経理屋が読み解く『MMT入門』

『MMT入門』(L・ランダル・レイ,2019,東洋経済新報社)をベースにMMTを解説します。ときには自分の思うところを書き綴ったり。

5-4."租税による再分配"の問題点

富める者から取り上げ、貧しき者に分け与える。我々はそんな話が大好きだ。しかしそれは、貧困層を支援するためには富裕層により支払われる租税が必要だ、という誤解に基づいている。しかもそれでは、富裕層に対する増税貧困層に対する支援の条件ということになってしまう。

MMT現代貨幣理論入門』kindle版 279/553pp


当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。 

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当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事注釈で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

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当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。

MMT現代貨幣理論入門

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目次 

 

本日のお題

本日の記事は長めです。さっそくお題に行きましょう。

 

再分配とは

"再分配"とか"富の再分配"とか"所得再分配"とかいうワードがあります。

これは「売った買った切った張ったの経済活動が行われると、その結果、ある人には多く、ある人には少なく、富が分配されることになる。この初期分配は、[4-2]のとおり、元から金持ちの人が有利なので、放置すると格差はどんどん拡大する。そこで、政府は、金持ちからカネを取り上げて、取り上げたカネを貧困層に配ってあげる、いわばロビンフッドとか鼠小僧みたいな役回りを演じなければならない。これを再分配と言う。」

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だいたいこんな感じの意味です。

 

再分配に物申す

一般的に、再分配は良いことであると考えられていると思います。「再分配はもっと進めるべきで、そのために富裕層への課税を今よりもっと強化しなければならない。」と考えている方も多いと思いますが・・・

(´・ω・ `)<ちょっと待って。それなんかおかしくない? 

( ゚д゚)<お前なんでもかんでもケチつけるのー。中二病か?そういうのよくないよ。

ということで、この「格差を小さくするために、富裕層から税金を徴収して、貧困層にカネを配る」という再分配理論の問題点を挙げていくのが本日のお題です。

 

税は財源ではない

しつこかろうが何度でも言います。

税は財源ではない。

つまり、主権通貨を持つ国の政府は、支出をするために事前に徴税をする必要は無く、たとえ税収がゼロであっても、いくらでも支出することができる。税は財源ではないのである。

5-1.税は財源ではない ver.3 - 国債乱発派のMMT解説

ですから、政府は、貧困層にカネを配るべきだという政策決定をしたのであれば、単純に配ればいいんです。そこに税は必要も関係もありません。

つまり、「富裕層から税金を徴収して、貧困層にカネを配る」という再分配理論は、

  • 富裕層から税金を徴収する→税の話
  • 貧困層にカネを配る→政府支出の話

という、全く別の話をセットにして語っているところに第1の問題点があります。

( ゚д゚)<セットにして語っちゃいかんのか?

(´・ω・ `)<いかんわけじゃないけども、"貧困層救済のために富裕層に課税せよ!"とか、"税収が足りないから貧困層を救済できないよー。"とか、そういう謎理論を生み出してる以外の意味あるか?

( ゚д゚)<ぐぬぬ

 

分断を生みかねない

再分配の考え方は、富裕層と貧困層の間に分断を生む可能性があります。下記はフィクションのつもりですが、もしかしたらそうではないのかもしれません。

 

富裕層の立場

(´・ω・ `)<これから毎月きみの給料の2割を天引きすることになったわ。

( ゚д゚)<え、なんでよ。

(´・ω・ `)<お金を集めて貧しい人たちに配るんやて。

( ゚д゚)<それ取られたらぼくが貧しくなるねんけど。

(´・ω・ `)<せやな。ま、しゃーない。みんなで貧しくなろうや。

( ゚д゚)<その貧しい人たちが自分で稼げばええやんけ。なんでぼくが犠牲にならなあかんのよ。だいたいその"貧しい人たち"って誰やねんな。

(´・ω・ `)<高齢者とか障がい者とか移民とか、まあそのへんやな。自分らで稼げってのはちょっと難しいわ。

( ゚д゚)<そか。じゃあそいつらがいなくなればみんなが豊かに暮らせるんやな。

(´・ω・ `)<待て待て。そういうのよくないよ。

(゚⊿゚)<いや、彼の言うことは正しい!

(´・ω・ `)<誰やお前。

(゚⊿゚)<きみたちが貧しいのは、あいつらのせいだ。叩け!叩け!叩け―!

( ゚д゚)<叩く!叩く!叩くー!

 

貧困層の立場

(´・ω・ `)<はい、今月分な。10万円。

( ゚д゚)<え、こんだけ?家賃と食費だけで全部消えるで。

(´・ω・ `)<せやな。ま、しゃーない。

( ゚д゚)<金持ちからもっといっぱい取れば15万に増やせるんちゃうか?

(´・ω・ `)<そりゃ金持ちから取れれば増やせるけど、そう簡単にはいかんのよ。

( ゚д゚)<なにが難しいねん。

(´・ω・ `)<金持ちだって、楽して稼いどるわけじゃないけーの。自分たちへのごほうび分くらいは残してあげんと稼ぐ気なくしてまうやろ。

( ゚д゚)<はぁ?なんで金持ちの遊びのためにぼくらがひもじい思いせなあかんの?あったまきた!今度金持ち見つけたら石投げたるねん!

(´・ω・ `)<待て待て。そういうのよくないよ。

(゚⊿゚)<いや、彼の言うことは正しい!

(´・ω・ `)<お前誰やねんて。

(゚⊿゚)<きみたちが貧しいのは、あいつらのせいだ。石を投げろ!投げろ!投げろ―!

( ゚д゚)<投げる!投げる!投げるー!

 

そもそも税に再分配の機能があることがおかしい

財務省のホームページの一部をスクショしてちょっとマーカーを入れさせてもらいました。

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だから税は財源ではないとあれほど…ま、いまはそこは置いときます。

 

( ゚д゚)<なるほど〜。税には再分配の機能があるのか〜。勉強になるな〜。

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( ゚д゚)<あれ、ないんか?

(´・ω・ `)<そんなもんないぞ。正しくは「税には再分配政策の目的である格差縮小を達成するために利用可能な性質があります。」や。はしょり過ぎて違うもんになっとるがな。

もし仮に税に再分配の機能があるなら、どんどん課税すればするほど格差が縮小する理屈になります。が、そんなわけがありません。

極端なことを言えば、政府が

(゚⊿゚)<国民が団結してコロナ禍に打ち勝つために、痛みを分かち合う必要があります。そこで、コロナ税として全国民に100万円ずつ納税してもらうことにしました!ナイスアイデア

なんて言い出したら、富裕層はちょっと預金を下ろせば済みますが、貧困層は車を売ったり借金したりしなきゃならん人も出てくることでしょう。課税の仕方によっては税が格差を拡大させることもあり得るわけです。

つまり、課税によって再分配の効果(格差縮小)が得られたとしても、それは再分配の効果が得られるような課税をしたからです。税に再分配の機能があるからではありません。分かりにくいですね。

サッカーで例えてみましょうか。

ボールを蹴ってゴールに入ったとしますよね。

なんでそのボールはゴールに入ったのかと言えば、それはゴールに入るように蹴られたからですよ。なのに、「ボールを蹴ってゴールに入った。」という事象を見て「ボールはゴールに入るようにできているんだ。」と言うのはおかしいじゃないですか。

(´・ω・ `)<結局分かりにくいの。ま、しゃーない。

 

富裕層に課税するなという意味ではない

ここまでさんざん文句を言ってきましたが、"富裕層に課税しても意味が無い"とか"富裕層に課税するべきじゃない"とか、そういうことが言いたいわけではありません。

富裕層を狙い撃ちで課税すれば、格差が小さくなることは間違いありませんし、自由競争を放置すれば、格差はどんどん拡大していくので、政府がそこにある程度の手を加えることは、むしろ必要なことだと思います。

ただ、事実でないことは事実でないと指摘されるべきでしょう。

 

おさらいしておきます。

  • "富裕層への課税"と"貧困層への給付"をセットで議論することにはメリットも必要もありません。税は財源ではないからです。
  • "富裕層への課税"と"貧困層への給付"をセットで議論することは必要ないどころか、分断を生む可能性すらあります。
  • 税に再分配の機能はありません。税にあるのは、「再分配政策の目的である格差縮小を達成するために利用可能な性質」です。
 
 
それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

西田昌司先生の一問一答に私の質問が採用されました。


「西田さん、そもそも国民に主権があるとおかしいと本当に言ったのですか?」週刊西田一問一答おまけ

ぶっちゃけてしまうと、だいたいどういう趣旨だったのかは、ググり倒して知ってたのですが、

  • 本人発信の説明が見つけられなかったので、確信が持てなかった。
  • ツイッターとかで西田さんの言いたいことはそうじゃねえんだと反論したいときに動画があったら便利なのになーと思った。

ということで、西田先生のホームページに行って質問を書き込んだところ、そこまで汲み取ってくれたのかどうかは分かりませんが、まさに「これが欲しかったのよ」という動画をアップしていただけました。西田先生、ありがとうございます。

これからはこの↓画像を見かけるたびにこちらの動画を貼って、そうじゃないんだよと教えてあげようと思います。いっぱいブロックされそうですね。楽しみです。

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こーゆー画像が存在するからといって、本人がこういう発言をした証拠には全くならんし、仮にこういう発言をしていたとしても、どういう趣旨での発言かも分かりませんよね。こんなもん、貨幣と同じで誰でもいくらでも作れるんですから。とすると、そもそも円に信任があることがおかしいんじゃ・・・いかん、脱線しとる。なのに、これが存在して拡散されるだけで、たくさんの人が「西田ろくでもない」と思い込んでしまうんですよね・・・

たぶんテレビ新聞と同じ感覚で見てるんでしょうね。メディアに出てる情報がウソなわけがない、と。テレビ新聞に出てる情報だってウソじゃないとは全く限らないのにもかかわらず・・・私自身もこの画像を初めて見たときは「えっ、こういう人だったの?」ってなりかけたんで、人のことは言えませんが。

 

ちなみに動画で西田先生が述べられていた意見に対する私の考えは、以下のとおりです。

非常に筋道の通った意見だと思います。明確に賛成だ反対だと言えるレベルまで自分の考えがまとまってないのですが、少なくとも「私たちには主権があるんだから、天皇制廃止でも何でもやっていいんだ。」みたいな考え方よりはずっとマシなのは間違いないでしょう。

それに「保守思想」っていうのはまさにこういうものなんだな、というのが良く分かりました。日の丸振り回して中国人の悪口を言うのは保守でも何でもありません。ただのレイシストです。

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

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5-3.租税は総需要を減らす

従って、租税は「通貨を動かす」ことに加え、総需要を安定させるためにも必要なものである。これは、数ある租税の機能のうちの1つに過ぎない(最も重要なものの1つではあるが)。

MMT現代貨幣理論入門』kindle版 273/553pp


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当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

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目次 

 

"需要"とは

突然ですが、"需要"とは何なのかを考えてみたいと思います。

ヒントになりそうなワードに"有効需要"というのがあります。単なる"需要"と"有効需要"はどう違うのでしょうか。

 

"有効需要"とは

まず、"購買"というワードを「他者にカネを支払って、その他者が持つ資産を譲ってもらうこと」と定義します。

その上で、ある人が購買をするのは、その人に

  • 購買をする意欲
  • 購買をする支払能力
の両方が備わっているときだけだと考えられます。意欲だけで能力が無い人も、能力だけで意欲が無い人も、購買はしません。実際に購買をするのは、意欲と能力の両方が備わった人だけです。

この「需要は、意欲と能力の両方が備わっていて、はじめて意味がある」というのが"有効需要"という考え方です。

なお、単に"需要"と言えば、"有効需要"のことを(少なくとも当ブログでは)指します。

また、"総需要"とは、ある経済圏内(例えば日本国内)の全ての経済主体の需要の総合計です。

 

徴税は総需要を減らす

しつこいようですが、徴税の仕訳を確認しましょう。

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企業・家計が赤字収支になるということは、純資産が減ることとイコールですね。純資産が減るわけですから、当然支払能力が落ちます。

いくら徴税したら、いくら落ちるのかという定量的な関係性は個別具体的な事案によって異なりますが、少なくとも定性的な傾向として、「徴税すれば、企業・家計の支払能力が落ちる」のは間違いなく、徴税と企業・家計の支払能力をグラフにすれば、必ず右下がりになります。

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支払能力が落ちれば、有効需要が減ります。

ということは、

  1. 徴税する。
  2. 企業・家計の純資産が減る。
  3. 総需要が減る。

という因果関係が成り立ちますので、これをまとめると「徴税すると、総需要が減る」つまり「租税は総需要を減らす。」と言えるわけであります。

 

租税調整による総需要の安定化

(´・ω・ `)<ということで、租税は総需要を減らす、と言えるわけであります。

( ゚д゚)<だから何やねん。

そりゃそうです。だからどうしたっちゅう話ですよね。

実は、この「租税は総需要を減らす」という性質は総需要を安定化させるのに利用できます。総需要の変動は、インフレ・デフレに影響しますので、総需要が乱高下すると、物価も乱高下する可能性があって、これは絶対的な悪ではないかもしれませんが、一般的には良いことではありません。

それでは、「租税は総需要を減らす」という性質をどのように利用すれば、総需要を安定させることができるのかを説明していきましょう。

 

まず租税が存在しない世界の総需要はこのくらいだとします。

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ここに租税を課して、あらかじめ総需要をいくらか減らしておきます。

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そうすると、何らかの原因で総需要が増えたとしても・・・

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租税を強化すれば、総需要を減らして元に戻すことができます。

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また、別の何らかの原因で、逆に総需要が減ったときにも、租税を緩めて総需要を元に戻すことができます。

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このようにして、政府は租税を調整することで総需要を安定化させることができるわけです。

 

但し書き

但し、上のグラフでは、[租税強化][租税緩和]のところで総需要がきれいに元に戻っていますが、実際にはそれは至難の業で、政策決定の場面においては、「どのくらいがちょうどいいのか」を模索する必要がありますし、それに、税制をコロコロ変えられると国民生活が混乱しますので、そのへんの兼ね合いも考えなくてはなりません。

が、しかし、少なくとも「租税は総需要を減らす」ことは間違いなく、

このような状況の下で、政権が、財政再建に向けての政権の強いコミットメントをすると、民間経済主体の経済政策に対する信認は回復し、将来不安が解消され、消費をはじめとした経済活動は活発化する。これが、先述のスウェーデンの例で、そのほかイタリアにも見られたという研究がある。

消費税をめぐる5つの論点 | 研究活動 | 東京財団政策研究所

こーゆー「租税を強化すれば総需要が増える」とかいう珍説は、一顧だに値しません。

 

ビルトインスタビライザー

今後ITが進歩していけばどうなるか分かりませんが、少なくとも今現在だと、経済状況の調査にはかなりの時間がかかっています。例えば、内閣府のGDP速報には約2ヵ月のタイムラグがあります。調査結果が出てから、"増税すべきか減税すべきか"みたいな議論を始めても間に合わないわけです。なお、これは調査に意味が無いということではありません。

そこで、この租税を強化したり緩和したりして、総需要を安定化させる仕組みは、自動的に作用するように設計するべきだという発想が生まれてくるわけです

そのような自動的に作用する総需要安定化の仕組みを"ビルトインスタビライザー"と呼びます。

 

例えば、所得税の税率は累進税率になっていて、所得が増えるほどに税率が上がり、逆に所得が下がれば税率が下がります。

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No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁より引用

 

"所得が増える"="純資産が増える"="需要が増える" わけですから、所得が増えるほどに税率が上がり、所得が下がれば税率が下がるように税制を設計しておくことで、上記で説明したのと全く同じメカニズムを働かせて、総需要が自動的に安定することを期待できます。

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それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

明日、2/17(水)20:00~、安藤先生のYouTubeライブがあります!


【令和3年2月17日 緊急生放送】第3次補正予算成立 国の借金で日本は経済破綻しない!更なる補償の拡大を!

2/17(水)20:00~ですよ! 

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

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5-2.租税は貨幣を動かす

租税は名刺を動かす。そして貨幣を動かす。

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当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事の途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

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本日のお題

前回は、「税は財源ではない」ということを説明しました。

この説明をすると、当然出てくる疑問が「じゃあ、税っていらなくない?」です。それに対してMMTは、「そんなことはない。税には複数の大事な機能と役割があるからだ。」と答えます。

その大事な機能の1つが本日のお題であるこちらです。

( ゚д゚)<ババン!

「租税は貨幣を動かす。」 
 
 

実は解説済み

実は、既に過去記事でこれの解説をしています。

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詳しい内容はこれを(できれば[2-3][2-4]も)読んでいただければと思いますが、

( ゚д゚)<まだ読んでない人は読んでから戻ってきてください。ここから先は読んだ前提で進めますね。

っちゅうのはあんまりなので、ざーっとにはなりますが、おさらいします。

  • 2-2要約】
    日本政府は主権通貨として定めた"円"で税を納めることを強制します。その結果、日本国内の取引は
    "円"
    で行われるようになります。それが最も便利で合理的だからです。というのは、もし例えば"ドル"で代金を受け取ると、納税のたびにいちいち両替が必要になります。それには時間も手間も両替手数料もかかりますし、為替変動で思わぬ損失を生むかもしれません。
    つまり、租税には主権通貨をちゃんと主権通貨として通用させる役割があるわけです。

  • 【2-3要約】
    「なぜ貨幣経済が成り立っているのか。」については、ババ抜き理論・法定支払手段説・商品貨幣論といった理論もありますが、これらは全部間違いです。

  • 【2-4要約】
    政府は国民に税を課して、政府に通貨を支払うことを強制します。税を課された国民は、なんとかして通貨を集めてこなければ最悪刑務所行きです。だから国民は必死になって貨幣を受け取ろうとする、それによって貨幣経済が成り立っているわけです。
[番外1]で述べたとおり、[2-4]の「税が貨幣経済を成り立たせている」というMMTの説明については、私はちょっと懐疑的です。
 
 
 
それでは本日ここまで。
 
 
 
 
 
 
 
( ゚д゚)<おい!
(´・ω・ `)<何よ。
 
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(´・ω・ `)<しゃーないのー。そしたら小噺でもしたろか。
 

モズラーの名刺

昔々、あるところにウォーレン・モズラーという男がいた。モズラーにはある悩みがあった。
(´・ω・ `)<うちの子はなんでこんなにかわいいんや・・・
めでたしめでたし。
 
 
 
( ゚д゚)<おい。
(´・ω・ `)<何よ。
( ゚д゚)<お前これ2回目やぞ。
(´・ω・ `)<すんません。ちゃんとやります。
 
 

改めまして、モズラーの名刺

昔々、あるところにウォーレン・モズラーという男がいた。モズラーにはある悩みがあった。

(´・ω・ `)<うちの子は全然家の仕事を手伝ってくれへん。でもあんなにかわいい我が子に無理矢理家事をやらせるなんて私にはできひん。どうしたらええんや・・・
 
 
ある日、モズラーはあるアイデアを思いつきました。
 
(´・ω・ `)<せや!ええこと思いついた!モズラージュニアよ。来たれ。
( ゚д゚)<父ちゃん、どないした。
(´・ω・ `)<なんでジュニアはそんなにかわええの?
( ゚д゚)<はよ用件言うて。暇やないんよ。
(´・ω・ `)<おお、すまん、ついつい…あんな、今日からジュニアが家のお手伝いをしたら、わしの名刺をあげようと思うねん。皿洗いで1枚、洗車で10枚、庭掃除は20枚。どや。
( ゚д゚)<なんやそれ。名刺なんかいらんわ。
(´・ω・ `)・・・・・(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
 
 
モズラーのご褒美名刺というアイデアはあえなく敗れ去りました。
しかし、モズラーは諦めません。ご褒美名刺作戦に1つのルールを追加することにしたのです。
 
(´・ω・ `)<モズラージュニアよ。来たれ。
( ゚д゚)<父ちゃん、それやめて。で、どないしたん?
(´・ω・ `)<なんで…
( ゚д゚)<はいおやすみー
(´・ω・ `)<待って待って。ちゃうねんちゃうねん。こないだお手伝いしたら名刺あげるよて言うたやろ?
( ゚д゚)<なんかそんなんあったね。
(´・ω・ `)<せやろ。んでな、ルール追加や。これから毎月わしに名刺を30枚払いんしゃい。払わんかったら、1ヵ月ゲーム禁止や。
( ゚д゚)<なんやて!父ちゃん、そないな殺生なこと言わんといておくれやす!
(´・ω・ `)<どこでそんな言葉覚えてきたんや。
 
 
すると、なんということでしょう。
ジュニアはご褒美名刺を集めるために一生懸命お手伝いをするようになったのです。
 
( ゚д゚)<皿洗いするー!名刺ちょーだーい!
(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)<うちの子はなんでこんなにかわいいんや・・・
 
めでたしめでたし。
( ;∀;)イイハナシダナー
 

まとめ

このお話をまとめると、

  • モズラー(政府)は、まず名刺(貨幣)を発行して、それをエサにお手伝いをしてもらおうとしました。ところが、それだけだと、ジュニア(国民)の反応は…( ゚д゚)<なんやそれ。名刺なんかいらんわ。
  • そこで、モズラーは毎月名刺30枚()を徴収して、滞納者にはゲーム禁止というペナルティを付けました。すると、ジュニアの反応は…( ゚д゚)<皿洗いするー!

「租税は貨幣を動かす」とは、こういう現象のことを言っているわけです。

この小噺はなかなか示唆に富んでいて、まず、税の本質的な意義が含まれています。

  • 税には、国民に通貨を受け取る動機付けをする機能がある。
  • 政府が税を課すと、国民は、通貨を手に入れるために、自らの意思で政府のために仕事をするようになる。
  • つまり、政府は税という仕組みを利用して、警察・消防・その他いろいろな公共のために必要な仕事を、平和的、かつ簡単な方法で国民にやらせることができる。これが税の本質的な意義である。
"平和的かつ簡単"じゃない方法とは・・・
(´・ω・ `)<皿を洗え。さもなくば、おしりぺんぺんじゃ。
みたいな、恐怖や実力行使に訴える方法です。これは国民のやる気をそぐ上に、あちこちでぺんぺんして回る手間がかかって効率的ではありません。
そうではなく、税という仕組みを利用すれば、政府は「この仕事をしてくれたら、紙に100万円って書いて、きみにあげるよ。」で済んでしまう、これは便利だ、というわけです。
 

政府が欲しているのは"税金"ではない

さらには、こんなことも分かります。
ジュニアから徴収した名刺には、かわいい息子の成長記録という以外に、モズラーにとって何か価値があるでしょうか。そんなもん全くありません。まあ、「きれいだったら印刷する手間が省けるし、再利用しようかね。」くらいのものでしょうか。
「顧客が欲しているのはドリルではなく、穴だ。」という格言がありますよね。これと似てるようで似てないんですが、モズラーが欲しているのは名刺ではなく、息子にお手伝いをしてもらうことであるように、政府が欲しているのは税金ではなく、国民に公共目的のために働いてもらうことです。
国民から支払われる税金なんか、元々政府自身が作って配ったもんなんですから。ガチでそれを欲しがってたら滑稽どころの話ではありません。
 
 

徴税の前に支出が必要

ついでにもひとつ、
(´・ω・ `)<ジュニアよ。来たれ。
( ゚д゚)<それやめてって言ったよね。それより、皿洗いやったで!名刺ちょーだい!
(´・ω・ `)<その件やけどな、いまジュニアに渡す名刺が無いねん。すまんけど、まずジュニアがわしに30枚払うところから始めようや。そうせな渡しようがあらへん。払えへんて言うなら早速ゲーム禁止や。
( ゚д゚)<きみ言うてることめちゃくちゃやで。
 
ジュニアの言うとおりです。まず先にモズラーが支出をしなければ、徴税のしようがありません。前回も言いましたが、政府支出の前に徴税が必要なのではなく、徴税の前に政府支出が必要なんです。
× 徴税→支出
○ 支出→徴税
 

税は財源ではない

最後に、

( ゚д゚)<父ちゃん、皿洗いやったでー!名刺ちょーだい!
(´・ω・ `)<よしよし。実はな、ジュニアがいっぱいお手伝いしてくれるおかげで、先月回収した30枚はもう全部なくなってしもたんや。せっかくお手伝いしてもらっといて悪いねんけどな、手持ちが無いから名刺は渡せへんねん。すまんの。
( ゚д゚)<んなわけないやろ。はよ出せ。
 
ジュニアの言うとおりです。もしモズラーが先にジュニアから回収しないと名刺を渡せないんだとしたら、先月ジュニアがモズラーに渡した名刺30枚を作ったのは誰なんだっちゅう話です。
これも前回言いましたが、主権通貨を持つ国の政府は、支出をするために事前に徴税をする必要は無く、たとえ税収がゼロであっても、いくらでも自分で通貨を作って支出することができます。税は財源ではありません。
 
 
 
 
それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

私の大好きな小噺をひとつ・・・

 

昔々あるところに、イプセンという男がいました。イプセンにはコリンという友人がいました。

ある日、イプセンの父が病に倒れてしまいます。イプセンはコリンと2人で父の病気を治すために遥か遠く険しい山の奥にあるという伝説の薬草を探す旅に出ました。

とても辛く厳しい旅でしたが、2人ならめげずに続けることができました。

そんな旅の途中、イプセンがふと思って聞きました。

(´・ω・ `)<そういや、お前なんでついて来たん?

( ゚д゚)<なんでって…だって友達やんか。

 

元ネタはこちら。

wikiwiki.jp

 

 

 

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

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5-1.税は財源ではない ver.3

それは何を意味するのだろうか?もちろん、支出のために歳入は必要がないということだ。

MMT現代貨幣理論入門』kindle版 269/553pp


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こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事の途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

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目次 

 

第5章に入ります

今回から第5章「主権国家の租税政策」に入ります。ということで、これからしばらく税の話ばかりになります。

(`・ω・´)こりゃ楽しみですな!

 

本日のお題

税の話ですから、まずはやはりこれです。

( ゚д゚)<ババン!

「税は財源ではない」

過去にも同じテーマで番外記事を書きましたが、

xbtomoki.hatenablog.com

今回はもうちょっと堅苦しいスタイルで説明してみようかと思います。

 

「税は財源ではない」とは

この「税は財源ではない」というのは、命題というよりは、キャッチコピーのようなものです。

つまり、言わんとするところがあるんだけれども、それをちゃんと正確に述べようとすると、すごく長くなっちゃうので、エッセンスだけを抽出したものなんですね。

 

支出のために事前の徴税は必要ない

本記事では、せっかくですから、エッセンスを抽出せずに、「税は財源ではない」をありのまま述べてみましょう。

 

まず、"税"とは、政府が国民から一方的にカネを徴収する制度のことです。[4-3]で解説した徴税の仕訳を確認しましょう。

f:id:xbtomoki:20210209181222p:plain

徴税が行われると、政府のカネが増えて、民間のカネが減ります。

 

さて、ここで問題です。

( ゚д゚)<ババン!

政府は、支出をする前に、この徴税を行って、カネを増やしておかなければ、支出をすることができないのでしょうか?

(`・ω・´)<んなこたぁないさ。

第4章では、[4-1]から[4-12]、それから[番外3.B払い]も合わせると全部で13本の記事で、いろんな財政にまつわるオペレーションを説明してきました。

その中で政府部門から民間部門への支払オペレーションとして、政府支出・国債償還・国債利払い・買いオペ等が出てきましたが、これらの説明の中で、事前に徴税をしないと実行できないものは1つもありませんでした。

そりゃあそうです。

[4-3][4-11][4-12]のとおり、主権通貨を持つ国の政府は自由に自国通貨を発行できますので、カネが必要なら、わざわざ国民から徴収しなくても自前で発行すれば済むんですから。

つまり、主権通貨を持つ国の政府は、支出をするために事前に徴税をする必要は無く、たとえ税収がゼロであっても、いくらでも支出することができる。税は財源ではないのである。

これが「税は財源ではない」の言わんとするところです。

なお、断っておきますが、[4-1]のとおり、"いくらでも支出できる"という主張は、"いくらでも支出するべきだ"という意味ではありません。

 

ついでに言うと、通貨を発行できるのは政府部門だけですから、政府が民間部門から通貨を徴収するためには、事前に政府部門がその通貨を発行して支出していなければいけません。

つまり、政府支出の前に徴税が必要なのではありません。順序が逆です。徴税の前に政府支出が必要なんです。政府がいくら徴収しようとしたって、発行されていなければ民間部門は払いようがありません。

 

次回以降の予告

さて、「税は財源ではない」ということが分かっていただけたところで、次の疑問が生まれてくることかと思います。

  • 財源でないなら、税は何者なのか?
  • 税収がゼロでも政府はいくらでも支出できるのならば、税は不要なのでは?

ただ、「税は何者なのか?」については、もう答えは出ています。"税"とは、政府が国民から一方的にカネを徴収する制度のことです。答えはこれ以上でも以下でもありません。「税とはいったい何なんだろう・・・」なんていう思索は哲学者に任せることにします。おまけに書いたとおり、下手に意味付けをしようとすると、ろくなことになりません。

ということで、問題になるのは「税は不要なのでは?」、こちらの疑問だけです。これについて答えるために、次回以降では、税の果たす機能と役割を解説していこうと思います。

( ゚д゚)<ほいじゃ、よろしゅう!

 

 
 
それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

ちなみに財務省は、税をこのように説明しています。

このように、みんなが互いに支え合い、共によりよい社会を作って いくため、公的サービスの費用を広く公平に分かち合うことが必要です。まさに、税は「社会の会費」であると言えます。

もっと知りたい税のこと(令和2年6月発行 財務省) 2/26pp

本編で解説したとおり、税は財源ではありません

しかし、実際には「税は財源である」というのが一般常識になっていて、この「税は財源である」という誤解からいろんな害悪が生まれています。

その中でも、私がトップクラスの害悪だと思うのが、この「税は社会の会費」ってやつです。この手の発言を目にすると、私はすごく嫌な気持ちになります。会費?断じて違います。税は政府から国民から一方的に徴収をするシステムというだけのものであって、それに副次的な意味付けをする必要はありません。

( ゚д゚)<税は「社会の会費」であると言えます。

(´・ω・ `)<「税はカネを徴収する仕組みです」でええやんけ。なんでわざわざ分かりにくく言い換えるん。それ人を騙そうとするやつしか使わん手口よ。

なんでこれがトップクラスの害悪なのかというと、容易にこういう"高額納税者はVIP会員"思想に至るからです。

納税額は、人の優劣とは何の関係もありません。この「税は社会の会費」という理屈について、"間違ってはいるけど、国民の連帯意識を醸成するという点では評価できる"みたいなことをときどき聞いたりしますが、私は全くそうは思いません。

間違っているし、国民を分断しているだけの害悪だと思います。

 

 

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

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4-13.章まとめ 自国通貨を発行する国における財政オペレーション

本章では、次のトピックである政府支出、課税、金利設定、国債発行ーつまり、自国通貨を発行する政府の財政政策ーの検討に取りかかろう。なお、財政政策と金融政策を完全に切り離すことはできず、とりわけ国債発行の領域では不可能である。それゆえ、本章では中央銀行による金利誘導オペレーションを含めて論じることにする。

『MMT現代貨幣理論入門』kindle版 215/553pp


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恒例の手抜き回です。

おつかれさまでした。第4章「自国通貨を発行する国における財政オペレーション」は、前回記事の「4-12.なぜ外貨建て国債はデフォルトするのか」までとなります。

 

本記事では、第5章に進む前に、第4章(4-1~4-12)のまとめをしておこうと思います。

 

4-1.基本的な原則 

xbtomoki.hatenablog.com

  • 政府は、貨幣の計算単位を決定し、その計算単位によって課税する。
  • 政府の支払方法は、保有している貨幣を譲り渡すというものではない。政府は、新しく貨幣を発行して、支払先に付与するという方法によって支払を行う。
  • 政府は、自身が決定した計算単位建て(自国通貨建て)で売られているものであれば、いくらでも購入することができる。
  • 政府と企業・家計との間の貨幣のやりとりは、銀行の仲介のおかげで成り立っている。
  • 政府支出のプロセスでは、日銀当座預金と銀行預金が増える。
  • 日銀は、翌日物金利をコントロールできる。
4-1.基本的な原則 - 国債乱発派のMMT解説

 

4-2.財政赤字が貯蓄に与える影響 その1 

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結論としては、基本的には、政府収支は赤字であることが普通だと考えるべきでしょう。

民間部門の全員が黒字になるためには、民間部門が全体として黒字でなければならず、民間部門が黒字になるためには、政府収支が赤字でなければなりません。

誰かが黒字になるためには、別の誰かが赤字にならなければならないことが避けられない以上、その赤字を引き受けるのは"負け組"ではなく、政府であるべきです。

4-2.財政赤字が貯蓄に与える影響 その1 - 国債乱発派のMMT解説

 

4-3.財政赤字が貯蓄に与える影響 その2 

xbtomoki.hatenablog.com

政府は、国債のB払いで支出します。なので、政府は、(日本円建てで売られていれば、)財・サービスをいくらでも購入することができます。

4-3.財政赤字が貯蓄に与える影響 その2 - 国債乱発派のMMT解説

 

4-4.財政赤字国債金利 その1(債券の金利と価格)

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債券金利=総支払額-債券価格

この数式を"債券の価格と金利恒等式"と呼ぶことにします。これは、国債金利のことを理解するのに欠かせませんので、非常に重要です。

4-4.財政赤字と国債金利 その1(債券の金利と価格) - 国債乱発派のMMT解説

 

4-5.財政赤字国債金利 その2(株価の仕組み)

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このように、成行の買い注文が入ると株価は上がり、成行の売り注文が入ると株価は下がります。

但し、注意しておきたいことがあります。それは、成行注文で株価が上下するには、その成行注文で今現在の株価のところに貯まっていた指値注文が約定しきって無くなってしまうことが条件であるということです。

4-5.財政赤字と国債金利 その2(株価の仕組み) - 国債乱発派のMMT解説

 

4-6.財政赤字国債金利 その3(日銀の国債金利操作)

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日銀は、

  • いくらでも買える
  • いくらでも売れる
  • 儲ける気が無い
という異次元の存在ですので、国債金利を思うがままにコントロールできます。よって、「いつか国債の価格が暴落して、金利が急騰するかもしれない。」みたいな心配には意味がありません。国債の価格・金利がどうなるかは日銀が決めます。
4-6.財政赤字と国債金利 その3(日銀の国債金利操作) - 国債乱発派のMMT解説

 

4-7.財政赤字国債金利 その4(国債の意義)

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でありますから、政府から「国債買わない?」なんていうお誘いがあれば、メリットしか無いので、銀行はこれを断る理由がありません。政府も首尾よく日銀預金を回収できて万々歳となります。

これが国債発行の目的であり本質だ、というのがMMTの解答です。これのどこが"借金"なんでしょうか。

4-7.財政赤字と国債金利 その4(国債の意義) - 国債乱発派のMMT解説

 

4-8.財政赤字国債金利 その5

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なぜ彼らは、いつまで経っても自分たちの理論が間違っていることが理解できないのでしょうか。 それは主流派経済学の二大トンデモ理論

を信じ込んでいるため、根本的な部分で貨幣というものを誤解していることが原因なのではないかと思います。
4-8.財政赤字と国債金利 その5 - 国債乱発派のMMT解説

 

4-9.外国人の国債保有

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ということで、外国人がたくさん日本国債保有したら日本はマジやばい説はどうやら間違いで、外国人がたくさん日本国債保有しても大してやばくはないみたいです。

4-9.外国人の国債保有 - 国債乱発派のMMT解説

 

4-10.国際金融のトリレンマ

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MMTの回答は「国によってベストの選択肢は異なる。但し、最も政策余地を広げる選択肢が、為替レート固定を諦める(つまり、変動相場制を採用する)であることは間違いない。」です。

4-10.国際金融のトリレンマ - 国債乱発派のMMT解説

 

4-11.日本国債はデフォルトしない

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つまり、日本政府は B⇄C と、往復するばかりで、いつまで経ってもA→B→C→D→・・・というポンジー状態になりません。ポンジーにならないわけですから非自発デフォルトに追い込まれることもない、というわけです。

4-11.日本国債はデフォルトしない - 国債乱発派のMMT解説

 

4-12.なぜ外貨建て国債はデフォルトするのか

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日銀がドル建ての日銀預金を発行できないのは、アメリカ政府に禁止されているからではありません。それが真珠湾攻撃と同じ意味を持つからです。

外貨建て国債を発行する政府は、その外貨を自前で発行できない以上、国債を返済するのに必要な通貨を輸出等で稼がなければならず、それに失敗すれば、「3、2、1、ポンジー!」からの非自発的デフォルトに陥ってしまいます。

4-12.なぜ外貨建て国債はデフォルトするのか - 国債乱発派のMMT解説

 

それでは本日ここまで。

 

おまけ

本日のおまけはオススメ動画の紹介です。


IMF様の言う通り、最大限の政府支出を! さらに支出を積み増せ! [三橋TV第346回] 三橋貴明・高家望愛

安定の三橋TVです。見やすい。分かりやすい。

このIMFの積極財政推奨コメント、ほんとに全くマスメディアで見ないですよね。期待するだけ無駄なんでしょう。今後も情報発信がんばります。

 

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4-12.なぜ外貨建て国債はデフォルトするのか

主権を有しない政府はポンジーになってしまう可能性がある。つまり、租税収入で債務を返済できず、利息支払いのために市場に借りに行かなければならなくなってしまう可能性がある。

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当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事の途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

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目次 

 

本日のお題

前回に引き続きまして、本日のお題は、"MMTと言えば" のこちらです。

( ゚д゚)<ババン!

「主権通貨建ての国債を発行する政府が、その国債について非自発的なデフォルトに追い込まれることはあり得ない。」

 

前回のおさらい

前回記事では、"主権通貨建ての国債を発行するので非自発的デフォルトに陥らない政府"の例として日本政府を挙げて、こんな感じで説明しました。

  • "ポンジー状態"とは、借金Aの返済のために借金Bをして、借金Bの返済のために借金Cをして、借金Cの返済のために借金Dをして…という状態。
  • "非自発的デフォルト"とは、ポンジー状態に陥った政府がそれ以外の選択肢を失った結果として行うデフォルトのこと。
  • 日本政府は、借金Aを返済するときには日銀に借金Bをして、それを借金Cに借り換える。そして借金Cを返済するときには、また日銀に借金Bをして、さらにまた借金Cに借り換える。B⇄Cの往復をするばかりで、いつまで経ってもポンジーしない。
  • 日本政府はポンジーにならないわけだから非自発的デフォルトにも陥らない。

 

なぜ外貨を勝手に発行できないのか

さて、お題の「主権通貨建ての〜」を裏返すと、

「主権通貨建てでない国債を発行する政府が、その国債について非自発的なデフォルトに追い込まれることはあり得る。」

ということになるわけですが、本記事では、これがなぜなのかを説明しようと思います。

( ゚д゚)<なぜなのかって、例えば日本政府がドル建て国債を発行して、ドルを用意できなかったら非自発的デフォルトになる、こんなの当たり前じゃあねえかい。ええっ?

(´・ω・ `)<円建て国債なら、日銀が円建ての日銀預金を発行してくれるからポンジーせえへんのは前回で理解しとるよね?じゃあドル建て国債でも日銀がドル建ての日銀預金を発行したらええやん。

( ゚д゚)<日銀はドル建ての日銀預金を発行したりできひんやろ。そんなん当たり前やんけ。ええっ?

(´・ω・ `)<なんで円建てならサクッとできるのにドル建てになっただけで途端にできひんくなるんや。数字を打ち込むだけやん。同じことやん?

( ゚д゚)<ええっ?なんでって・・・ええっ?

(´・ω・ `)<すまん、論破してもうたわ。悪い癖や。よっしゃ、ほいだら、おっちゃんが懇切丁寧に説明したろ。

 

主権通貨とは

そもそも"主権通貨"って何なんでしょう。[2-1]の復習になりますが、大事なことなので、しっかり確認しておきます。

 

計算貨幣とは

まず"計算貨幣"という概念があります。計算貨幣とは、貨幣の単位のことです。例えば、とかドルとかユーロとかです。なんと、円って単位なんですよ。知ってました?円の信認って何なんですかね?

そして計算貨幣には2種類の分類軸があります。

  • 主権通貨or外貨
  • 自国通貨or非自国通貨

ただ、"主権通貨で、かつ、非自国通貨"というのはあり得ません。主権通貨であれば、必ず自国通貨です。

f:id:xbtomoki:20210129001051p:image

国債がデフォルトするかどうか、という話をするときには、それが主権通貨建てかどうかが重要な意味を持ちます。一方、それが自国通貨かどうかはほぼ関係ありません。

( ゚д゚)<円は主権通貨やんね?

(´・ω・ `)<どの国の話か言ってくれんと困るわ。なにがしかの計算貨幣が主権通貨に該当するかどうかは話題にしとる国との関係で決まるもんや。円は日本にとっては主権通貨やけど、アメリカにとっては外貨や。

( ゚д゚)<あっそ。

(´・ω・ `)<しばくぞ。

 

用語説明

用語説明をあと2つだけちゃちゃっと・・・

 

準備預金

"準備預金"とは、民間の銀行等が中央銀行の預金口座に持つ貨幣のことです。例えば、日本なら日銀当座預金のことです。

通貨

"通貨"とは、現金(硬貨と紙幣)と準備預金の総称です。銀行預金や国債は、"貨幣"ですが、"通貨"には含まれません。

 

主権通貨とは

ある計算貨幣Xがある国家Aの主権通貨であるとき、XとAは必ず次の条件を全て満たします。どれか1つでも満たさない計算貨幣は、すなわち外貨です。

  • Xは、A国の政府が独自に創り出した計算貨幣である。
  • A国の政府は、X建ての通貨を発行する権限を独占している(A国政府以外がX建ての通貨を発行することを禁止している)。
  • A国の政府は、Xについて変動相場制を採用している。
  • A国の政府は、X建てで支出と徴税を行う。

( ゚д゚)<日本にとっての円は?

(´・ω・ `)<主権通貨や。

( ゚д゚)<フランスにとってのユーロは?

(´・ω・ `)<外貨や。フランス政府にユーロ建て通貨の発行権は無いからの。

( ゚д゚)<中国にとっての人民元は?

(´・ω・ `)<外貨や。中国政府は変動相場制を採用しとらん。

( ゚д゚)<甲府は!

(´・ω・ `)<こうふ?

 

めちゃくちゃにしたるけーの!

( ゚д゚)<ほれみろ!やっぱりヨソが勝手に通貨発行するのを禁止しとるやないか。てことはワイが最初に言った"日銀はドル建ての日銀預金を発行したりできひんやろ。"で合っとるやないか。日銀にはドル建て通貨の発行権が無いのよ。

(´・ω・ `)<どこぞの国はやめてっていくら言っても尖閣に船よこしてくるやんけ。国家間で権限の有る無しなんぞ、その程度のもんや。議論の本質はそれのもう一歩先よ。

( ゚д゚)<ハー!

(´・ω・ `)<なんやそれ。逆にやな、ヨソの通貨を勝手に発行するってことがどういう意味を持つんかを考えてみたらええねん。

 

またまた復習になりますが、主権通貨を発行できる政府は、

わけですから、

ヨソの政府が勝手に円建て通貨を発行できてしまうと…日本国内で売られてるものを全部買い占めてくなんてこともできてしまうし、日本国内の金利にもイタズラできてしまうわけです。

つまり、ヨソの通貨を勝手に発行するということは、

( ゚д゚)<テメーの国の経済、めちゃくちゃにしたるけーの!

こう言ってるのと同じです。

 

まとめ

( ゚д゚)<けーの!となれば、もうこれは戦争です。

日銀がドル建ての日銀預金を発行できないのは、アメリカ政府に禁止されているからではありません。それが真珠湾攻撃と同じ意味を持つからです。

外貨建て国債を発行する政府は、その外貨を自前で発行できない以上、国債を返済するのに必要な通貨を輸出等で稼がなければならず、それに失敗すれば、「3、2、1、ポンジー!」からの非自発的デフォルトに陥ってしまいます。

 

主権通貨を持たない国は、自分で通貨を発行して生み出すことができませんから、ヨソの主権通貨国が発行してくれた外貨をなんとかして自国内に落としてもらわないと経済が成り立ちません。そのため、発展途上国の多くやユーロ加盟国は、外国人観光客の誘致や国際競争力の強化に注力する必要があります。

一方、[4-11]のとおり、主権通貨を持つ国は、外貨がなくても経済が成り立ちます。よって、日本経済にとって、外国人観光客も国際競争力も、別に大した意味はありません。菅さん、インバウンドとかいらんのやで。 

 

 
それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

ウソみたいだろ。局アナなんだぜ。これで…。 


レモンチダンス踊ります!【フル】

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

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4-11.日本国債はデフォルトしない

主権通貨を有する政府にとって借入れは必要不可欠なものではないし、政府はキーストロークを使って常に債務を返済できるので、決してポンジー状態ではない。

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目次 

 

本日のお題

早速ですが、本日のお題は、"MMTと言えば" のこちらです。

( ゚д゚)<ババン!

「主権通貨建ての国債を発行する政府が、その国債について非自発的なデフォルトに追い込まれることはあり得ない。」

いやー、堅苦しい。すみませんね。ちょっと表現の正確性に全振りしたら、こうなってしまいました。ニュース記事とかだと、「自国通貨建ての国債はデフォルトしない」くらいの書きぶりが多いですけど、それだとちょっと正確さに欠けています。ポイントは「自国通貨」かどうかではなく、「主権通貨」かどうかですから。

 

次回予告

それから、もう一つ、

さっきの「主権通貨建ての〜」を裏返すと、

「主権通貨建てでない国債を発行する政府が、その国債について非自発的なデフォルトに追い込まれることはあり得る。」ということになるわけですが、これがなぜなのかをちゃんと説明している記事とか動画とかって意外と少ないと思うんです。

三橋貴明さんとかでも「外貨建て国債はデフォルトしますよ。当たり前です。」みたいに「当たり前です」で済ませちゃってたりすることが多い印象ですが、ここの理解は主権通貨建て国債がデフォルトしないことの理解と同じくらい重要だと思います。

ただ、そこまで行くと長くなってしまうので、"なぜ外貨建て国債はデフォルトするのか"については、次回にします。

 

今後の予定

それでは、「主権通貨建ての国債を発行する政府が、その国債について非自発的なデフォルトに追い込まれることはあり得ない。」こちらの説明に取り掛かりましょう。

説明の仕方なんですが、「主権通貨とは?」から入って、次は「主権通貨建ての国債とは?」みたいに順を追っていくのも、まー、ダメじゃないんですが、長ったらしくてもっさい感じがします。

なので、まずは"百聞は一見に如かず"ということで、理屈をこねる前に、主権通貨建て国債の具体例として日本国債について日本政府が非自発的なデフォルトに追い込まれることがあり得ないことを見てみましょう。

そんで、次回記事で"なぜ外貨建て国債はデフォルトするのか"を理解してもらえれば、本丸の「なぜ主権通貨建ての国債を発行する政府が、その国債について非自発的なデフォルトに追い込まれることはあり得ないのか」が分かると思います。書いてみて補足が要りそうな感じやったら補足記事も書いて3部構成にします。

 

非自発的デフォルトとは

ただ、先に「非自発的なデフォルト」って何なのかを説明しておきます。

まず「非自発的」はなんとなく雰囲気で分かるかと思います。自分の意思ではなく、そうするしかないからそうする的な感じですね。

そして、「デフォルト」とは、広い意味では、借金返済等の債務履行が「約束どおりに行われないこと」で、例えば返済が1日遅れたとかも含まれるんですが、普通、デフォルトと言えば「債務履行を完全に放棄して、その債務を無かったことにしてしまうこと」を指します。破産申し立てみたいなものです。

 

キーワードは"ポンジー"

続いては、こちらの動画をご覧ください。


殆どの投資詐欺はこのカラクリです

( ゚д゚)<みなさんも気ぃつけてください。「絶対儲かる」とか「元本割れ無し」とか「高配当を保証」とかを言い出したら、その投資話は100%詐欺です。

 

ポンジーかポンジーでないか

この詐欺の手口に由来して、いまある借金Aを返済するために新たな借金Bをして、その借金Bを返済するために借金Cをする・・・みたいなのを「ポンジーファイナンス」とか「ポンジー状態」なんて呼びます。

いったんポンジー状態に陥ると、A<B<C<…と金利なり返済期限なりがどんどん厳しくなっていき、FかGあたりで誰からも借金ができなくなり、デフォルト以外に選択肢がなくなってしまうことが大半です。

これが「非自発的デフォルト」の意味です。

ですから、ポンジー状態にならなければ、非自発的デフォルトに追い込まれることもありません。ポンジーかポンジーでないか、それが問題です。

 

日本政府はポンジーにならない

国債に関する支払には、元金の支払(償還)と、利息の支払(利払い)の2パターンがあります。

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ただ、どちらも結局は、"政府が日銀預金を支払う取引" であることには変わりありませんから、問題は"政府がどうやって日銀預金を用意するか"です。

政府は、この借金A(既発国債)を返済するために、日銀に借金B(T-Bill)をお願いして日銀預金を用意させます。その後、政府は支払った日銀預金を回収するために借金C(借り換え債)を発行して、借金Bは返済されます。[4-3]で解説した政府支出のプロセスと全く同じ仕組みです。

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日本政府はB⇄Cを往復するだけ

さて、政府はこの借金Cを返済するために借金Dをする必要があるでしょうか?

( ゚д゚)<分からん!

(´・ω・ `)<元気があってよろしい!正解は、借金Dなんかいらんのよ。政府は借金Cを返済するときには、また借金Bをして、借金Bをしたら借金Cをして、借金Bを返済するんやけど、その借金Cを返済するときには、また借金Bをするんよ。

f:id:xbtomoki:20210128001227p:image

 

つまり、日本政府は B⇄C と、往復するばかりで、いつまで経ってもA→B→C→D→・・・というポンジー状態になりません。ポンジーにならないわけですから非自発デフォルトに追い込まれることもない、というわけです。

 

補足

せっかくなんで、もうちょっと突っ込みます。

ポンジー状態では、金利なり返済期限なりが非自発的にどんどん厳しくなりますが、B⇄C往復は、どれだけ繰り返されても、[4-6]のとおり、金利は日銀が決めたとおりにしかなりませんし、返済期限はその国債を発行するときに政府が決めます。

つまり、今後、日本国債金利や返済条件がいまより厳しくなることはあり得ますが、そうなるのは日本政府が自ら条件を厳しくすることを決めたときだけです。非自発的にそうなることはありません。

 

 

 
それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

書いた後で、こんな反論をする人もいるかもしれないなと思いました。

( ゚д゚)<返済期限も金利も政府が決めるにしても国債残高はどんどん増えてしまうやないか。

(´・ω・ `)<それがどうかしたん?国債残高は増え続けるのが普通や。[4-2]をご覧くださいな。ちょっと余計なこと言わせてもらうけど、なんできみたちはそーゆー基本的なところをすべからく間違っとんの?

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

‪最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^

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