経理屋が読み解く『MMT入門』

『MMT入門』(L・ランダル・レイ,2019,東洋経済新報社)をベースにMMTを解説します。ときには自分の思うところを書き綴ったり。

4-6.財政赤字と国債金利 その3(日銀の国債金利操作)

本節では、財政赤字と貯蓄の関係、さらには財政赤字が準備預金と金利に与える影響を確認する。以下の議論は、一般的な性質に関するものである。

MMT現代貨幣理論入門』kindle版 220/553pp


当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。 

xbtomoki.hatenablog.com

 

当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事の途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

xbtomoki.hatenablog.com

  

当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。

MMT現代貨幣理論入門

MMT現代貨幣理論入門

 

 

目次 

 

シリーズのテーマ

前々回[4-4]から始めた"財政赤字国債金利"シリーズでは「財政赤字が増えると(減ると)、国債金利はどうなるか」をテーマに解説をしていきます。

ただ、答えは先に言っちゃいますが、

財政赤字がいくら増えようが減ろうが、国債金利はどうもなりません。上がりも下がりもしません。

これは財政赤字国債金利には関係が無いという意味ではありません。関係なくはないけど、結果的には、上がりも下がりもしないんです。これがどういうことなのかをシリーズで解説していきます。

 

前々回のおさらい

前々回記事[4-4]では、債券の金利と価格の恒等式を説明しました。ざっとおさらいすると、

債券金利=総支払額-債券価格

よって、

  • 債券の金利が上がる
  • 債券の価格が下がる

この2つは同じ意味です。

 

前回のおさらい

前回記事[4-5]では、株価が上下する仕組みを説明しました。これもざっとおさらいすると、

  • 指値注文と成行注文がある。
  • 指値の売り注文が高値側に、買い注文が安値側に貯まる。
  • 成行の買い注文は価格を上げて、売り注文は価格を下げる。(但し、貯まっている注文が全部捌けてしまうくらいの注文数が必要)

こんな感じなのですが、

本記事は前々回前回の内容を理解されてないと間違いなくちんぷんかんぷんなので、未読の方は、先にそちらを読んでから、再度本記事を読んでいただければと思います。

 

債券市場も株式市場も基本は同じ

株式が売買される株式市場というものがあるわけですが、債券が売買される債券市場というものもあって、さらに債券市場の中に国債が売買される国債市場も存在します。

実は、この国債市場で国債の価格が上下する仕組みも基本は株式市場と同じです。

板に売りと買いの指値注文が貯まり、成行注文が出されることで価格が上下します。

 

国債市場には日銀が参加できる

ただ、国債市場と株式市場には、決定的に違うところがあります。それは"国債市場には日銀が参加することがある"という点です。

この日銀が国債市場にやって来て国債を買う、という行為こそが[3-6]で解説した"買いオペ"であり、売るのが"売りオペ"です。

日銀は市場参加者として別格というか異次元の存在です。どこが異次元なのかと言うと、

  • B払いができる(資金力が無限)。
  • 大量の国債保有している。
  • 儲けることを目的にしていない。
 
いくらでも買える

[3-6]で解説した買いオペの仕訳はこうでした。

f:id:xbtomoki:20210105134856p:plain
このように、日銀は、日銀預金のB払いで国債を買います。

日銀以外の一般の市場参加者は、A払いで国債を買いますので、手持ちの資金が尽きたらそれ以上は買えませんが、日銀は国債をいくらでも高く、いくらでもたくさん買うことができるわけです。

 

いくらでも売れる

2020年9月現在で、日銀は国債の全発行残高のうち、48%Σ(゚д゚;) を保有しているそうです。

これは、実質的には無限に持ってるようなもんですから、日銀は国債をいくらでも売ることができます。(売値については、売り手はそもそも保有額に関係なく好きな値段を付けられます。)

参考:国債等関係諸資料 : 財務省

 

利潤を目的にしていない

一般の市場参加者が国債市場にやって来る目的は、国債を安く買って高く売り、カネ儲けをすることです。

ところが、日銀はカネ儲けなんかに興味がありません。日銀が国債市場にやって来る目的は、国債の市場価格を自分の思いどおりに操作することです。

 

日銀による国債価格操作

  • いくらでも買える
  • いくらでも売れる
  • 儲ける気がない
3拍子揃った日銀にとって、国債の市場価格を操作することは朝飯前です。

例えば、こういう板を300円に操作したければ…

f:id:xbtomoki:20210105140809p:plain

日銀は「300円でいくらでも買うし、いくらでも売る」という指値注文を出せばいいわけです。

f:id:xbtomoki:20210105140854p:plain

こうなると、どれだけ売りor買いの成行注文が出ても値段は300円から動きません。

 

実際は宣言するだけでいい

しかも、日銀は、実際には注文する必要すらありません。目標価格を宣言するだけで目標どおりの価格に市場を操作することができます。

例えば、日銀が「300円にします。」と言えば、

まず、売り手は、"必ず日銀に300円で売れる"と知っているので、【300円より安い売り注文】を出さなくなります。買い手だってそれを知っているので、絶対に約定しない【300円より安い買い注文】も出なくなります。

f:id:xbtomoki:20210105142432p:plain

続いて、買い手も、"必ず日銀から300円で買える"と知っているので、【300円より高い買い注文】を出さなくなります。やはり、売り手だってそれを知っているので、絶対に約定しない【300円より高い売り注文】も出なくなります。

f:id:xbtomoki:20210105142546p:plain

そして結局は300円の売り注文・買い注文しか出なくなり、日銀が宣言するだけで、国債価格は300円に固定されてしまいました。めでたしめでたし。
 

国債の価格操作は金利操作

債券の価格と金利恒等式

債券金利=総支払額-債券価格

より、国債の価格を操作するということは、国債金利を操作することと同義であり、日銀は実際には目標金利を決めて、そこから目標価格を逆算して、国債の市場価格をそこに固定します。

ということで、日銀は自分だけで(もしくは政府・財務省と相談して)勝手に「日本経済のためには国債金利はこれくらいが良いと思う。」とか決めちゃって、市場にやって来ては、規格外の豪腕、もしくは目標宣言によって価格を操作しては去っていくわけです。

一般の市場参加者にとっては、たまったもんじゃありませんが、日銀の参加が許されてる以上、国債市場ってのはそういうもんだと割り切るしかありません。

 

データを確認

f:id:xbtomoki:20210106150819p:plain

2016年9月に日銀は「10年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買入れを行う。」という長期金利目標を設定しました。(https://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921a.pdfより)

それまでの10年物国債の相対金利は上下しながら2008年くらいからは下がり続ける一方でしたが、長期金利目標の設定後は見事にゼロ%程度で安定推移するようになりました。 

やはり国債金利は、日銀が決めたとおりになるし、日銀にはその能力と権限があるわけです。

 

結論

日銀は、

  • いくらでも買える
  • いくらでも売れる
  • 儲ける気が無い
という異次元の存在ですので、国債金利を思うがままにコントロールできます。よって、「いつか国債の価格が暴落して、金利が急騰するかもしれない。」みたいな心配には意味がありません。国債の価格・金利がどうなるかは日銀が決めます。その心配は「いつか日銀が日本経済を破壊しようとするかもしれない。」と言っているようなものです。

そんなくだらない心配をしてる暇があったら中国が日本を侵略してくるのを心配するべきですね。

 

補足1

もちろん日銀以外の市場参加者も国債の価格・金利に影響を与えることはできます。しかし、その影響は日銀がちょっと宣言しただけで吹き飛ぶ程度のものです。

 

補足2

本記事の説明は、国債が主権通貨建て(円建て)であることが前提です。

日銀にはドル建ての日銀預金を発行する権限がありませんので、もし、国債がドル建てだったら、B払いが効きません。すると、「いくらでも買う」が成立しなくなり、日銀のコントロール能力は失われます。

ギリシャなんかがユーロ建て国債金利をコントロールできなかったのは、ギリシャ銀行にユーロ建ての通貨を発行する権限が無く、B払いが効かなかったからです。

 

補足3

新規発行の国債は、国債市場ではなく、政府主催の入札で価格が決まります。

政府が「国債を発行するよー。入札でいちばん高く札を入れてくれた人に売るよー。」と公告するわけですね。実際にはもうちょっと複雑な手順を踏みますが、割愛します。

この入札には日銀は参加できません。なので、日銀のコントロールが及ばないような気がしそうですが、そんなことはありません。

というのは、例えば、

入札の時点で市場価格が日銀が決めた300円だったら、入札参加者は300円より高く応札する意味がありません(市場に行けば300円で売ってるものをわざわざ310円で落札する意味が無い)。

そこでA銀行が290円、B銀行が280円で応札して、A銀行が落札したとします。すると、敗れたB銀行は、次回の入札では、291円で落札します。その次は292円でA銀行が落札します。その次は293円で、その次は294円で、その次は・・・

このように、入札という仕組みは、必ず、いわゆる"底辺への競争"に突入します。この底辺への競争を回避するために生まれた知恵が"談合"です。そして最終的には299.999円とかになって、結局は日銀が決めた300円に落ち着きます。

 

 
それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

今回のおまけはお勧めしない動画です。見なくていいです。


【経済討論】2021 どうなる?世界経済と日本[桜R3/1/2]

藤さん、他人が話してるときに割り込むのやめなよ。最後まで聞いてからにしな。どうしても割り込みたいなら、手ぇ上げて、司会者に許可されてから話し始める。そのくせ、他人が割り込もうとしたら断固拒否するし。小学生か。あと、いちいち話が長くて、何が言いたいのかわからん。水島さん、ちゃんと司会やって。

松田さん、デジタル人民元だとか松田プランだとか、訳が分からんのよ。松田プランて「いままで国債って呼んでたものを"デジタル円"って呼ぶことにします。」ってこと?それで何かが解決するの?なんで中国政府がドル建て通貨を発行し始めるの。そんなことやりだしたら戦争よ?と思ったら、日銀がペイペイの真似事を始めるとか言い出すし、中国が資本移動を自由化するとか言い出すし。

あとね、水島さん、「"武漢ウイルス"って言ったら広告はがされた。なんでだ。」いやいやいや、なんでって・・・武漢ウイルスって言うからやろ。ぼけとん?どうしても言いたいなら、言ったらええけど、そこってそんなに大事なとこかい?

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

‪最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^

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4-5.財政赤字と国債金利 その2(株価の仕組み)

本節では、財政赤字と貯蓄の関係、さらには財政赤字が準備預金と金利に与える影響を確認する。以下の議論は、一般的な性質に関するものである。

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当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事の途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

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目次 

 

シリーズのテーマ

前回[4-4]から始めた"財政赤字国債金利"シリーズでは「財政赤字が増えると(減ると)、国債金利はどうなるか」をテーマに解説をしていきます。

ただ、答えは先に言っちゃいますが、

財政赤字がいくら増えようが減ろうが、国債金利はどうもなりません。上がりも下がりもしません。

これは財政赤字国債金利には関係が無いという意味ではありません。関係なくはないけど、結果的には、上がりも下がりもしないんです。これがどういうことなのかをシリーズで解説していきます。

 

本記事のテーマ

本記事では、株価が上下する仕組みを解説します。国債はどこ行ったんやって?まあ、まあ、お控えなすって。

まずはデータを見てみましょう。

f:id:xbtomoki:20201230142643p:plain

上がったり下がったりガチャガチャしながら推移してますね。 
そしたらば、このガチャガチャがどーゆー仕組みになっとるのか、説明していきます。
 

株価の正体

ポイントは、"売り手はできるだけ高く売りたい"と思っているが、一方で"買い手はできるだけ安く買いたい"と思っている、ということです。
ところが、タンゴは2人いなければ踊れません。売り手がどんなに高く売りたいと願っても、買い手がウンと言ってくれなければ、売りようがなく、それは買い手にとっても同じことです。
 
そこで売り手と買い手は互いに歩み寄って落としどころを探ります。晴れて2人が手を取り合ってタンゴを踊れたとき、その着地点が"株価"と呼ばれる数字です。

売り手と買い手がある値段で合意して、めでたく売買成立となることを"約定(やくじょう)"と言いますが、その約定が果たされた値段こそが株価の正体です。

つまり、株価を決めるのは、発行企業でも、証券取引所でもありません。市場で株を売買する人々です。証券取引所は、約定がいついくらで発生したのかを記録して事務処理をするだけです。

 

株価の板

株価の「板」ってご存知でしょうか。
こんな感じの表です。

f:id:xbtomoki:20201230145151p:plain

売り注文,株価,買い注文 の3列で構成されています。現在株価は130円となっています。

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この表の読み方は後で説明します。今はこういうのがあるんだな〜、くらいの感じでOKです。
 

指値注文と成行注文

株の売買には2種類の注文方法があります。
  • 指値注文(さしねちゅうもん)
  • 成行注文(なりゆきちゅうもん)

 

指値注文とは

「この銘柄を●円で買いたい(売りたい)。」
こういう注文の仕方を指値注文といいます。例えば「100円で買いたい」という注文をするわけです。
もちろん「100円で買いたい」と注文しても、必ず100円で買えるとは限りません。
タンゴは2人いなければ踊れませんので、100円で買うためには100円で売ってくれる人が現れなければなりません。もしタンゴのパートナーが現れなければ、売買が成立せず、注文したままでずっと待ちぼうけです。
 

成行注文とは

「この銘柄を今すぐに、できるだけ安く買いたい(高く売りたい)。」

こういう注文の仕方を成行注文といいます。
成行注文は、注文をすれば基本的には必ず約定します。値段に関係なく、注文したときに指値注文をして待ってる人が1人でもいれば売買が成立するからです。
 

冒頭の板の説明

では冒頭の板に戻ります。

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売り注文・買い注文の列に入ってる数字は、その値段で買って(売って)くれる相手を待っている指値注文の株数を示しているわけですが、さらにここで説明を2つ加えておきます。

  • なぜ同じ値段のところに売り注文と買い注文が重ならないのか
  • なぜ売りは高値側に、買いは安値に貯まるのか

 

なぜ重ならないのか

例えば、当初の板の状態に、もし120円・100株の売り注文が出れば、すぐに120円で約定して、板はこうなります。

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ということで、重なる所に注文が入っても、即座に約定して消えるので、売りと買いが重なったままになることはありません。

 

なぜ売りが高値側で買いが安値側か

例えば120円の買い注文だけがある状態を考えてみます。このとき、売り注文を出そうとしていて、値段をいくらにしようかと考えている人がいたとします。

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"売り手はできるだけ高く売りたい"と思っていますので、この人が120円より安い売り注文を出すことはあり得ません。だって、120円の買い注文が入ってることを知ってるわけですから、この人は120円でいますぐに売ることができるのに、例えばわざわざ100円で買ってくれる人を待つメリットが無いからです。

よって、売り手は少なくとも120円以上の注文を出します。例えば140円で注文を出したとします。

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さらにそこで、買い注文を出そうとしていて値段を検討している人がいれば、同じ理屈で、その人は140円以下の値段で注文を出します。

結果、売り注文は高値側に、買い注文は安値側に貯まっていきます。

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成行注文が株価を動かす

株価が上がったり下がったりするのは成行注文が入ったときです。

それでは、冒頭の板に戻って、この仕組みを説明していきます。

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成行の買い注文が入ったとき

ここに300株の成行買い注文が入るとどうなるでしょうか。

まず、いちばん安い130円の売り注文100株が約定して、続いて140円の250株のうち200株が約定します。
結果、株価は140円に上がります。

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成行の売り注文が入ったとき

続いて500株の成行売り注文が入った場合は、いちばん高い120円の買い注文500株が約定して、株価は120円に下がります。

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まとめ

このように、成行の買い注文が入ると株価は上がり、成行の売り注文が入ると株価は下がります。

但し、注意しておきたいことがあります。それは、成行注文で株価が上下するには、その成行注文で今現在の株価のところに貯まっていた指値注文が約定しきって無くなってしまうことが条件であるということです。

例えば、さっきの300株の買い注文を入れた例で、注文数が300ではなく、100だったら、130円の売り注文が約定するだけで、株価は130円のままで変化しません。

 

 
それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

www.kurashiru.com

これ、簡単に作れてめっちゃうまかったです。米は入れずにただのスープにすれば作り置きもいけます。

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

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4-4.財政赤字と国債金利 その1(債券の金利と価格)

本節では、財政赤字と貯蓄の関係、さらには財政赤字が準備預金と金利に与える影響を確認する。以下の議論は、一般的な性質に関するものである。

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目次 

 

おさらい

前々回[4-2]と前回[4-3]では、財政赤字(政府の赤字収支)が民間貯蓄に与える影響を説明しました。

ざっくり復習すると、

  • 政府赤字→民間黒字=民間貯蓄が増える。
  • 政府支出は、国債のB払いが基本で、国債残高と銀行預金が増えることになる。

 

本シリーズのテーマ

本記事から始まる「財政赤字国債金利」シリーズでは、財政赤字が増えると(減ると)、国債金利はどうなるか」を解説していこうと思います。

ただ、答えは先に言っちゃいます。

財政赤字がいくら増えようが減ろうが、国債金利はどうもなりません。上がりも下がりもしません。」

"どうもならんの?関係ないってこと?それをシリーズで解説するの?"

f:id:xbtomoki:20201223195259p:image

いや、あの、関係がないわけではないんです。関係なくはないんですが、結果的にはどうもならんのです。

 

これがどういうことなのかを理解していただくためには、

  • 債券の仕組み
  • モノの値段の決まり方

このへんの説明が必要になります。

その上で、

本シリーズでは、こういったところに展開していく予定です。

 

そしたらば、まず本記事では国債・債券のざっとした概要を確認していきましょう。

 

国債とは

国債の基本知識

前回記事までで国債ガー国債ガーって言っといてなんなんですが、ここで国債の基本的な仕組みを説明しておきます。

  • 政府の金融負債である。
  • 表面金額・満期期日・利率を定めて発行される。
  • 満期になるまで、発行時に定めた利率で半年ごとに利息が支払われる。
  • 満期になったら、額面の金額が支払われて、消滅する。
  • 平成15年からは、紙で発行されてない。口座の中だけで電子データとして発行されている。

例えば、表面金額100万円・年利率2%の1年国債を買ったら、政府から半年後に利息で1万円、1年後に100万円と利息で1万円、全部合わせて102万円が支払われます。

参考1:

ご存知ですか?国債 : 財務省

参考2:

国債のペーパーレス化とはどういうことですか : 財務省

 

国債は"国の借金"?

よく"国の借金みたいなものだ"とか言う人がいますが、

www.asahi.com

債券の債は、借金という意味です。借金をしたときの、借金のカタ、借金の念書、約束の証書、借金証書です。「たしかに借金をいたしました、満期が来たら、利子をつけてお返ししますよ」というものです。これが債券です。だから国債は国の借金。

違います。てかシャッキンシャッキンうるさいな。刷り込んでくるのやめろ。

 

( ゚д゚)「池上さんが言うにはな、債の字は借金という意味だから、国債は国の借金らしいねん。」

(´・ω・ `)「あのね。じゃあ、貧乳は貧しい乳か?ちゃうやろ?おっぱいはみな尊いのよ。池上さんはそんなことも知らんのん。てか、そんなん言うたら池上さんは池の上か?場所か?日当たり良さそうじゃの。で、あのおじさんは人間に見えるけど、実は場所やったんか?」

 

( ゚д゚)「池上さんが言うにはな、国債ってのは"たしかに借金をいたしました"ていうものらしいのよ。」

(´・ω・ `)「あのね。国債は電子データなのよ。そんなんどこに書いとんのよ。捏造ヨクナイヨ。池上さんに言うといて。」

 

( ゚д゚)「池上さんが言うにはな、国債ってのは"満期が来たら、利子をつけてお返しします"ていうものらしいのよ。だから借金なんやて。」

(´・ω・ `)「あのな。定期預金は?貯蓄型保険は?どっちも満期になったら利子付きで返ってくるでしょーが。"定期預金って銀行の借金ですか?"って池上さんに聞いてみて。」

 

どないなっとんねん。もうええわ。

 

国債は借金ではない

国債は借金ではありません。

ほんとは「AはBであるか?」ということを考えるには、Bの定義を明確にして、その定義の範囲にAが含まれるかどうか、みたいに論考すべきですが、それはまた今度にして、いまはただマウントだけ取りに行きます。

そもそも、借金とは何でしょう?

池上さんの貧乳理論に従ってみると、"借金"てのは"借りたカネ"てことになります。

けど、前回記事で説明したこちらの仕訳図をご覧ください。

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これ、何か借りてるように見えますか?

政府支出の基本はA払いではなく、B払いです。政府がカネを借りる必要なんかありません。

 

債券ってのは・・・

順番があべこべなようですが、続いて"債券"ってのが何なのかを説明します。

債券ってのは、

  • Xさんが紙きれに例えば「この紙を持ってる人に、毎月10万円(年間120万)を支払って、5年後に1000万円を支払うことを約束します。」と書く。
  • すると、ただの紙きれが表面金額1000万円・5年満期・表面利率年12%の債券になる。
  • Xさんが「この紙、誰か買いませんか〜。」と売りに出す。
  • それをAさんが例えば500万円で買う。
  • Xさんは約束どおり、毎月Aさんに10万円を(12ヶ月×5年=60回→総額600万円)、5年後には1000万円を支払う(総支払額1600万円)。債券に書かれた約束が果たされて、債券は元の紙きれに戻る。
  • 最後の表面金額1000万円の支払によって債券を紙きれに戻す手続を債券の"償還"と呼ぶ。
  • Aさんは、5年も待たずに途中で債券を別の誰かに売ることもできる。例えば500万円で買ってすぐに、Bさんに1000万円で売れば、Aさんは債券を右から左に流しただけで500万円の得だし、Bさんは1600万円がもらえて600万円の得だから、2人とも気持ちよくなれる🙃

こういうもんです。

で、Xさんが政府だったら、その債券は国債と呼ばれます。そんだけのことです。牛の丼は牛丼やし、鶏と卵なら親子丼なのと同じです。貧乳は関係ありません。

 

債券の金利とは

Aの買値(500万)とXの支払額(1600万)の差(1100万)を債券の"金利"と呼びます。債券の金利といえば、この差額のことで、表面利率の"年12%"のことではありません。

 

数式で表すと…

これを数式で表すと、こうなります。

Xの総支払額-Aの買値=債券の金利

Aの買値とは、つまりは債券が売買されたときの値段(債券価格)ですね。それでは、数式の左辺右辺を入れ替えて、名前をちょっといじります。

債券金利=総支払額-債券価格

この数式を"債券の価格と金利恒等式"と呼ぶことにします。これは、国債金利のことを理解するのに欠かせませんので、非常に重要です。

 

恒等式の意味

債券金利=総支払額-債券価格

ですから、Aさんが債券を5年間持ち続けたら、金利は 1600-500=1100万円です。

ところがBさんに1000万円で売られたら(価格が上がったら)、金利は 1600-1000=600万円に下がります。

 

つまり、

「債券の価格が上がる」

「債券の金利が下がる」

この2つの文の意味内容は全く同じです。

逆に債券の金利が上がった、ということは債券の価格が下がったことを意味します。

 

ややこしい話

債券の金利は"利回り"とも呼ばれます。

また、利回りを価格で割り算して、年あたりに換算した数値もまた、"金利"または"利回り"と呼ばれます。ややこしいですね。当ブログでは、どっちのことか誤解の無いように、こっちの意味で言うときには"相対金利"もしくは"相対利回り"と言うようにします。

上記の例では、価格500万円に対して、5年で1100万円の利回りですから

→1100/500=2.2 さらに5で割って→2.2/5=0.44=44%

ということで、上記の例の相対利回りは、44%です。

これを整理すると、こういう数式になります。

f:id:xbtomoki:20201230155717p:plain

日本銀行が「国債金利目標を●%にします。」とか言ってるときは、こっちの相対金利の方のことを言っています。

 

 
それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

おまけは、たぶん読者の誰も分からない内容の愚痴です。

 

拝啓

P社の審査員様へ

先日、「全ての変数について、標準不確かさをAタイプ・Bタイプそれぞれの方法で評価して、その2つの値を平方和の平方根を取って合成してますが、これって合成するんじゃなくて、Aタイプ・Bタイプどちらかの評価方法を選択するものじゃないですか?」

という私の質問に対して、

「合成するに決まってるじゃないですかww当たり前でしょうwwwww」みたいな口をききやがりましたね。

依頼者の質問を鼻で笑ってくるとは思いもしなかったので驚きました。

それでは、お元気で。

敬具



 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

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4-3.財政赤字が貯蓄に与える影響 その2

本節では、財政赤字と貯蓄の関係、さらには財政赤字が準備預金と金利に与える影響を確認する。以下の議論は、一般的な性質に関するものである。

MMT現代貨幣理論入門』kindle版 220/553pp


当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。 

xbtomoki.hatenablog.com

 

当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事の途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

xbtomoki.hatenablog.com

  

当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。

MMT現代貨幣理論入門

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目次 

 

今回は仕訳の話

前回記事では財政赤字(政府の赤字収支)について、マクロ会計の恒等式を出発点に、政府は赤字になるのが普通なんですよ、という話をしました。

今回はもうちょっと細かい話、仕訳の話です。政府の支出と収入、それぞれがどーゆー仕訳になっとるのかを説明します。

 

B払いの話

先日「番外3.B払い」という記事を書きました。ちょっと長い記事なのですが、本記事はこれを読んでもらってる前提で書いていますので、未読の方は先にこちらを読んでいただければと思います。

xbtomoki.hatenablog.com

いやや。その記事は死んでも読みとうない。
と言う方に、ざっくり説明すると、
  • 誰かからカネをもらって、それを右から左へ流すように支払先に渡す、こういういわゆる普通の支払をA払いと呼びます。
  • 自分でカネを創り出して、それを支払先に渡す。こういう支払をB払いと呼びます。

 

政府支出のプロセス 

政府支出(A払いバージョン)

政府支出の実際のプロセスは、とてもややこしいです。

f:id:xbtomoki:20201217181833p:plain

f:id:xbtomoki:20201201113453p:plain

文章で箇条書きにすると、こういうプロセスです。(一応、図にはこの箇条書きに合わせて青い線を途中に入れましたが、それでも分かりにくいと思います。)

  1. 企業・家計が政府に請求。
  2. 政府が"国庫短期証券"(通称T-Bill)を発行して、日銀から日銀預金を借りる。
  3. 政府が企業・家計へ調達した日銀預金を振り込む(A払い)。日本銀行市中銀行を経由することで日銀預金を銀行預金に変換する。
  4. 政府が国債を発行して、T-Billを国債に振り替える。

訳が分からなくても大丈夫です。見てほしいのは、合計の部分だけですから。

政府がまず日銀預金を調達して、それを支払う、というA払いをすると、政府~企業・家計の仕訳は最終的にはこうなります。

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この仕訳だけなら、そんなに難解ではないかと思います。

政府が企業・家計に支出をして、企業・家計はそれを銀行預金として受け取ります。銀行の資産として国債が、企業・家計の資産として銀行預金が新たに生まれます。

 

政府支出(B払いバージョン)

それでは、政府がB払いで支出をしたらどうなるでしょうか。

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さっきよりもだいぶシンプルですね。これも箇条書きにしてみます。

  1. 企業・家計が政府に請求。
  2. 政府は、銀行経由で国債発行のB払いを行う。

実はこれ、合計がA払いバージョンと全く同じになってます。上に戻って見比べてみてください。

f:id:xbtomoki:20201216181219p:plain

 

A払いバージョンはB払いバージョン

ということで、A払いバージョンとして紹介したプロセスは、実質的にはA払いではありません。A払いと言ったな、あれはウソだ。あれはB払いのプロセスです。
2つのバージョンには、ややこしさ以外の違いはありません。このことから、重要な事実が分かります。
 
政府支出は、B払いが基本で、A払いが例外である、ということです。そして、これは理論上だけの話なのではなくて、現実の会計処理がそうなっている、ということも付け加えておきます。例外のA払いってどんなやつなのかは、この後で説明します。
 
ということはですよ。 
[番外3]でこのように説明したとおり、

B払いをカフェ屋さんが許容してくれる限り、私はいくらでもコーヒーを注文できるんですよ。A払いでは、こうはいきません。財布が空っぽになったらそこで打ち止めです。

番外3.B払い - 国債乱発派のMMT解説

B払いは、支払先が許容してくれる限り、いくらでも購入・支払が可能です。

ここで、政府支出の支払先は企業・家計で、企業・家計が受け取るのは銀行預金です。企業・家計が「銀行預金で払われちゃ困るよ」なんてことを言うわけがありません。

よって、政府はいくらでも購入・支払をすることが可能だということになります。

但し、政府が購入しようとするものが"日本円"以外の通貨(例えば米ドル)建てで売られている場合は、いくらでも購入はできませんので、その点は注意してください。

 
ですから、ワイドショーなんかで不安を煽られた仔羊さんに「政府ってお金が無いんでしょ?いまはなんとかなってるらしいけど、いつか破綻してしまうんじゃないかと思うと不安で不安でピーナッツ・・・」って聞かれたら、私はこう答えます。
「とりあえずピーナッツはまじでやばいから忘れよう。でね、政府にお金が無いっていう話だけど、たしかに無いっちゃあ、無いね。でも不安にならなくていいんだよ。政府はお金をいくらでも作れるから、お金を貯め込む必要が無いんだ。だから、貯めてないだけなんだよ。そういうわけで、たしかに政府はお金を持ってないけど、それで破綻したりすることはないんだ。さあ、そのくだらないテレビは消して、一緒に安藤先生のライブ配信を見よう。すぐに気持ちよくなれるよ🙃」
 

徴税のプロセス

さて、支出の仕訳は説明できたので、続いては収入の方です。

少なくとも日本においては、政府の収入は、イコール税収と考えても問題ないでしょうから、徴税のプロセスで説明するとしましょう。

早速、仕訳図を見てみます。

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徴税のプロセスでは企業・家計が政府へ支払います。政府はケチなので、企業・家計のB払いなんて許容してくれません。

現金紙幣、現金硬貨または銀行預金で支払うこと、となっています。まあ、普通は銀行預金で支払いますので、仕訳図は銀行預金でA払いをする形で描いてます。

 

徴税の結果は、こうなります。

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企業・家計が政府に納税をして、政府はそれを日銀預金として受け取ります。ここで、企業・家計の銀行預金が消滅します。(銀行の日銀預金は政府に移動するだけで消滅はしません。)

徴税は、A払いバージョンしかないので、簡単ですね。

 

税金はどこへ行くのか

徴税の結果、政府は日銀預金を手に入れます。そしてこの日銀預金で、支出のときに発行した国債を償還(返済)すると全てがチャラになります。

f:id:xbtomoki:20201217132716p:plain

 

でも、実際には償還なんかしません。

だって次の政府支出のときには、また国債を発行するんですから、いちいち償還してても、そんなの手間が増えるだけやないですか。

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ただ、いちいち償還しないことが、税が財源だと誤解される一因になっている、という問題はありますが。

 

政府は徴税で得た日銀預金を次の政府支出に使います。

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これが本当の政府支出のA払いバージョンです。徴収して、そのまま払ってるだけなので当たり前ですが、きれいに全てがチャラになります。

但し、前回記事のとおり、政府収支は赤字(支出>税収)が普通ですから、税収で政府支出の全額を賄うことはハナから無理です。

政府が徴税で得た日銀預金を次の政府支出に使うのは、手間を省いているだけであって、"政府は、まず税収で得たお金で支出をして、税収で足りない分を国債で賄っている"という説明は、間違いです。

実際はもっと悪意のあるワードを使ってますけどね。"国は、国民みんなから集めた税金で年金なんかを支払っています。税金で足りない分は借金をしています。"みたいな…

 

正しくは、こうです。

政府は、国債のB払いで支出します。なので、政府は、(日本円建てで売られていれば、)財・サービスをいくらでも購入することができます。

なお、税収として得た日銀預金が余っていれば、日銀預金のA払いで支出します。但し、そうする理由は、その日銀預金を国債償還に回しても手間が増えるだけやし、置いといてもしゃーしいから、という事務的なものに過ぎません。

 

 
それでは本日ここまで。

 

 

2021/3/3 追記


国民の9割が騙されている?池上彰の大嘘 国庫の資金繰りを徹底解説(室伏謙一×森井じゅん)

最初の10分間くらいで本記事の内容が動画で説明されています。併せて見ていただければ、より理解が深まるかと思います。 

 

 

おまけ

先日、立憲民主党すぎむら慎治さんとツイッター上でちょっとやり取りをさせていただきました。

貨幣の本質を理解されているかどうかが分からないのが不安なところはありますが、社会保険料の実質が税であることは理解されているし、減税を"代替財源"とか変なことを言わずに主張されています。

固定ツイートにされている10本の政策は、ほとんどが賛成できるものでした。もしかすると期待できる方なのかもしれません。要注目です。

 

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

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4-2.財政赤字が貯蓄に与える影響 その1

本節では、財政赤字と貯蓄の関係、さらには財政赤字が準備預金と金利に与える影響を確認する。以下の議論は、一般的な性質に関するものである。

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当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

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MMT現代貨幣理論入門

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目次 

 

マクロ会計の恒等式

まずは大事な大事なマクロ会計の恒等式を思い出してください。 

国内民間収支+国内政府収支+国外収支=0

国内民間収支+国内政府収支-経常収支=0

1-4.マクロ会計の恒等式 - 国債乱発派のMMT解説

マクロ会計の恒等式って何だったっけ?という方はこちらをどうぞ。

xbtomoki.hatenablog.com

 

本記事では、単純化のため、輸出入を無視(閉鎖経済を仮定)します。輸出入から生じる影響は、また別途後日の記事で解説します。よって、国外収支・経常収支はゼロですので、恒等式はこうなります。

民間収支+政府収支=0

 

民間収支が黒字になる条件

恒等式を見れば、民間収支が黒字になるための条件は簡単に分かります。

恒等式をちょっと変形しまして、

民間収支=-政府収支

政府収支に乱数を代入して、そのときの民間収支を計算してみましょう。

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こんなことしなくても分かると思いますが、民間収支がプラス(黒字)になる条件は、"政府収支がマイナス(赤字)になること"です。

逆に政府が黒字なら、民間は赤字になります。

 

貯蓄は黒字の蓄積

簿記の世界では、資産と負債を差し引きした差額を"純資産"と呼びますが、この【純資産が増える】ということと、【収支が黒字になる】ということは、同じ意味です。(詳しくは[1-3]をご覧ください。)

逆に収支が赤字なら、純資産は減ります。

 

ですので、純資産の残高は、いままでに蓄積されてきた収支の累計、つまり貯蓄を表していることになります。黒字が続いていれば、それだけ貯蓄が多くなるし、赤字になれば、貯蓄が減ります。

 

要するに、純資産とは貯蓄のことであって、これを増やすためには黒字収支が必要だっちゅうことです。

 

政府赤字が民間貯蓄になる

ここまでの内容をまとめます。

  • 民間部門が黒字になるためには、政府が赤字でなければならない。
  • 貯蓄を増やすためには、収支が黒字でなければならない。

 

ということは、

民間部門が貯蓄を増やすためには、政府が赤字でなければならない。

つまりは、

政府赤字→民間黒字=民間貯蓄が増える

まずは、この流れをしっかり押さえてください。

 

政府収支が±0なら?

政府収支±0→民間収支±0=民間貯蓄±0

こうなります。

 

で、ここで言っておきたいのが、民間収支±0って聞くと、なんだか平和な感じがするかもしれませんが、それは間違いです。

民間部門の中で、黒字の"勝ち組"と赤字の"負け組"がいて、その黒字と赤字を合計したら±0というだけです。

ということは、ある人が黒字だったら、必ずその黒字と同じだけの赤字をかぶってる別の誰かが民間部門の中にいなければなりません。

つまりは、民間収支±0の世界とは、民間同士でシバきあって、他人に赤字をかぶせることに成功した"勝ち組"だけが貯蓄を増やし、"負け組"はマイナスの貯蓄(借金)を抱える世界です。

 

さらに悪いことに、この格差は、通常どんどん拡大します。

だって、金持ちと貧乏人がヨーイドンで、"たくさんお金を稼いだ方が勝ちゲーム"をやったら、金持ちが勝つに決まっとるやないですか。例えば、もし金持ちが1兆円持ってたら、国債を買うだけで毎年5億円の利息収入がもらえます。貧乏人は宝くじを当てるくらいしか勝ち目がありません。

最初の方で運よく勝てて、小金持ちになっても、そのうち大金持ちに負けて、結局"負け組"に転がり落ちます。

こうして民間収支±0の世界は、ごく少数の富裕層と、大多数の貧困層に分かれていきます。

 

政府収支が黒字なら?

政府黒字→民間赤字=民間貯蓄減

こうなるわけですから、さらにさらに悪いことになります。

民間部門全体としては赤字なのに、自分だけはいままでどおりの黒字でいるためには、"負け組"にこれまで以上の多額の赤字をかぶせなければなりません。結果、金持ちが現状維持で貧乏人がさらに借金を膨らますことになります。

 

政府収支は赤字が普通

結論としては、基本的には、政府収支は赤字であることが普通だと考えるべきでしょう。

民間部門の全員が黒字になるためには、民間部門が全体として黒字でなければならず、民間部門が黒字になるためには、政府収支が赤字でなければなりません。

誰かが黒字になるためには、別の誰かが赤字にならなければならないことが避けられない以上、その赤字を引き受けるのは"負け組"ではなく、政府であるべきです。

 

民間部門の中で、たくさん稼ぐ人・あんまり稼げない人・稼げるけど使っちゃう人、いろんな人がいるけれど、基本的にはみんなが黒字で将来に備えて貯蓄を増やしていける。世の中って、こういうものであるべきだと思います。

そういう世の中にするためには、政府赤字→民間黒字=民間貯蓄が増える、この流れがベースとして存在していなければなりません。

もちろん、ときには、民間黒字が過大になりすぎたときなんかに政府赤字を減らしたりすることはあってもいいのですが、

"政府収支を常に±0や黒字にするべきだ"、なんてのは、こりゃ完全にクレイジーです。

そんなことをしたら、日本は国民が負け組と勝ち組に分かれて延々と互いをシバきあうディストピアになっていくことでしょう。

もうすでにだいぶ近づいてきてますけどね・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほら、そこ、うしろ・・・

 
 
それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

明日12/16 20:00~安藤裕先生のyoutubeライブがあります!

ツイッターで事前質問を受け付けられてますので、「#あんどう裕さんに質問」でツイートしてみてください。結構読んでもらえますよ。私も以前に1回読んでもらえました。


【令和2年12月16日 緊急生放送】「2020年を振り返る」~2021年 コロナウイルスからのV字回復に必要なこと~

 

明日12/16 20:00~ youtubeライブですよ!

 

 

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番外3.B払い

これは奇妙なようだが、金融的なプロセスは分かりやすい。政府は、受取り手の銀行口座への振込みによって支出を行う。

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目次 

 

まずはこちらをご覧ください


貨幣発行は誰でもできる!(175)【経済の仕組み】負債を発行して資産を買えるのは実は金融機関だけではない。

 

語彙が足りないなら作ればいいじゃない

カリンゴンさんは、動画の最初の方で、

支払の方法には、「いま持ってる資産を、売り手に譲り渡す」という方法だけではなく、「売り手の資産として、自分の負債を発行する」という方法もあって、実際にこっちの方法による支払も行われてもいるんだけれども、

この支払方法を意味する用語が存在しない、つまり語彙が足りない、と述べられています。

で、語彙が足りないなら作ればいいじゃない、ということで、本記事では、この支払方法を意味する用語を考えてみたいと思います。

 

仮の名前を付けます

とりあえず、"売り手の資産として、自分の負債を発行するという支払方法"とか長すぎて不便なので仮の名前を付けてあげます。

  • A払い:いま持ってる資産を、売り手に譲り渡す支払方法
  • B払い:売り手の資産として、自分の負債を発行する支払方法

ということで、この"B払い"にちゃんとした名前を付けてあげてあげたいと思います。

 

設例

B払いに名前を付ける前に、B払いの何たるかを説明しておきましょう。

[2-2]で使った設例を再利用します。

先日、カフェ屋さんに行ったんですよ。ほいでコーヒーを注文したんです。私はブラックコーヒー派なんですけど、ミルクと砂糖とスプーンも出てきて、そこはちょっとしゃーしいなと思ったんですが、コーヒー自体はとてもおいしくて、550円を払って店を出ました。

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売り手は財またはサービスを提供し、買い手は貨幣を提供する。 これは貨幣経済の基本ルールです。

 

補足説明

この例は、私(買い手)がカフェ屋さん(売り手)に550円のA払いをした例ですね。

こういう仕訳になります。私の資産(現金)がカフェ屋さんに移動しています。

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もし、これをB払いにするとしたら、具体的にはどういうものになるでしょうか。いくつかのパターンが考えられますが、いちばん分かりやすいのは動画でも言われているように、"ツケにしてもらう"、だと思います。

仕訳はこうなります。私が負債(未払金)を発行して、それがカフェ屋さんの資産(未収金)になっています。

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B払いでは、"未収金"というなんだか頼りないものになってますが、売り手側にとっては、A払いでもB払いでも本質的な違いはありません。コーヒーの売上が立って、資産が増えます。

ところがどっこい、買い手側にとっては、A払いとB払いはまるで違うものです。B払いの仕訳では、貸方に資産は現れずに負債が立っています。

それがどうかしたんかって?よく考えてみてください。

B払いをカフェ屋さんが許容してくれる限り、私はいくらでもコーヒーを注文できるんですよ。A払いでは、こうはいきません。財布が空っぽになったらそこで打ち止めです。

 

B払い成立の条件

B払いが成立するには、売り手がそれを許容してくれなければなりません。

厳密には、A払いでも売り手の許容は必要なのですが、A払いを許容しないということは考えられません。詳しくは[2-4][番外1]を参照してください。

 

さて、売り手がB払いを許容する条件とは何でしょうか。

まずは、"ツケにしてもらう"というのが、どういうことなのかを確認しておきますと、"ツケにしてもらう"とは、「後日、550円の現金を渡します。」という約束をすることですね。

よって、B払いが許容される条件は、

  • 売り手が"私の約束"を信用してくれる
  • 売り手が「第三者が"私の約束"を信用するだろう」と考える
このうち少なくとも1つが満たされればB払いは成り立ちます。
ちょっと分かりにくいかもしれませんね。補足します。
 

売り手が"私の約束"を信用する

これはそんなに難しくないと思います。

カフェ屋さんが"この人はちゃんと550円を払ってくれる"、と信用してくれるなら、A払いでもB払いでもカフェ屋さんにとって大した違いはありません。結局は550円の現金が手に入ることになりますから。

 

三者が"私の約束"を信用する

分かりにくいのはこっちの方だと思います。

説明の前にちょっと私の持論を述べさせていただきますと・・・

貨幣とは支払の道具である

これは私の思い込みに過ぎないかもしれませんが、

ビジネスや家計といったミクロの世界における貨幣の意義は、"支払の道具"、これに尽きるんじゃないかと思います。

「なぜ借入をするのか」「なぜ働くのか」「なぜ貯金をするのか」「なぜ節約をするのか」・・・これらの答えは、全て「●●●の支払をするため」に行き着きます。

 

重要なのは"支払の道具として使えるか"

ということで、例えばカフェ屋さんが店員さんに給料を払うときに、その店員さんが"私の約束"を信用してくれるなら、給料を現金ではなく、私のツケ(未収金)で支払うことも可能になります。"私の約束"を信用する人にとっては、現金も未収金も大した違いではありませんから。

そして、もし店員さんだけでなく、どんな人でも"私の約束"を信用してくれるのであれば、支払の道具としての価値は、現金も未収金も大して変わらんことになります。よって、その場合には、B払いが許容される、という理屈です。

 

銀行・政府・日銀のB払い

さてさて、ここまでは一般ピーポーの私がB払いをする話でした。

まー実際には私のB払いを許容してもらうなんて無理でしょう。私にそんな信用があるわけがありません。

 

ところがどっこい、これが政府や銀行や日銀のB払いならどうでしょうか。

銀行ならこうなります。

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銀行の約束は「預金者が要求したら、その預金と同額の現金を支払う」というものです[3-1]。これは信用できそうですね。きっとB払いは成立するでしょう。

 

政府ならこうなります。

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政府の約束は、「期日が来たら、額面どおりの通貨を支払う」というものです。これも信用できそうですね。

 

また、政府の発行する負債には、国債だけでなく現金硬貨もあります。

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これならA払いと全く同じことです。

 

日銀ならこうです。

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銀行に仲介してもらわないといけないので、ちょっとややこいですけど、カフェ屋さんにとっては銀行のB払いと同じなので信用してくれそうですね。

 

また、日銀は、現金紙幣の発行もしています。

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ちょっとお釣りが出そうですけど、これもA払いと同じことですね。

 

現金にはコインとお札の2種類がありますが、コインを発行してるのは政府で、お札を発行してるのは日銀です。これ、豆な。

 

ということで、一般ピーポーには難しいB払いも、政府や銀行や日銀であれば、広く簡単に受け入れてもらえるわけです。

 

実際に行われているB払い

B払いは思考実験ではなく、実際に行われています。

いくつかの例を示しましょう。

日銀のB払い

先日、日銀さんに、ETF買いについて問い合わせをしたところ、1週間くらいでお返事が来ました。日銀さんはB払いでETFを買っているそうです。ETFってのは、ざっくり説明すると、複数銘柄の株式がひとまとめのセットで売られてるようなものです。

 

こういう仕訳ということですね。

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上記で日銀がコーヒー代をB払いしたときの仕訳はこうでした。

f:id:xbtomoki:20201210161259p:plain

 

ETFの売買は費用・収益ではなく、資産の交換というところは違いますが、その他の変わったところはコーヒーがETFになっただけですから、両者は本質的には同じもので、日銀のETF買いがB払いであることが分かります。

 

銀行のB払い

銀行の銀行員への給与支払もB払いの一例です。

銀行員は自身の勤める銀行に預金口座を持っていますので、銀行は、どこかからカネを調達して払うのではなく、ただ単にその銀行員の口座の残高の数字を増やすだけで給与支払を済ませてしまいます。

 

こういう仕訳になります。 

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上記で銀行がコーヒー代をB払いしたときの仕訳はこうでした。

f:id:xbtomoki:20201210154547p:plain

こっちはまさにコーヒー代が給与に入れ替わっただけですね。

さて、本題です。

長々と説明をしてきましたので、"B払い"なるものがどんなものなのか、だいぶ理解していただけたかと思います。

それでは、いよいよ"B払い"に何かぴったりな名前を付けてあげたいと思うわけです。

 

ところがどっこい、

とりあえず、日本語だと、ええのが無いんですよ。

英語でも探してみたんですけど、やっぱり無いんですよ。

 

で、ですね。

私の結論としては、じゃあもう、「B払い」でいいんじゃね?

というのに行き着きました。B-Treeなんかもきっとこんなノリで名付けられたんでしょう。

ということで、今後、当ブログでは、本記事で解説した"売り手の資産として、自分の負債を発行するという支払方法"を「B払い」と呼んでいくことにします。

以上、よろしくお願いします。

 

 

「B払い」…浸透しないかなあ。

ぼくも「あれ作ったのオレ」って言ってみたいなあ。

 
 
それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

本日のおまけは独り言です。

 

 

商品貨幣論でB払いって説明できるんかなあ。無理なんちゃうかなあ。 

 

 

 

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4-1.基本的な原則

上記の原則は、政府は無制限に支出すべきだという意味ではないことに注意しよう。同様に、政府は自国通貨建てで売られているものなら何でも「購入する能力がある」という言説は、自国通貨建てで売られているものなら何でも購入すべきだという意味ではない。

MMT現代貨幣理論入門』kindle版 218/553pp


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MMT現代貨幣理論入門

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目次 

 

貨幣とは

第4章を始めるにあたって、まずは繰り返しになりますが、貨幣とは何かを確認しておきましょう。

貨幣とは、【資産|負債】の取引の記録です。その発行者にとっては金融負債であり、その所有者にとっては金融資産です。

貨幣の本質は、【資産|負債】の取引によって発行者が負債を負ったという情報です。つまり、貨幣とはデータであって、モノではありません。端的に言えば、1万円札は貨幣ではなく、1万円札に書かれてある情報が貨幣なのです。

 

貨幣発行者に関する基本的な原則

現代の日本経済における主要な貨幣は、国債(政府発行の負債)、日銀預金・現金紙幣(日銀発行の負債)銀行預金(銀行発行の負債)の4つです。

それぞれの発行者である政府・日銀・市中銀行には、以下の原則が当てはまります。

  1. 政府は、貨幣の計算単位を決定し、その計算単位によって課税する。[2-1]
  2. 政府の支払方法は、保有している貨幣を譲り渡すというものではない。政府は、新しく貨幣を発行して、支払先に付与するという方法によって支払を行う。
  3. 政府は、自身が決定した計算単位建て(自国通貨建て)で売られているものであれば、いくらでも購入することができる。
  4. 政府と企業・家計との間の貨幣のやりとりは、銀行の仲介のおかげで成り立っている。[3-5]
  5. 政府支出のプロセスでは、日銀当座預金と銀行預金が増える。[3-5]
  6. 日銀は、翌日物金利をコントロールできる。[3-6]

1・4~6は、いままでに説明した内容です。それぞれのリンクを末尾に付けておきました。

2・3は、新しい命題です。勘のいい方なら、いままでの内容から類推できるかもしれませんが、私は初見では全然できなかったので、次回以降の記事で説明していこうと思います。

 

貨幣発行者に関するよくある誤解

続いては、政府・日銀・市中銀行には当てはまらないのに、なぜか浸透しちゃってる誤解を羅列していきます。

なぜかっていうか、なぜかは分かっとんですけどね。

池上彰さんとか橋下徹さんとか竹中平蔵さんとか小林慶一郎さんとかアトキンソンさんとか山口真由さんとか藤巻健史さんとか小黒一正さんとか辛坊治郎さんとか土居丈朗さんとか麻生太郎さんとか高橋洋一さんとか・・・

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彼らが何度も何度もテレビで言い続けて、国民をマインドコントロールしてくれちゃってるからですね。

 

さて、もとい、よくある誤解を羅列していきます。

これらは全て事実ではありません。

  • 政府は、企業や家計と同じく、徴税や借入によって貨幣を調達して、支払をする。
  • 政府は、事前に貨幣を調達できなければ、支払ができない。
  • 政府の財政赤字は、金利を上げる。
  • 政府の財政赤字は、民間の貯蓄を減らす。
  • 政府の財政赤字は、民間の投資を減らす。
  • 政府の財政赤字は、民間を市場から締め出す。(クラウディングアウト)
  • 政府の財政赤字は、将来世代にツケを残す。そうならないように、政府は増税と歳出削減に努めなければならない。
  • 政府の財政赤字は、国の借金である。これが増えると、政府はより多くの元本返済と利息支払を迫られるため、増税を避けられなくなる。
  • クニノシャッキンガー!仲間達はどうした!力を合わせることも出来ない弱き者達に生きていく資格など掴みとれるものか!滅びの悪魔よ、去れぇぇぇ!

 

いくらでも購入すべきだという意味ではない

当たり前ですが、

基本的な原則の「3.政府は、自身が決定した計算単位建て(自国通貨建て)で売られているものであれば、いくらでも購入することができる。」は、いくらでも購入するべきだ、という意味ではありません。

"じゃあ政府はいくらまで購入するべきなのか"とか、詳しいことは後々説明していきますが、とりあえずここでは、政府の購入が多すぎる場合に考えられる影響を書き出すだけにとどめておきます。

  • インフレが起きる。
  • 通貨の為替レートが下がる(円安になる)。

政府の購入が少なすぎれば、この逆の影響が生じる可能性があります。

 

 
それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

本日のおまけは動画紹介です。 


こどもの未来を変える❗️テレビ新聞政府の【消費税のウソ】を三橋貴明先生がカンッペキに暴きます。こども経済教室vol.4。税金の真実。消費税賛成の人を説き伏せ消費税撤廃に導けるようになります。

 

こちらの動画、メインテーマは"消費税の問題点"で、なぜ消費税は廃止するべきなのかが説明されています。

もちろんその意味でも拡散したいのですが、その前置きとして、そもそもの「税とは何か」がしっかり説明されていますので、よくある"税は財源じゃないなら、税金はいらねぇってことかい?"っていうイチャモンは「これ見て」で返しちゃってください。

私も"税とは何か"の記事を書こうかな・・・

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

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