。
「顧客が欲しているのはドリルではなく、穴だ。」という格言がありますよね。これと似てるようで似てないんですが、モズラーが欲しているのは名刺ではなく、息子にお手伝いをしてもらうことであるように、
政府が欲しているのは税金ではなく、国民に公共目的のために働いてもらうことです。
国民から支払われる税金なんか、元々政府自身が作って配ったもんなんですから。ガチでそれを欲しがってたら滑稽どころの話ではありません。
徴税の前に支出が必要
ついでにもひとつ、
(´・ω・ `)<ジュニアよ。来たれ。
( ゚д゚)<それやめてって言ったよね。それより、皿洗いやったで!名刺ちょーだい!
(´・ω・ `)<その件やけどな、いまジュニアに渡す名刺が無いねん。すまんけど、まずジュニアがわしに30枚払うところから始めようや。そうせな渡しようがあらへん。払えへんて言うなら早速ゲーム禁止や。
( ゚д゚)<きみ言うてることめちゃくちゃやで。
ジュニアの言うとおりです。まず先にモズラーが支出をしなければ、徴税のしようがありません。前回も言いましたが、政府支出の前に徴税が必要なのではなく、徴税の前に政府支出が必要なんです。
× 徴税→支出
○ 支出→徴税
税は財源ではない
最後に、
( ゚д゚)<父ちゃん、皿洗いやったでー!名刺ちょーだい!
(´・ω・ `)<よしよし。実はな、ジュニアがいっぱいお手伝いしてくれるおかげで、先月回収した30枚はもう全部なくなってしもたんや。せっかくお手伝いしてもらっといて悪いねんけどな、手持ちが無いから名刺は渡せへんねん。すまんの。
( ゚д゚)<んなわけないやろ。はよ出せ。
ジュニアの言うとおりです。もしモズラーが先にジュニアから回収しないと名刺を渡せないんだとしたら、先月ジュニアがモズラーに渡した名刺30枚を作ったのは誰なんだっちゅう話です。
これも
前回言いましたが、主権通貨を持つ国の政府は、支出をするために事前に徴税をする必要は無く、たとえ税収がゼロであっても、いくらでも自分で通貨を作って支出することができます。税は財源ではありません。
それでは本日ここまで。
おまけ
私の大好きな小噺をひとつ・・・
昔々あるところに、イプセンという男がいました。イプセンにはコリンという友人がいました。
ある日、イプセンの父が病に倒れてしまいます。イプセンはコリンと2人で父の病気を治すために遥か遠く険しい山の奥にあるという伝説の薬草を探す旅に出ました。
とても辛く厳しい旅でしたが、2人ならめげずに続けることができました。
そんな旅の途中、イプセンがふと思って聞きました。
(´・ω・ `)<そういや、お前なんでついて来たん?
( ゚д゚)<なんでって…だって友達やんか。
元ネタはこちら。
wikiwiki.jp
日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。
私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^
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