経理屋が読み解く『MMT入門』

『MMT入門』(L・ランダル・レイ,2019,東洋経済新報社)をベースにMMTを解説します。ときには自分の思うところを書き綴ったり。

9-8.量的緩和とは

 

これが景気を刺激するだろうか?インフレ心配症の人は、イライラが収まるだろう。QEがインフレを引き起こす可能性はないのだから。

MMT現代貨幣理論入門』kindle版 474/553p474

 

当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。 

xbtomoki.hatenablog.com

 

当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いとあやしい闇金業者みたいなのが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

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当ブログは、私がこちらの書籍を読んで、理解したことや考えたことを記事にしたものです。

MMT現代貨幣理論入門

MMT現代貨幣理論入門

 

 

目次 

 

本日のお題

(´・ω・ `)<さて、消費税の話も終わったし、異次元緩和の話を再開するかの。

( ゚д゚)<あれから3ヶ月も経ったんか。早いもんじゃの。

(´・ω・ `)<せやの…んーと、どこまで話したっけ?

( ゚д゚)<マイナス金利の話を聞いたところで止まっとるな。

(´・ω・ `)<そかそか。ほいじゃあ、ざっとおさらいしよか。

 

日銀当座預金とは

《日銀当座預金(略称「日銀当預」)とは、貨幣の一種であり、日本銀行が発行する金融負債であり、市中銀行等が日本銀行の預金口座に保有する金融資産で、次の性質があります。[9-3][9-4][9-5]

  • 金利息が付かない。
  • 残高が不足すると、銀行は顧客の他行振込や納税を処理出来なくなる。
  • 銀行は、他行振込や納税に支障が出ないだけの残高を確保したら、それ以上の分は保有してても意味が無いので、できるだけコール市場で貸し出したり、国債に交換したりして、金利収入を得ようとする。

 

異次元緩和とは

日本のインフレ率は、1990年くらいから下がり出し、ここ20年くらいはずっと0%付近をウロチョロしています。

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これはよろしくないということで、日銀と政府は、これが2%くらいをウロチョロするようになることを目指して、

この3つの金融政策を策定し、現在も実行中です。

《異次元緩和》とは、これらの政策をまとめてパッケージとして呼ぶときの名前です。[9-6]

 

マイナス金利とは

マイナス金利とは、 2016年から始まった【銀行の日銀当座預金にマイナスの預金利息を付ける】という政策です。[9-6]

「マイナスの預金利息が付く」とは、銀行が日銀当座預金保有していると、勝手に残高を減らされるということです。

マイナス金利には、次の効果があります。

  • 翌日物金利の下限をマイナス域に突っ込ませる
  • 銀行の収支を悪化(赤字化)させる

日銀の狙いは、これによって銀行が融資を増やすように仕向けることでしたが、そんなことが起きる理屈が無いので、そんなことは起きませんでした。[9-7]

 

ということで、お題です

( ゚д゚)<おけ。ほいだら、マイナス金利の次は量的緩和やな。

(´・ω・ `)<おう。本日のお題はこちらです。

量的緩和とは】

(´・ω・ `)<ほいじゃあ、やってこうかの。

 

量的緩和とは

量的緩和とは、こういう↓政策です。

マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。

「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入

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( ゚д゚)<マネタリーベースって何じゃい。

(´・ω・ `)<「日銀当座預金の総残高」と「現金の流通総額」の合計をまとめて言うときの名前のことやな。

( ゚д゚)<ほんほん。そしたら、金融市場調節って何じゃい。

(´・ω・ `)<要するに、[9-4]で説明した買いオペ・売りオペのことや。買いオペの仕訳は、こう↓じゃろ。

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(´・ω・ `)<このとき日銀の仕訳は日銀当座預金のB払いじゃけー、日銀が買いオペをすると日銀当座預金の総残高が増えるんよ。

( ゚д゚)<ほんほん。てことは・・・量的緩和ちゅうのは、「毎年80兆円分の買いオペをする」ってことか。

(´・ω・ `)<そーゆーこっちゃの。

 

量的緩和の効果

量的緩和政策によって、日銀当座預金の総残高は、2013年以降ぐんぐん増えて、2020年には2012年時点のおよそ12倍になっています。

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( ゚д゚)<ぐんぐん増えたの。

(´・ω・ `)<ぐんぐん増えたんよ。

( ゚д゚)<で?

(´・ω・ `)<そうすると、[9-4]のとおり、2013年に翌日物金利が下がったんよ。ちょびっとやけどな。んで、その後マイナス金利が始まって、もう一段下がったんよ。

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( ゚д゚)<ほんほん。で?

(´・ω・ `)<以上でございます。

( ゚д゚)<えっ?

(´・ω・ `)<以上でございますわよ。

( ゚д゚)<インフレ率は?

(´・ω・ `)<上がらんよ。

( ゚д゚)<上がらんの?

(´・ω・ `)<上がらんよー。上がるわけないやん。日銀当座預金の総残高とインフレ率に関係なんかないもん。現に上がっとらんじゃん。

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なぜ物価が上がらなかったのか

ここで、買いオペの仕訳をもういちど確認しましょう。

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日銀側の仕訳は、国債|日銀当座預金です。これは日銀当座預金のB払いなので、買いオペが行われると、日銀当座預金の総残高が増えます。

一方、銀行側の仕訳は、【日銀当座預金国債です。国債保有額が減り、日銀当座預金保有額が増えています。これは国債という資産を日銀当座預金という資産に振り替えたものであると捉えることができます。

 

[9-5]のとおり、銀行にとって国債とは「日銀当座預金を日常業務に必要な分以上にたくさん持っていてもしょうがないから、ダブついてる分を国債に交換しておこう。その方が利息収入が得られるから得だ。」というものです。

これは私たち庶民が「普段の生活費に必要な分以上のカネは、普通預金口座から定期預金口座に振り替えておこう。その方が利息が多く付くから得だ。」と考えるのと同じようなものです。

(´・ω・ `)<じゃけー、量的緩和ってのは、銀行が定期預金の口座に入れてたカネをどんどん普通預金の口座に戻すようなもんってことやな。

( ゚д゚)<ほんほん。

(´・ω・ `)<こんなんでインフレ率が上がるわけがないじゃろ。

( ゚д゚)<んー、まあ、たしかに上がりそうな感じはさっぱりせんな。日銀さんは一体なんでこんなんでインフレ率が上がると思ったん?Bなの?

(゚⊿゚)<説明しよう!!

( ゚д゚)<出た。

(゚⊿゚)<おうよ!出た出た出ました!そうです!私です!

( ゚д゚)<相変わらず元気じゃの。ほいじゃあ、説明してや。量的緩和のどこに物価が上がる要素があるん?

(゚⊿゚)<そもそもだな、物価というものは貨幣の総量が増えると上がるんだよ。

( ゚д゚)<なんでや。

(゚⊿゚)<歴史的に貨幣の総量は増え続けてきた。そして、同じく物価も上がり続けてきた。ということは、貨幣の総量が増えると、物価が上がる仕組みになっているに違いないじゃないか。

( ゚д゚)<いや、その理屈はおかしい。

(゚⊿゚)<いや、おかしくない。ハイ論破。よし、続けよう。

( ゚д゚)<しばいたろか、こいつ。

(゚⊿゚)<貨幣の総量が増えると物価が上がるという説明を「貨幣数量説」という。貨幣数量説は、ノーベル経済学賞受賞者であるミルトン・フリードマン大先生が「インフレーションとはいついかなる場合も貨幣的現象である」と言って支持した学説なんだから、間違っているはずがないんだ。

( ゚д゚)<いや、その理屈はおかしい。

(゚⊿゚)<いや、おかしくない。ハイ論破。

( ゚д゚)<ほんまこいつ腹立つの。まあええわ、じゃあ質問があります。

(゚⊿゚)<おう、ばっちこいこい。

( ゚д゚)<貨幣総量が増えたら物価が上がるんなら、なんでインフレ率が上がってへんの?

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(゚⊿゚)<それは期待インフレ率が低かったからだ。

( ゚д゚)<期待インフレ率てなんやねん。

(゚⊿゚)<期待インフレ率は「予想インフレ率」とも言う。市場は「これからこのくらいインフレしていくだろうなー」という風な感じに予想しながら経済活動をしている。その予想というか期待の度合のことだな。

( ゚д゚)<もしそれが高かったらインフレ率が上がってたんか?

(゚⊿゚)<そのとおりだ。

( ゚д゚)<さっき(゚⊿゚)<そもそもだな、物価というものは貨幣の総量が増えると上がるんだよ。って言うてたやんけwwwwwどっちなんwwwwwww

( ゚д゚)<だいたい期待インフレ率でインフレが起きるてどんな仕組みやねんな。きみらの大好きなジンバブエの人たちはそんなにハイパーインフレを期待してたんかっちゅう話よ。自分たちの理論が現実と辻褄合わんようになったら、次から次からその場を取り繕うためだけの新理論を持ってくるけー、ツギハギだらけで訳分からんようになっとんじゃろ。

(´・ω・ `)<まあまあ、そのへんにしといたり。

 

まとめ

このように、量的緩和とは、日銀が大量の買いオペをして、日銀当座預金の総残高をたくさん増やすことです。これによる影響は、【翌日物金利が少し下がった】だけでした。

なぜ黒田さんが(゚⊿゚)<異次元の金融緩和をぶちかましたるけーのとドヤったバズーカが大した影響力を持たなかったのかと言えば、量的緩和が【金利が付く政府部門の負債(国債)を金利が付かない政府部門の負債(日銀当座預金)と交換した】だけのことだったからです。

 

国債も貨幣である

日銀を政府の一部として統合政府で考えれば、統合政府にとっては、国債も日銀当座預金どちらも政府が発行する負債つまり貨幣であり、違うのは名前と金利だけで、本質は同じものです。

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日銀は量的緩和で貨幣総量を増やしたつもりなのかもしれませんが、やってることはただの貨幣と貨幣の交換で、「紙幣を硬貨に両替した」とか「定期預金を普通預金に振り替えた」とかと同じようなものです。

「日銀当座預金」という貨幣の総量が増えた分だけ、「国債」という貨幣の総量が減っているわけですから、全体の貨幣総量は変わっていません。

百歩譲って貨幣数量説が正しいとしても、貨幣の総量が変わってないんだから、物価が変わらなくて当然です。これで物価がどうにかなる理屈がありません。

 

 

それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

今回の記事を書いてて、ふと思ったんですが・・・

(゚⊿゚)<歴史的に大気中のCO2濃度は増え続けてきた。そして、同じく地球の平均気温も上がり続けてきた。ということは、大気中のCO2濃度が増えると、地球の平均気温が上がる仕組みになっているに違いないじゃないか。

 

・・・いや、まさかね。

そんなわけないですよね(´・ω・ `)

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

( ゚д゚)<最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!!

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よろしくお願いします!

 

番外5-13.消費税の仕組み【経済への影響】【消費者にとっての消費税】

本記事は、MMT解説ではありません。
思うところを[番外]ということで記事にしてみた次第です。

 

当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。 

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当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

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本記事における税制の説明はこちらのwebページで公開されているPDFの内容に基づいています。

www.nta.go.jp

 

目次 

 

本日のお題

前回までで、これらの説明をしてきました。

(´・ω・ `)<今日で「番外5 消費税の仕組み」シリーズもおしまいや。よーついてきてくれたの。

( ゚д゚)<おお、長い道のりやったの。おつかれさん。

(´・ω・ `)<ありがとナス。ちゅーことで、最後のお題はこちらです。

【消費税の経済への影響】
【消費者にとっての消費税とは】

( ゚д゚)<あいよ。よろしゅうな。

(´・ω・ `)<まかしときー。

( ゚д゚)<ちゃうちゃう、ぼくが教える側よ。

(´・ω・ `)<ちゃうちゃう、きみは教わる側や。

( ゚д゚)<あれ?そうなんか?

(´・ω・ `)<そやで。

( ゚д゚)<そかそか。

(´・ω・ `)<せやせや。

 

[5-3]の復習

まず[5-3]をざっと復習します。

需要が急激に増えたり減ったりすることは、通常、良いことではありません。

一方、税には総需要を減らす働きがあります。よって、増税は総需要を減らし、減税は総需要を増やします。この働きを利用すれば、政府は急激な総需要の増減を緩和することができます。

つまり、

  • 何らかの原因で総需要が増え過ぎたときには、増税によって需要を減らす。
  • 逆に需要が減り過ぎたときには、減税で需要を増やす。

ということをして、需要を安定化させることができるわけです。

いくつかの税は、需要の増減に合わせて自動的に税率が上下する仕組みが元から組み込まれているので、この安定化機能が自動的に働きます。このような自動的な安定化の仕組みを《ビルトインスタビライザー》といいます。

 

消費税の需要安定化機能

ビルトインスタビライザーの仕組みを持つ税には、例えば法人税があります。

法人税は、企業の利益に一定の税率を掛ける仕組みになっていますので、経済全体の需要が伸びて、企業が多くの利益を上げたときには、法人税が増えて、自動的に増税になり、需要の伸びを抑えます。

逆に需要が落ち込んだときには、自動的に減税になって、需要を下支えします。

ここで、1987年〜2020年の法人税収と名目GDP成長率の推移を見てみましょう。

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景気の良かった1990年までは税収が多く、リーマンショックで景気が落ちた2009年前後とコロナショックの2020年の税収は少なくなっています。法人税が需要の動きに合わせて、増税・減税されていることが分かります。

 

同じく1987年〜2020年の消費税収と名目GDP成長率を比較してみます。

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( ゚д゚)<基本、べたーっと真横に伸びとるな。

(´・ω・ `)<気持ち悪いじゃろ。世の中に何が起ころうとお構いなしに必ず一定額を徴収し続けとるわけよ。

1997年(3%→5%)と2014年(5%→8%)と2019年(8%→10%)の税率変更時にのみ、税率が上がった分だけシフトして、そのとき以外は需要の動きとは全く関係なくべたーっと横ばいに推移しています。

リーマンショックもコロナショックもどこ吹く風です。

今後どんな●●ショックが起ころうとも、税率変更が無い限りは、ずーっと20兆円前後を横ばいに推移し続けることでしょう。

つまり、【消費税は、需要を安定化する働きがまるで無く、ただ需要を減らすだけの税である】わけです。

 

消費者にとっての消費税とは

消費者にとっての消費税とは何なんでしょうか。

[番外5-9]のとおり、消費税は、事業者の粗利への課税であり、消費への課税ではありません。消費税は、基本的には消費者と何の関係も無いものです。

消費税が消費者に影響してくるのは、事業者が《価格転嫁》をする場合です。

[番外5-1]のとおり、《価格転嫁》とは、【自身の事業に対して何らかの課税を受ける事業者が、その税負担のコストの分だけ販売価格を値上げをすること。これによって、事業者は実質的な税負担を消費者に転嫁することができる。】というものです。

(´・ω・ `)<あんな、うちのおかんがな、自分の好きな経済現象の名前を忘れてしまったらしいねん。

( ゚д゚)<好きな経済現象の名前を忘れてもうたんか。どうなってんねん。そしたらね、おかんの好きな経済現象、いっしょに考えてあげるから、どんな特徴を言うてたか、教えてみてよー。

(´・ω・ `)<んとな、何らかの原因によって、生産・販売にかかるコストが増えたときに、事業者がそのコストの分だけ販売価格を値上げすることで物価が上がる現象らしいねん。

( ゚д゚)<おー・・・それはコストプッシュインフレやないかい。その特徴はもう完全にコストプッシュインフレやがな。すぐ分かったやん、こんなんもー。てか、好きな経済現象コストプッシュインフレて、おかんどないしたん。

 

ここでさっきの文章を消費税にフォーカスして少し書き換えてみましょう。

《消費税の価格転嫁》とは、【消費税の課税事業者が、消費税負担のコストの分だけ販売価格を値上げすること】です。

( ゚д゚)<おー・・・それはコストプッシュインフレやないかい。その特徴はもう完全にコストプッシュインフレやがな。

(´・ω・ `)<せやねん。消費税が上がると、価格転嫁でいろんなモノの値段が上がるじゃろ。あれな、コストプッシュインフレやねん。

価格転嫁によって物価が上がる現象は、一種のコストプッシュインフレです。

つまり、【消費者にとっての消費税とは、人為的にコストプッシュインフレを起こすものであり、それ以外の意味は無い。】と考えるべきだと私は考えます。

 

需要減+コストプッシュインフレ

( ゚д゚)<ん?でもさっき「消費税は需要を減らす」って言うてたやん。需要が減ったらデフレになるんちゃうん?

(´・ω・ `)<消費税は、需要減とコストプッシュインフレと両方を起こすんよ。ただ効果が表れるタイミングが同時じゃないねん。コストプッシュインフレは、税率が上がった瞬間に起きて、そのときの状態がずっと続く。需要の方は、瞬間的にじゃなくて、ずっとじわじわ減り続けるんよ。

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(´・ω・ `)<消費税率が上がるそれぞれのタイミングで、ちょこっと物価が上がっとるじゃろ。これがコストプッシュインフレのところよ。で、需要減の効果はこのグラフからじゃよく分からん。物価は総需要以外のいろんな要因の影響を受けるし、総需要自体も消費税以外のいろんなもんの影響を受けるけーの。消費税の需要減効果を見るなら、こっちの方がええな。

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(´・ω・ `)<消費税率が上がるたびに傾きがどんどん右肩下がりになっていっとるじゃろ。消費税率が上がるほどに家計がどんどんモノを買えなくなっていったんよ。これ、勘違いしとる人が結構おるけど、カネがあるのに買なくなっとるんじゃなくて、カネがないから買なくなっとるんじゃけーの。もちろん、消費税だけでこうなっとるわけではないけどな。

 

消費税でインフレ抑制?

( ゚д゚)<ところでさ、ときどきこういう↓人おるやん?どないなん?

(゚⊿゚)<いまはデフレだから消費税を減税するべきだ。もし将来過剰なインフレが起きたら、そのときは「消費税をしっかりかけてインフレを抑えよう」というのも分からんではないけどな。

(´・ω・ `)<消費税をしっかりかけたら、コストプッシュインフレがしっかり起こるやんけ。「コストプッシュインフレを起こして、目の前のインフレを抑えよう。」って訳が分からんのよ。

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(´・ω・ `)<それに、最初に言ったとおり、消費税は総需要を減らすだけで全く安定化機能が無いねん。なんでわざわざそんな危なっかしいもんで需要をコントロールしようとするん。所得税とか法人税を使えばええやん。「分からんではない」ちゃうわ。インフレだろうがデフレだろうが、こんなもんさっさと廃止じゃ。永久廃止じゃ。

( ゚д゚)<バッサリ言うのー。でもこれ、安藤先生もときどき言わへん?

(´・ω・ `)<ときどき言わはるね。ぶっちゃけ、あそこのところは全く賛同できひん。言わんといてほしいけど、まあしゃーない。自分と全く同じ意見の人なんておらんけーの。

 

まとめ

つまり、消費税とは、こういうものです。

  • [番外5-9]のとおり、事業者にとっては、第二法人税であり、
  • [番外5-11]のとおり、雇用への罰金でもあり、
  • 消費者にとっては、コストプッシュインフレを起こすだけのものであり、
  • 経済にとっては、需要を減らすだけのものである。

( ゚д゚)<ボロクソやな。なんか1個くらい良いとこないん?

(´・ω・ `)<無い。なんにも無い。

( ゚д゚)<そか。

(´・ω・ `)<強いて言うなら、[5-2]で説明した貨幣を動かす機能は強い。でも所得税法人税さえあれば、貨幣は十分動くけー、それ以上に動かしても意味は無い。じゃけー、やっぱり結局なんにも無い。

(゚⊿゚)<消費税は社会保障の安定財源だから!!

(´・ω・ `)<税は財源ではない。

 

それでは本日ここまで。

 

おまけ

なんと年をまたぎましたが、「番外5 消費税の仕組み」シリーズを完結させることができました。お付き合いいただき、ありがとうございました。

思いつきで始めたシリーズでしたが、やってみて自分の誤解していた部分が結構たくさん見つかったりして、なかなか勉強になったなという感想です(そもそも消費税なんか存在しなければ勉強の必要も無かったんですが)。番外4シリーズに続いて、これもやってよかったなと思います。

 

ということで、あけましておめでとうございます。

次回から第9章に戻ろうと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

( ゚д゚)<最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!!

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よろしくお願いします!

 

番外5-12.消費税の仕組み【輸出戻し税】

本記事は、MMT解説ではありません。

思うところを[番外]ということで記事にしてみた次第です。

 

当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。 

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当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

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本記事における税制の説明はこちらのwebページで公開されているPDFの内容に基づいています。

www.nta.go.jp

 

目次 

 

本日のお題

前回までで、これらの説明をしてきました。

(´・ω・ `)<ほいじゃ、早速はじめます。

本日のお題はこちらです。

【"輸出戻し税"とは】

( ゚д゚)<輸出戻し税・・・なんだか聞き覚えが・・・

(´・ω・ `)<せやろな。[番外5-6]でちょろっとだけやったけーの。

( ゚д゚)<そうか・・・ううっ!頭がっ!

(´・ω・ `)<えっ、どしたん?

( ゚д゚)<闇の力がっ・・・目覚めるっ・・・!

(´・ω・ `)<・・・始めるで。

( ゚д゚)<なんじゃー。機嫌悪いの。お腹痛いん?

(´・ω・ `)<はよ始めるで。だいたいきみ、そこからの展開とか考えてないやろ。

( ゚д゚)<たしかにそうかもしれん。

(´・ω・ `)<「そうかもしれん」ちゃうわ。きみのことや。

( ゚д゚)<たしかにそうかもしれん。

(´・ω・ `)<あーもう。

 

"輸出戻し税"とは

まず、[番外5-3]のとおり、ある取引が消費税の課税対象になるかどうかは、

  • 国内取引であること
  • 「資産の譲渡等」が事業者が事業として行うものであること
  • 「資産の譲渡等」に対する「対価」が支払われていること
  • 「資産の譲渡等」の内容が資産の譲渡または貸付もしくは役務の提供であること

の4要件を全て満たすかどうかで決まります。どれか1つでも満たさない場合、その取引は課税対象外で、《不課税取引》に区分されます。

 

[番外5-6]のとおり、輸出取引は《免税取引》に区分されます。というか、《免税取引》に区分されるための条件が「輸出取引であること」となっていますので、【免税取引≡輸出取引】です。

《免税取引》は、4要件全てに該当するので、消費税の課税対象であり、輸出取引による売上には消費税が課税されます。但し、適用される税率が0%となっているため、実質的には課税を免除されることになります。

 

消費税法上の取引区分には、《非課税取引》という区分もあります。《非課税取引》とは、【4要件全てに該当するので、本来なら課税対象だけれども、政府が政策的に課税対象外とする取引】です。代表的なものとしては、「健康保険が適用される医療提供」があります。

 

課税・非課税・免税の差

本日もこの【事業者が、110円で仕入れた商品を、165円で販売する。事業者の消費税引前利益は55円。】という設例をベースに説明していきます。

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165円の売上が10%課税売上に該当する場合、消費税額は15円で、仕入税額控除は10円なので、事業者の税引後利益は50円になります。

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事業者が病院で、165円が非課税売上の場合、消費税額がゼロになりますが、仕入税額控除もゼロになりますので、病院の税引後利益は元のパターンと同じ55円です。

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そして、165円が免税売上の場合、消費税額は適用税率が0%なのでゼロです。

ここまでは非課税売上の場合と同じですが、免税売上では、仕入税額控除を10%課税売上の場合と同様に受けることができますので、10円バックされて、輸出屋さんの税引後利益は65円になります。

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このように、《免税取引》という区分があることによって、輸出業者にとって、消費税は納めるものではなく、受け取るものになっています。

これがいわゆる"輸出戻し税問題"です。

(´・ω・ `)<これについて「ズルい」って言う人と、「ズルくない」って言う人がおるわけよ。

( ゚д゚)<パッと見、ズルいっぽい感じがするけどな。実際はそうでもないんか?

(´・ω・ `)<そしたら財務省さんに聞いてみよか。

 

財務省の意見

この問題について、[国税庁のホームページ]では、このように説明されています。

(´・ω・ `)<なんで輸出取引だけ免税するんですか?

(゚⊿゚)<消費税は国内の消費に掛かる税です。輸出品は外国で消費されます。よって、これに消費税を掛けることは妥当でないからです。

( ゚д゚)<いやいや、消費税は消費に掛かってへんやろ。

(゚⊿゚)<は?次の質問どうぞ。

( ゚д゚)<腹立つの、こいつ。

 

(´・ω・ `)<なんで輸出屋さんは免税されるのに、仕入税額控除が受けられるんですか?

(゚⊿゚)<輸出屋さんは仕入のときには消費税を払っていますから、仕入税額控除を受けることができます。

( ゚д゚)<消費税を払うのは仕入先であって、輸出屋さんは価格転嫁されとるだけやろ。

(゚⊿゚)<は?次の質問どうぞ。

( ゚д゚)<ほんまこいつ。てか、その理屈で言ったら病院も消費税払っとるやん。なんで病院はダメで輸出屋さんはOKなん。

(゚⊿゚)<仕入税額控除は課税売上割合に応じた額と決まっているからです。

( ゚д゚)<"決まっとる"んじゃなくて、君らがそう"決めとる"んじゃろ。じゃけん、「なんでそう決めとんのか」って聞いとんじゃろがい。

(´・ω・ `)<まあまあ、この人にいくら言うてもしゃーない。次行くで。

( ゚д゚)<ガルルル・・・

 

グレンさんの意見

続いて、輸出戻し税はズルくない派、つまり【輸出屋さんは輸出戻し税によって、得をしているわけではない。】という方の意見も見てみます。

note.com

(´・ω・ `)<きちんと説明されてあるけー、詳しくはちゃんとグレンさんの記事を読んでもらいたいんやけど、読んでもらってる前提で説明を進めるのは無理があるけー、ざっくり要約するで。

( ゚д゚)<おう、頼むわ。

(´・ω・ `)<まず、いったん消費税を無いものとして考えたら、こう↓なるじゃろ。

f:id:xbtomoki:20211227143534p:plain

 

(´・ω・ `)<で、消費税込みで考えたら、もし10%課税取引なら、販売価格に10%(15円)乗せるじゃろ。んで、このときに仕入も10%(10円)乗って110円になる。んで、事業者が消費税を差し引き5円納めて、こう↓なる。

f:id:xbtomoki:20211227143710p:plain

 

(´・ω・ `)<もしこれが免税取引なら、販売価格に10%を乗せへんから、こう↓なる。

f:id:xbtomoki:20211227143731p:plain

( ゚д゚)<ん?

(´・ω・ `)<まあ最後まで聞きんしゃい。

( ゚д゚)<うい。

(´・ω・ `)<よし。さて、事業者は、課税売上だろうが免税売上だろうが、どっちでも最終的な利益は50円や。ほいで、もし免税売上について仕入税額控除が認められへんかったら、それが40円になってもうて、事業者は免税売上の方が利益が少なくなってしまう。

( ゚д゚)<んー・・・まあええわ、続けて。

(´・ω・ `)<せやから、輸出戻し税は不公正なんかじゃない。むしろ免税によって輸出屋さんが不当に受けてしまう損失を補填するためのもんなんや。以上。*1

 

グレンさんの説明では、課税売上だろうが免税売上だろうが、事業者の最終的な利益は50円です。しかし、冒頭の説明だと、事業者の利益は、課税売上については50円で同じですが、免税売上については65円でグレンさんの説明より15円多くなっていました。

f:id:xbtomoki:20211227141426p:plain

(´・ω・ `)<さて、何が違うでしょう。

( ゚д゚)<そらグレンさんのは150円で売っとるもん。15円安く売っとるから利益が15円減っとるだけや。

(´・ω・ `)<そういうことや。

[番外5-8]のとおり、そもそも、"本体価格"なんてものは、政府が想定した架空の概念で、実在するものではありません。事業者と消費者の間に存在する取引事実は、「事業者が165円で売り、消費者が165円で買った。」これだけです。

課税売上については、55円の税引前利益が消費税によって15円削られて、仕入税額控除で10円回復し、最終利益が50円、というのはどちらも同じです。

一方、免税売上については、グレンさんの事業者は、わざわざ15円値引きすることで、自ら利益を15円削っています。

値引によって、課税取引の場合に消費税で削られる分と同じだけ利益を削ったわけですから、課税取引の場合と同じだけの仕入税額控除を受けないと、利益が小さくなってしまうのは当然であり、それを受ければ課税取引の場合と同じ利益になるのも当たり前です。

よって、「輸出屋さんは、仕入税額控除を受けられなかったら、不当な損失を受けてしまう」ということもありません。その損失は、ただ単に自分で値引きした分だけ利益が小さくなっただけです。

( ゚д゚)<じゃあやっぱり輸出戻し税はズルいんか?

(´・ω・ `)<輸出戻し税が輸出屋さんへの補助金っていうか、優遇政策になっとるのは確かやな。ただ、身も蓋も無いようやけど、これをズルいと思うかどうかは人それぞれじゃけー、何とも言えんよ。

政府が国益のためにあえて特定の産業を選択的に支援する政策を行うことはおかしなことではありません。限度はありますが(´・ω・ `)

それに、税は財源ではないので、輸出屋さんが補助金をもらったからと言って、誰かが損をするわけでもありませんし、輸出戻し税を無くしたら、私たちの暮らしが豊かになるわけでもありません。

 

まとめ

それが不当かどうかは置いといて、輸出戻し税は、輸出屋さんにとって、"お得"な優遇政策であることは客観的な間違いのない事実です。

一方で、私はこれに目くじら立てて「ズルいズルい」と非難する気もありません。私を含め日本国民が輸出戻し税によって損をしているわけではないからです。

但し、[7-5]のとおり、政府が輸出を支援することは、国民生活向上にとってはマイナスであることには注意が必要です。

 

ズルい派の皆様へ

消費税を廃止しましょう。そうすれば、輸出戻し税も一緒に廃止されて問題解決です。

 

ズルくない派の皆様へ

消費税を廃止しましょう。そうすれば、輸出屋さんがイチャモン付けられることがなくなります。

 

結論

こんなもんさっさと廃止したらええねん(´・ω・ `)

 

それでは本日ここまで。

 

2021.12.29 追記

グレンさんより、本記事について、このように指摘をいただいてます。こちらのツリーに書いていただいたグレンさんの意見も、記事内容と併せて読んでいただければと思います。

 

おまけ

2021年中の更新は、本記事で最後になります。

 

相変わらず政府も世論もガチガチのネオリベ緊縮財政主義が断然多数派で、大して明るいニュースも無いわけですが、下を向いてても仕方ありませんからね。たまにはそんな気分になることもありますが、今後も精一杯前を向いて、自分のやるべきことをやっていきたいと思います。

 

(´・ω・ `)<それでは、今年も1年間どうもありがとうございました!!

( ゚д゚)<また来年もよろしくお願いいたします!!

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

( ゚д゚)<最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!!

応援コメント、指摘コメント、お待ちしております!当ブログの拡散も大歓迎です!

よろしくお願いします!

 

*1:グレンさんへ:要約に間違いがあったらご指摘ください。

番外5-11.消費税の仕組み【外注化による節税スキーム】

 

本記事は、MMT解説ではありません。

思うところを[番外]ということで記事にしてみた次第です。

 

当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。 

xbtomoki.hatenablog.com

 

当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

xbtomoki.hatenablog.com

 

本記事における税制の説明はこちらのwebページで公開されているPDFの内容に基づいています。

www.nta.go.jp

 

目次 

 

本日のお題

前回までで、これらの説明をしてきました。

( ゚д゚)<あのさ。

(´・ω・ `)<なんじゃい。

( ゚д゚)<まだあるん?

(´・ω・ `)<それがあるんよー。

本日のお題はこちらです。

【消費税の外注化節税スキームとは】

( ゚д゚)<外注化って何じゃい。

(´・ω・ `)<社内でやっとる仕事を自分らでやるのをやめて、外部に委託することや。

( ゚д゚)<ほんほん。そしたら節税って何じゃい。

(´・ω・ `)<課税される額を合法的に少なくすることや。違法に少なくするのは「脱税」やな。

( ゚д゚)<ほんほん。あと、スキームって何じゃい。変な横文字やめてや。ぶちのめすぞ。

(´・ω・ `)<ああ、すまんの。そこまで怒られるとは思わんかったけど、日本語でしっくりくるワードが見つからんくての。んーと、「●●を■■して、○○を□□して、ほいで、△△を◆◆して、そうすると▲▲が▼▼になります。」みたいな計画っちゅうか、「詐欺の手口」とか言うやろ。その"手口"が日本語でたぶんいちばん近いワードや。

( ゚д゚)<ほーん。要するに、なんかうまいことやれば、消費税の負担が減らせるっちゅうことか。

(´・ω・ `)<まあ、そういうことや。

( ゚д゚)<おお、そらあええ話やないか。みんなに教えたろうや。

(´・ω・ `)<んー、それはちょっと・・・

( ゚д゚)<ん?あかんのんか?

(´・ω・ `)<ちと問題があっての。まあ、後で分かるわ。それと、説明を単純にしたいから、税率は10%・仕入税額控除は全額控除方式ってことで進めるけーの。

( ゚д゚)<そか。ほいじゃあ、よろしゅう。

(´・ω・ `)<ういー。

 

スキームの説明

例えば、社長のAさん・社員のBさんの2人で経営しているこんな感じ↓の会社(X社)があったとします。

  • 年間の課税売上は3300万円
  • 年間の課税仕入は2200万円
  • Aさん・Bさんの年間給与はどちらも440万円(合計880万円)

[番外5-3]のとおり、給与支払は不課税取引なので、AさんとBさんの給与は仕入税額控除の対象になりません。よって、このときのX社の税引前利益・消費税納付額・消費税引後利益をそれぞれ計算すると、このように↓なります。

f:id:xbtomoki:20211214121710p:plain

さて、ここで

  1. Bさんをいったん解雇して、フリーの個人事業主になってもらう。
  2. フリーになったBさんと「業務委託契約」を結び、年間440万円で業務を発注する。

すると、Bさんに支払う440万が仕入税額控除の対象になるので、税引前利益は変わらず、消費税納付額が40万減り、消費税引後利益が40万増えます。

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このように、仕事の報酬を【給与】ではなく【外注費】として支払うことで、仕入税額控除を増やして、消費税を節税することができます。

これが「消費税の外注化節税スキーム」です。

 

また、「外注化」には、派遣会社を利用する方法もあります。

例えば、上記のX社が業績好調で社員を1名増やすことを決めたとします。

ここで、普通に求人をして、新規社員を雇って、給与を支払った場合は仕入税額控除の対象にはなりません。

そうではなく、派遣社員を雇って、派遣会社に派遣料を支払う場合は仕入税額控除の対象になりますので、これは消費税の節税になります。

( ゚д゚)<ほいだら、人を雇うんやったら外注化せな損やんけ。こらあええこと教えてもろたわ。おかんに教えたろ。

(´・ω・ `)<じゃけん、やめときて。問題があるて言うたじゃろ。

( ゚д゚)<そんなこと言うとったの。何があかんのんじゃ。

 

税務面の問題

まず、税務面での問題があります。

これは派遣会社を利用する方法なら、あまり心配しなくてもいいんですが、業務委託契約に変更する方法では、実態が伴っていない場合、税務署が仕入税額控除を認めないことがあります。

( ゚д゚)<実態が伴ってないって何よ。

(´・ω・ `)<極端なのやと、契約書の表題を「雇用契約書」から「業務委託契約書」に変えただけで、社員のときと全く同じように働いとる場合とかやな。そういうのは「これ、外注費じゃなくて給与ですね。この分を含めずに仕入税額控除を再計算してください。」って言われる。

数年分を遡って再計算を求められる、なんてことになると、修正申告でめんどくさいことになりますし、追徴金も請求されるかもしれません。

なので、もしご利用されるのであれば、税理士さん等に事前にしっかりとご相談されてからにすることをおすすめします。( ゚д゚)<てめえの言うとおりに外注化したらエラい目にあったじゃねえか。と言われても、私は責任は取れませんので、ご了承ください。

 

社員側の問題

次に、このスキームで社員(Bさん)側が得をすることは、ほぼ何もありません。

第一に、労働者としての公的保護を受けられなくなります。

Bさんが労働者であれば、各種の労働関連法等によって保護されるため、Aさんは、そう簡単にBさんを解雇したりすることはできません。ところが、個人事業主派遣社員にそんな保護はありませんので、Aさんは、Bさんを切りたいときに切ることができるようになります。

第二に、BさんがX社以外からも仕事を受ければ別ですが、そうでなければ、Bさんの手取りは社員でいたときより確実に減ります。

社員であれば会社が半額支払ってくれていた社会保険料が全額自己負担になりますし、X社から支払われる440万は消費税法上の課税売上に該当するので、免税事業者でなければ、消費税として40万を課税されます。

 

インボイス制度との関連

ちなみに、前回説明したインボイス制度が始まれば、

  • Bさんが課税事業者になり、消費税40万を納める。
  • Bさんは免税事業者のままで、X社が40万の仕入税額控除を受けられなくなる。

X社とBさんは、この2つの選択肢のうち、どちらかを選ぶことを強制されることになります。

とは言え、Bさんが免税事業者でいることを選んだ場合、X社はBさんとの契約を切って、別の課税事業者に乗り換えることもできますので、実際のところ、Bさんに選択肢はありません。

ほんまクソ。誰が得するんか、これ。

 

会社側の問題

そして、これはあくまで私の主観的な見解に過ぎないかもしれませんが、このスキームは、会社にとっても得をする方法ではないと思います。

もちろん(税務上の問題は置いといて)、外注化をすれば、消費税が節税できて、会社の利益は大きくなります。そこのメリットはたしかにあるんですが・・・

例えば10年後のことを考えたとき、Bさんは、会社だけが得をするような契約を10年間押しつけられています。一方で、おそらく、10年の間にそれなりに立派な技術と経験を身につけていることでしょう。

さて、Bさんは、これから先もX社のために仕事をしてくれるでしょうか。してくれればいいですが、そうでなければ、X社はただ10年間せっせと節税をして、カネを貯めただけです。Bさんが去ってしまえば、そこには何も残りません。今度はCさんを見つけてきて、もう一度イチからやり直しです。

派遣会社を利用する場合は、何も残らないことがはじめから分かっています。

私は、これを「会社にとっても得ではない」と思いますが、そう思わない人もいるかもしれません。捉え方は人それぞれだと思いますが、【このスキームを使うことは、人材の蓄積を半ば放棄するものである】という事実だけはハッキリしています。

( ゚д゚)<ほんほん。たしかに「みんなやらなきゃ損やで」っちゅうもんじゃなさそうやな。

(´・ω・ `)<せやねん。じゃけん、もしこれをやるんやったら、よくよく考えてからの方がええで。

 

雇用への罰金になっている

最後に、「消費税の外注化による節税スキーム」が成り立つ、つまり【外注化によって、消費税が節税できる】ということは、どういうことなのかを考えてみたいと思います。

会社が何らかの「仕事をする」というとき、会社自体には実体がありませんから、実際には「誰かに」または「何かに」その仕事をやってもらわなければなりません。

そのときの選択肢は、

  • 人を雇用してやってもらう。
  • 外部の人に発注する。
  • 機械を購入して、機械にやらせる。

だいたいこの3つです。そして、これらを消費税法上の取引区分で見てみると、こういうこと↓になります。

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要するに、「給与支給を不課税取引に区分する」という現行の消費税の仕組みでは、事業者が3つの選択肢のうち、《雇用》を選ぶと消費税の負担が大きくなります。

これは、消費税が事業者の《雇用》に対する罰金として機能する、つまり《雇用》が[5-5]で言うところの"悪行"になっている、ということです。

もちろん実際には、会社が人員を増やすときには、いろんな要素を総合的に判断します。

「消費税を節税できる」という理由だけで、《雇用》ではなく《外注》を選ぶような短絡的な経営者は、そんなに多くないでしょうから、消費税の雇用に対する罰金機能は、それほど明確には働かないかもしれません。

しかし、少なくとも、経営者が《雇用》と《外注》を天秤にかけたとき、消費税は、それを《外注》の側に傾かせる作用を持っていることは間違いありません。

こんなもんさっさと廃止したらええねん(´・ω・ `)

 

それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

消費税とは直接関係ないので、本編ではちょろっとしか触れませんでしたが、外注化すると、事業者は社会保険料も節税することができます。社会保険料は、「保険料」という名前が付いていますが、[5-6]のとおり、実質は賃金支給と賃金所得を課税対象とする税です。

詳しくはこちらの動画をご覧ください。

www.youtube.com

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

( ゚д゚)<最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!!

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よろしくお願いします!

 

番外5-10.消費税の仕組み【インボイス制度とは】

 

本記事は、MMT解説ではありません。

思うところを[番外]ということで記事にしてみた次第です。

 

当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。 

xbtomoki.hatenablog.com

 

当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

xbtomoki.hatenablog.com

 

本記事における税制の説明はこちらのwebページで公開されているPDFの内容に基づいています。

www.nta.go.jp

 

本記事におけるインボイス制度の説明はこちらのwebページの内容に基づいています。

www.nta.go.jp

 

 

目次 

 

本日のお題

前回までで、これらの説明をしてきました。

( ゚д゚)<ほいだら、お次は何かの。

(´・ω・ `)<まずはこちらの動画をご覧ください。

www.youtube.com

( ゚д゚)<やばそうなのは伝わるんやけど、インボイスって何じゃい。

(´・ω・ `)<山本さんは「インボイス」って言われとるけど、正確にはインボイス制度》やな。

( ゚д゚)<そしたらインボイス制度って何じゃい。

ということで、本日のお題はこちらでいきましょう。

インボイス制度とは何なのか。】
インボイス制度の何がそんなにやばいのか。】

(´・ω・ `)<ほいじゃあ早速いってみよー。

( ゚д゚)<おー。

 

インボイス制度とは

( ゚д゚)<てか、そもそも「インボイス」って何じゃい。

(´・ω・ `)<「インボイス(invoice)」は、英語で「請求書」のことや。

( ゚д゚)<ほいだら「インボイス制度」は、「請求書制度」ってこと?「請求書制度」ってなんやねんなwwwおかしいやろwwww

(´・ω・ `)<たぶん「適格請求書制度」って言いたいんやろうけどな。意味不明な横文字使うくらいなら日本語使えばええのに。まあ、そこをあんまりつっこんでもしゃーないけー、このへんにしとこ。

 

繰り返しになりますが、消費税の納付税額の計算式は、このとおり↓です。

f:id:xbtomoki:20211129100755p:plain

事業者は、この消費税額と仕入税額控除を自分で計算して、自分で申告して、自分で納付します。

( ゚д゚)<ナントカヘイゾーさんみたいやな。

(´・ω・ `)<こっちは自分でやっても何にも得すること無いけどな。

 

インボイス制度の仕組み

事業者が仕入税額控除を申告するには、「当社は●●円の仕入税額控除を受けるための条件を満たしています」という証拠が必要になります。

( ゚д゚)<証拠、と言いますと?

(´・ω・ `)<ざっくり言うと、【請求書】か【領収書】やな。それがあれば「課税仕入をした」っていう証拠になる。

但し、【請求書】または【領収書】であれば何でもいい、というわけではありません。仕入税額控除の証拠として認められるためには、一定の事項が記載されている必要があります。

必要な記載事項は、現行制度ではこの↓とおりです。

  • 発行者の名称
  • 取引の年月日
  • 取引された資産や役務の内容
  • 取引価格
  • 消費税分の相当額
  • 請求書・領収書の宛先

 

そして、インボイス制度が始まると何が変わるかというと、必要な記載事項に新しく《登録番号》が追加されます。

( ゚д゚)<登録?誰が?何に?

(´・ω・ `)<事業者が税務署の課税事業者リストに。

( ゚д゚)<課税事業者って何よ。

(´・ω・ `)<[番外5-6]《免税事業者》の話をしたやろ。

( ゚д゚)<ああ、あの「"免税"じゃ無くて、"非課税"事業者やんけ」ってやつ。 

年間の課税売上高が1000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除されます。この制度は《事業者免税点制度》と言われているそうです。 この制度によって納税義務が免除される事業者を《免税事業者》といい、免除されない普通の事業者を《課税事業者》といいます。

番外5-6.消費税の仕組み【仕入税額控除 その2】 - 国債乱発派のMMT解説

(´・ω・ `)<ほいで、事業者が税務署に「当社を税務署の課税事業者リストに登録してください。」って申請すると、税務署は、その事業者をリストに登録して、事業者に登録番号を通知する。

( ゚д゚)<ほんほん。

(´・ω・ `)<ほいでほいで、その事業者は請求書とか領収書を発行するときに、その通知された登録番号を記載する。発行された側は、登録番号が記載されとるのを見て、「これは仕入税額控除の証拠に使える請求書やな」と判断するわけや。これがインボイス制度や。

( ゚д゚)<ほーん。免税事業者はどうなるん?

(´・ω・ `)<そこや。

( ゚д゚)<ここか。

 

インボイス制度が始まるとどうなるか

登録番号は「課税事業者リスト」への登録番号ですから、免税事業者は、インボイス制度の登録番号申請ができません。よって、免税事業者は、自身が発行する請求書・領収書に登録番号を記載することができません。

つまり、インボイス制度が始まると、免税事業者は、仕入税額控除申告の証拠として使える請求書・領収書を発行することができなくなります。

これは仕入をする側から見ると、【課税事業者からの仕入仕入税額控除を受けられるけれど、免税事業者からの仕入だと仕入税額控除を受けられない。】ということになります。

例えば、ある商品について、課税事業者のA社と免税事業者のB社から見積を取ったときに、どちらの見積も110円だったとします。

f:id:xbtomoki:20211206113145p:plain

 

見積額は同じでも、課税事業者のA社から買うと、110円のうち10円は仕入税額控除として税務署からバックされます。

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ところが、免税事業者のB社から買うと、仕入税額控除によるバックはありません。

f:id:xbtomoki:20211206141934p:plain

(´・ω・ `)<てなことになるわけや。

( ゚д゚)<そしたらA社から買うに決まっとるじゃん・・・ん?ちょい待ち。

(´・ω・ `)<どしたん。

( ゚д゚)<現行やったら、免税事業者からの仕入でも仕入税額控除に使えるん?

(´・ω・ `)<使えるで。「それを使えんようにしよう」ってのがインボイス制度や。

( ゚д゚)<そかそか。じゃあ戻ろうか。(´・ω・ `)<てなことになるわけやってやつ、もっかいやって。

(´・ω・ `)<えっ?

( ゚д゚)<はよ。

(´・ω・ `)・・・てなことになるわけや。

( ゚д゚)<そしたらA社から買うに決まっとるじゃん。B社はどうしたらええんや。

 

B社がA社に対抗するには、

  • 課税事業者になる。
  • 100円に値下げする。

このどちらかを選ばなければなりません。

( ゚д゚)<課税事業者になる?

(´・ω・ `)<「課税売上高が1000万円以下ですけど、課税事業者になります。どうぞ当社に消費税を課税してください。」って申請すると、免税事業者から課税事業者になれるんよ。

( ゚д゚)<んと、てことは、110円で売って10円納税するか、ハナから10円を捨てるか、どっちか選べっちゅうことか。選べっちゅうか、Bからすれば、どっちもおんなじことやな。

(´・ω・ `)<そういうことやな。

( ゚д゚)<えっ、これ、やばくない?これでつぶれる小さい会社とかいっぱい出てきそうな気がするんやけど。

(´・ω・ `)<せやから、山本太郎さんがこう言ってくれとるわけや。

www.youtube.com

 

やり方がキモい

それから、これは私の主観的な問題で、邪推みたいなのも含んでるんですが・・・

免税事業者に課税したいんだったら、シンプルに
(゚⊿゚)<免税点制度の対象を狭くしたい!

って言ってくれよ。いや、そもそも狭くするなよって話なんですが、それはここではいったん置いといて。

どうして
(゚⊿゚)<免税事業者は課税事業者にならないと食っていけないようにルール変更しますね。免税事業者のままで苦しい思いをしたければ、お好きにどうぞ。ああ、でもでも、課税事業者になっても、それはあなたが自分の意思で選んだことですからね。私たちに「消費税しんどい」とか、そーゆー文句言わないでくださいね。

ってなるんですかね。あーもー、キモい。

 

そもそもやり方がキモいのも問題なんですが、これの何が良くないかと言うと、

(゚⊿゚)<免税点制度の対象を狭くしたい!
(´・ω・ `)<そんなんしたら零細事業者がしんどいやんけ!あかんやろ!

これなら第三者の立場で議論を見ている一般国民は、

( ゚д゚)<ぼくは良いと思う!
( ゚д゚)<ぼくは悪いと思う!

と自分たちで議論を発展させることができますが・・・

 

(゚⊿゚)<登録番号という仕組みを導入します!これをインボイス制度と呼びます!
(´・ω・ `)<そんなんしたら零細事業者がしんどいやんけ!あかんやろ!

これだと、

( ゚д゚)<登録番号?インボイス?なんやそれ?
( ゚д゚)<なんでそれと零細事業者が関係あるん?
( ゚д゚)<訳が分からないな。もーええわ。好きにやっといて。

こうなるんですよ。

このやり方は民主主義にとって害悪でしかありません。ほんまキモい。

 

預かり金ではありません

インボイス制度を擁護する意見として、こういうのもあります。

www.youtube.com

 

(゚⊿゚)<免税事業者は消費者から預かった消費税をポケットに入れている!この不公正を正すのは当然だ!

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ここまでの一連の記事を読んでいただいていれば、もはや説明不要かと思いますが、消費税は「消費者が事業者に預けて、事業者が預かり金を納める。」という仕組みではありません。

(´・ω・ `)<レジ袋が有料化されて久しいですが、5円のレジ袋の"本体価格"はいくらでしょう?なお、この事業者は、消費税に関して1円以下の端数は切り捨てで処理しているものとします。

(゚⊿゚)<1円以下は切り捨てなら、そりゃ本体価格は5円だろう。

(´・ω・ `)<てことは、事業者は5円のレジ袋を売るときに消費者から消費税を預からないということですか?

(゚⊿゚)<うん、まあ、そういうことになるな。

(´・ω・ `)<じゃあ、この事業者のお店にお客さんが11人来て、全員が1枚ずつ5円のレジ袋を買いました。レジ袋の売上の合計は55円ですね。さて、この事業者に納めなければならない消費税はいくらでしょう?

(゚⊿゚)・・・5円

(´・ω・ `)<えっ?何?聞こえない。

(゚⊿゚)<5円!5円です!

(´・ω・ `)<おかしいやないか。なんで事業者は1円も預かっとらんのに5円も払わないかんのん。答えは簡単や。消費税は預かり金じゃないからよ。第二法人税なんよ。

[番外5-8]のとおり、取引価格のうちの「消費税分」とは、将来課税される分の"未払金"であって、消費者からの"預かり金"ではありません。また、[番外5-9]のとおり、消費税の本質は、事業者の粗利への課税であり、第二法人税です。

免税事業者とは、「法定の要件を満たしているので、第二法人税を課税されない事業者」です。税を負担する能力が低い者への課税が低く抑えられることには、何の不公正もありません。

また、価格転嫁で消費者に負担が転嫁されることはありますが、それは消費税の本質とは関係ありません。単に「事業者が消費税の税率を価格設定の基準に使った」というだけのことです。

橋下さんには、ぜひ[番外5-1]から本シリーズを読んで勉強していただけたらと思います。

こんなもんさっさと廃止したらええねん(´・ω・ `)

 

それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

最近、衝撃的なことがありまして、それを紹介したいと思います。

 

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(´・ω・ `)<INDEX関数って、こーゆー1列の縦並びデータから抽出するとき、列番号を省略できるやん?

( ゚д゚)<いや、知らんけど。

(´・ω・ `)<せやねん。ほいでな、

( ゚д゚)<せやねんじゃなくて。知らんて。

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(´・ω・ `)<縦並びのときに列番号を省略できるのは知ってたんやけど、関数の説明のところで行番号には[ ]が付いてないから、「行番号は省略できないんや。横並びのデータのときは、行番号のとこに【1,】を入力せないかんのや。」と今まで思ってて、横並びのデータに対してINDEXを使うとき、ぼくはこれまでずっと【1,】を打ってきとってん。ところが、こないだ偶然、それを打ち忘れたんや。

( ゚д゚)<おう。そか。良かったの。

f:id:xbtomoki:20211206103847p:plain

(´・ω・ `)<でもな!そしたらちゃんと動いてん!んでな!いろいろ試してみて、実はINDEX関数って【配列】の引数のところが1行の横並びデータのときに行番号を省略するのもできるってことが分かったんよ!たぶん【配列】の引数に指定したセル範囲のvalueプロパティをいったん配列に格納して処理しとるからやと思うねん!すごくない!?ねえねえ!すごくない!?革命的じゃない!?

( ゚д゚)<そか。良かったの。

(´・ω・ `)<おう!ありがとナス!

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

( ゚д゚)<最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!!

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番外5-9.消費税の仕組み【誰の何への課税なのか】

 

本記事は、MMT解説ではありません。

思うところを[番外]ということで記事にしてみた次第です。

 

当ブログは、こちらの複式簿記を説明した記事を読んでいただいている前提で書いています。未読の方は是非ご一読ください。 

xbtomoki.hatenablog.com

 

当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

xbtomoki.hatenablog.com

 

本記事における税制の説明はこちらのwebページで公開されているPDFの内容に基づいています。

www.nta.go.jp

  

 

目次 

 

本日のお題

前回までで、これらの説明をしてきました。

 

(´・ω・ `)<さて、消費税のシステムの説明ができたところで、次に行こうか。

( ゚д゚)<おう。ほいだらどこから行くんや。

(´・ω・ `)<せやな・・・まずは理念ちゅうか、コンセプト的な所から叩いてみよか。

( ゚д゚)<コンセプト的と言いますと?

(´・ω・ `)<こいつよ↓

(゚⊿゚)<消費税は【消費者の消費】への課税です!

f:id:xbtomoki:20211126124832j:image

 

それでは、本日のお題は

【消費税は誰の何への課税なのか】

ということでやっていきましょう。

(´・ω・ `)<よろしゅうな。

( ゚д゚)<まかしときー。

(´・ω・ `)<ちゃうちゃう、ぼくが教える側よ。

 

消費税は課税対象が見えにくい

消費税は【誰の何】への課税なんでしょうか。いったん消費税以外の税を見てみましょう。

( ゚д゚)<所得税は?
(´・ω・ `)<【個人の所得】への課税やな。

( ゚д゚)<法人税は?
(´・ω・ `)<【企業の利益】への課税。

( ゚д゚)<入湯税は?
(´・ω・ `)<【個人の温泉入浴】への課税。
( ゚д゚)<なんで温泉入ったら課税されるん?

f:id:xbtomoki:20211127100245p:image

(´・ω・ `)<まあ、入湯税の話は今度にしよう。

さて、これらの税は、課税対象が【誰の何】なのか分かりやすいのですが、消費税は【誰の何】への課税なのかが、いまいち分かりにくい性質になっています。

(゚⊿゚)<だから!【消費者の消費】への課税だって言ってるだろ!

( ゚д゚)<じゃあ[番外5-5]のとこやけど、仕入税額控除の計算の計算するときに《課税売上高》とか《課税売上割合》ってあったやん?

(゚⊿゚)<それがどうした。

( ゚д゚)<消費への課税なのに、なんで「課税売上」って言うん?「課税対象である売上」を略して、「課税売上」なんやないの?

(゚⊿゚)<なんだなんだ。「消費じゃなくて売上への課税だと認識しとる証拠じゃないか」とでも言いたいのか。

( ゚д゚)<せやな。話が早いの。

(゚⊿゚)<うふふ。

( ゚д゚)<なにをごまかしとんww

 

ここで、消費税の納付税額の計算式を見返してみましょう。

f:id:xbtomoki:20211129100755p:plain

このうち「消費税額」の部分だけなら、「【事業者の売上】への課税である」ということで分かりやすいのですが、問題は「仕入税額控除」のところです。

「売上への課税から仕入税額控除をしたもの」は、いったい【誰の何】への課税だと呼ぶべきなんでしょうか。

 

安藤説と西田説

安藤裕さんは、「消費税は、事業者の人件費と利益への課税だ。」と言われました。

www.youtube.com

 

西田昌司さんは、「消費税は、事業者の粗利への課税であり、これは第二法人税と呼ぶべきものだ。」と言われました。

www.youtube.com

 

実は、おふたりが言われていることは、コアの部分は同じことで、つまりこういうことです。

( ゚д゚)<ああ、ちょいちょい。ちょい待ち。

(´・ω・ `)<なんじゃー、すずさん。

( ゚д゚)<「すずさん」は2018年7月期のTBS日曜劇場枠(夜9時〜10時)で放送されたテレビドラマ『この世界の片隅に』の主人公の北條すずのことで、「なんじゃー、すずさん」は北條すずの夫の北條周作の口グセ「なんじゃー」に、それだけじゃ分かりにくかろうということで「すずさん」をくっつけたものです。ちなみに、劇中で北條周作はことあるごとに「なんじゃー」とつぶやきますが、「なんじゃー、すずさん」と言うことはほとんど無かったと思います。

(´・ω・ `)<そか。で?

( ゚д゚)<「粗利」ってなんじゃー。

(´・ω・ `)<ああ、せやの。先にそのへんの説明をした方がええの。

 

費用・収益・利益の分類

会計の世界では、費用と収益を次のように分類します。

f:id:xbtomoki:20211129154947p:plain

( ゚д゚)<給与は原価?販管費?どっち?

(´・ω・ `)<基本は販管費やな。でも、製造業とかやと、工場で働いてる人の分は原価で、事務職の人の分は販管費にすることが多いと思う。とはいえ「必ずこうしなさい」っていう決まりがあるわけちゃうよ。ただ、安藤さん・西田さんは「給与は全部販管費」っちゅうイメージで話してあるみたいやな。

そして、これらに従い、利益も次のように分類します。

f:id:xbtomoki:20211129163344p:plain

 

損益計算書》(P/L)は、以上の分類ごとの金額をひとまとめに示す形式になっています。

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( ゚д゚)<ほんほん。おけ。ほいだら戻ろか。安藤さんは「事業者の人件費と利益への課税や。」って言ってて、西田さんは「事業者の粗利への課税や。これは第二法人税なんや。」って言うてはったんやな。

(´・ω・ `)<うい。ちな、安藤さんの言われとる「利益」は「税引前利益」のことやで。

 

西田説の説明

いつもの設例【110円で仕入れて、165円で売る(税率は10%)】を使いましょう。消費税額が15円で、仕入税額控除が10円なので、消費税の納付税額は5円、ということになります。事業者の利益は50円です。

f:id:xbtomoki:20211129111519p:plain

(´・ω・ `)<さて、それでは事業者の粗利はいくら?

( ゚д゚)<165-110=55円やろ。

(´・ω・ `)<その55円を↓の「取引価格」のところに当てはめたら消費税額はいくら?

f:id:xbtomoki:20211129112136p:plain

( ゚д゚)<55×(10%/110%)=55/11=5円になったの。おんなじやな。

(´・ω・ `)<せやねん。「消費税額から仕入税額控除を引いた額」と、「粗利で消費税額を計算した額」は同じになるんよ。

( ゚д゚)<ほんほん・・・てか、そらそうやろ。
ac-bc=(a-b)cなんやし。

(´・ω・ `)<えっ?

( ゚д゚)<えっ?間違っとる?

(´・ω・ `)<いや、合っとるけど、きみが急に因数分解するからびっくりしたんや。

( ゚д゚)<ぼくかて因数分解くらいするがな。なめとんか。

(´・ω・ `)<そか、すまんかったの。

 

安藤説の説明

安藤さんの「人件費と利益への課税」というのも同じことです。

上の設例に「事業者が20円の給与を支払った」という事実を付け足します。

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[番外5-3]のとおり、給与支給は《不課税取引》なので、事業者が20円の給与を支給しても仕入税額控除は増えませんから、消費税の納付税額は、5円のままです。よって、事業者の利益は、50円から20円だけ減って30円となります。

(´・ω・ `)<さて、それでは人件費はいくら?

( ゚д゚)<20円やろ。

(´・ω・ `)<消費税を納付する前の税引前利益はいくら?

( ゚д゚)<165-110-20=35円じゃ。

(´・ω・ `)<2つを足したら?

( ゚д゚)<55円。粗利とおんなじになったの。

営業外収益・営業外費用・特別利益・特別損失を無視して、販管費=給与(人件費)とすると、【粗利から販管費を引いたものが税引前利益】になりますから、

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ということで、「粗利」と「人件費+税引前利益」は同じになります。そして粗利で消費税を計算できるのは、先ほど示したとおりです。

 

ということで、【消費税は誰の何への課税なのか】に対するいちばん適当な答えは、安藤さん・西田さんの言われる「消費税は事業者の粗利(人件費+利益)への課税である。」なんじゃないかと、私は考えます。

もちろん細かいことを言えば、不課税取引に区分される売上原価だってありますし、完全に正確ではない部分もあります。

ですが、95%くらいは合ってると思いますし、表現の簡潔さ・正確さ・分かりやすさのバランスを考慮すると、これがベストなんじゃないでしょうか。

 

西田説の「第二法人税」とは

( ゚д゚)<西田さんの「第二法人税と呼ぶべき」ってのは、どういうことなん?

(´・ω・ `)<それはな、法人税の計算方法が前提知識になってくるんやけど、まずそこから説明してええか?

( ゚д゚)<ういー。

法人税の計算式は、こう↓です。

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《益金》は収益と、《損金》は費用と、だいたいイコールです。益金から損金を引いたものを《所得》(利益のこと)と言います。所得に税率を掛けて、法人税の納付税額が決まります。

 

法人税計算の具体的な手順は、次のとおりです。

  1. 日々仕訳を蓄積して、決算を行う。
  2. 仕訳を【益金・損金・対象外】の3区分に分ける。
  3. 益金・損金のそれぞれの合計を出す。
  4. 益金から損金を引いて所得を算出し、税率を掛けて、納付税額を出す。

なお、この手順は原則的なもので、実務ではもっと効率的な手早く処理できる手順を使います。

 

続いて、消費税を粗利に税率を掛けて計算する場合の手順も見てみましょう。

  1. 日々仕訳を蓄積して、決算を行う。
  2. 仕訳を【不課税売上・非課税益金・・・10%課税仕入】の10区分に分ける。
  3. 各区分のそれぞれの合計を出す。
  4. 課税売上から課税仕入を引いて粗利を算出し、税率/(100%+税率)を掛けて、納付税額を出す。

いままで見てきたとおり、実際の手順はもっと複雑ですが、「だいたいどんな要領で計算をするか」というぐらいの感じだと、こんなもんじゃないかと思います。

(´・ω・ `)<「益金」が「課税売上」に、「損金」が「課税仕入」になっただけで、やっとることは一緒じゃろ。

( ゚д゚)<一緒やな。

(´・ω・ `)<せやから、【消費税は、少し見方を変えれば、益金・損金の該当基準が元祖法人税とちょっと違うだけの、いわば「第二法人税」や。】てなことになるわけよ。

だから、税込経理方式にして、損益計算書の最後のところをこう↓書くようにすればいいんですよ。そしたら消費税ってのがいったい何なのか、こんなに長々と説明しなくてもスッと分かるようになる。

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なんで2回取るんか。こんなもんさっさと廃止したらええねん(´・ω・ `)

 

それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

法人税法についての私見を少々・・・

本編で「《益金》は収益と、《損金》は費用と、だいたいイコールです。」と言いました。"だいたいイコール"ということは、「完全にはイコールじゃない」ということです。

法人税法上の【益金・損金】と企業会計上の【収益・費用】は、完全にイコールなわけではなく、ある取引が、法人税法上の【益金・損金】には該当しないけれど、企業会計上は【収益・費用】として計上されているということがあり得ます。その逆(益金・損金に該当するけど、収益・費用に計上されていない)もあります。

( ゚д゚)<例えば?

(´・ω・ `)<例えば…年度の途中で、業績好調やったけー、社長が100万円の臨時ボーナスを会社から受け取ったとする。この100万円は、企業会計上は費用として計上されるけど、法人税法上の損金としては認められへん。

( ゚д゚)<なんでよ。そんなんどう見ても費用じゃん。

(´・ω・ `)<これがアリやと、企業はいくらでも好きなときに損金を作れて法人税が取れなくなるから。

( ゚д゚)<ああ、いかに取るかしか考えとらんのね。でも、社長の所得税は発生しますやん。損金で認めんと二重課税にならへん?

(´・ω・ `)<それはおっしゃるとおりなんやけど、あんまりつっこんどるとキリが無いけー、このへんにしとこ。とりあえず、【損金≡費用、益金≡収益】ではないねん。

( ゚д゚)<ほんほん。

ですが、決算の後から全部の仕訳を益金・損金に区分し直すのはたいへんです。そこで、実務では、

  1. とりあえず法人税法は無視して企業会計をして、決算まで終わらせる。
  2. いったん損金=費用、益金=収益とする。
  3. 企業会計で費用・収益に計上してないけど、損金・益金にカウントするものを損金・益金にプラスして、その逆パターンのものを損金・益金からマイナスする。
  4. 企業会計上の費用・収益と法人税法上の損金・益金が一致している部分はそのままにする。
  5. (益金ー損金)に税率を掛けて、法人税額を出す。

という手順で処理しています。

( ゚д゚)<だいたいはイコールじゃけー、イコールじゃないところだけ調整するってことか。

(´・ω・ `)<そんな感じや。で、こういうことに一応なっとんじゃけどな・・・

( ゚д゚)<どしたん。

(´・ω・ `)<「とりあえず法人税法は無視」なんか実際にはできひんのよ。

( ゚д゚)<あれ?そうなん?

(´・ω・ `)<例えば、さっきの社長さんのボーナスの件とか、損金として認められへんことが分かっとるのに、それをわざわざ出す会社なんかないやろ。

( ゚д゚)<そらそうやな。そしたら、「損金で認めません。」ってのが、実質的には「社長に臨時ボーナス出すの禁止な。」になっとるわけか。

(´・ω・ `)<せやねん。それにプラスしたりマイナスしたりの作業もめんどくさいから、非上場の中小企業とかは「それやったら最初から法人税法に合わせて会計処理しとこうや」っていうところが大半や。

( ゚д゚)<ほいだら無視どころかガン縛りされとるがな。

(´・ω・ `)<ぼくが特に問題やと思うんは、退職給与と修繕費の引当金の損金算入を認めとらんとこや。あれのために訳の分からん保険に入ったり、航空機リースしたり、節税のためにカネをドブに捨てとる会社はたくさんあると思うで。「全損保険はけしからん!」とか言うんやったら退職給与引当金繰入を損金算入に戻せっちゅうねん。

( ゚д゚)・・・?

(´・ω・ `)<おお、すまんの。ひとり言じゃ。まあ、こんなもんにしとこかの。

( ゚д゚)<ういー。

 

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

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番外5-8.消費税の仕組み【税抜経理のカラクリ】

 

本記事は、MMT解説ではありません。

思うところを[番外]ということで記事にしてみた次第です。

 

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当ブログの中で「B払い」という用語を使うことがあります。これは私の造語なので、ググってもd払いが出てくるだけです。ただ、使わせてもらわないと不便極まりないので、普通に使います。

こちらの記事で"B払い"って何かを説明していますので、記事途中で「B払いって何やねんな☹️」ってなったらご覧ください。

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目次 

 

本日のお題

前回までで、これらの説明をしてきました。

 

前回のあらすじ

こういう↓取引を

f:id:xbtomoki:20211116102913p:plain

 

税込経理方式で処理すると、こう↓なります。

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税抜経理方式だと、こう↓なります。

f:id:xbtomoki:20211116144042p:plain

 

税抜経理方式とは、箇条書きにすると、こういう↓手順です。

  1. 期中に、仕入・販売のたびに、それを"本体"分と消費税の価格転嫁分に分けて、価格転嫁分を「仮払消費税(資産)」「仮受消費税(負債)」で計上する。
  2. 決算のときに、仮払消費税と仮受消費税を相殺して、余った残高を「未払消費税(負債)」に振り替える。
  3. 別途、[番外5-6]までで解説した手順で消費税計算をする。
  4. 消費税計算の結果と未払消費税の残高が一致しなかったら、雑損失または雑収入を立てて、未払消費税の残高を消費税計算の結果に一致させる。
  5. 消費税を納付して、未払を清算する。

 

( ゚д゚)<で、税抜経理ってのは、いったい何がしたいんや。

(´・ω・ `)<要するに、こういうことが言いたいねん。

(゚⊿゚)<消費税は消費者が負担するものです!
(゚⊿゚)<事業者はそれを一時的に預かるだけです!
(゚⊿゚)<消費税が事業者の費用・収益には影響していないのが何よりの証拠です!

( ゚д゚)<くだらん狙いのためにごちゃごちゃさせとるんは分かったけど、実際、税抜経理にしたら消費税が費用として出てこんようになるのはたしかなわけじゃん。これ、なんでなん。

(´・ω・ `)<不思議じゃろ。まあ、そのへんは次回にしよか。

( ゚д゚)<ういー。

 

お題

それでは、【なぜ税抜経理方式では消費税が費用として出てこないのか】ということで、やっていきましょう。

(´・ω・ `)<よろしゅうな。

( ゚д゚)<まかしときー。

(´・ω・ `)<ちゃうちゃう、ぼくが教える側よ。

( ゚д゚)<やっぱこっちのがしっくり来るな。

(´・ω・ `)<んー、まあ、たしかにそやな。

 

税抜経理のカラク

財務省プロパガンダに乗せられて「消費税は事業者にとって預かり金だから、事業者の費用・収益には影響しない」と言われる方がしばしばいらっしゃいます。

彼らのイメージは、おそらく、この↓仕訳なんでしょう。彼らが簿記を理解しているかどうかは知りませんが。

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(゚⊿゚)<ほれ、消費税は預かり金だから負債として計上されていて、費用なんかどこにも無いだろう。消費税は事業者にとって費用じゃないからだよ。

たしかに税抜経理方式だと消費税は費用として出てきません。

( ゚д゚)<これ、なんでなん。

なぜかと言いますと、消費税を【費用】ではなく、【マイナスの売上】として計上して、元の売上と相殺しているからなんです。

( ゚д゚)<と言いますと?

(´・ω・ `)<これだけじゃ分からんわな。順序だてて説明していくで。

 

なぜかこうなります

そもそも、[番外5-2][番外5-4]のとおり、"対価の額"とか、"本体価格"とか、"税抜価格"なんてものは、政府が想定した架空の概念で、実在するものではありません。

事業者と消費者の間に存在する取引事実は、「事業者が165円で売り、消費者が165円で買った。」これだけです。

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そして、この事実を仕訳で表すと、こう↓なります。

f:id:xbtomoki:20211117172024p:plain

 

これが税抜経理だと、なぜかこう↓なります。

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(´・ω・ `)<不思議じゃろ。

( ゚д゚)<不思議やな。なんでこうなるん。

(´・ω・ `)<ほいじゃあ、タネ明かしや。ちょっと簿記に慣れてない人には分かりにくいかもしれんけど、勘弁したってくださいな。

 

税抜経理のタネ明かし

スタートはこの↓仕訳です。

f:id:xbtomoki:20211117174722p:plain

 

ここで仕入・販売のたびにチマチマ消費税を計上するというルールを追加します。すると、元の仕訳に消費税計上の仕訳が追加されます。

f:id:xbtomoki:20211117174927p:plain

 

ここに租税公課(費用)を売上高(収益)のマイナスに振り替える仕訳と、未払消費税を仮受消費税に振り替える仕訳を追加します。

f:id:xbtomoki:20211117174610p:plain

 

租税公課と未払消費税が貸借両方にあるので相殺して、売上高も15円だけ相殺して、整理します。

f:id:xbtomoki:20211118171312p:plain

 

預金を150円と15円に分けます。

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以上、税抜経理の仕訳が出来上がりました。

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( ゚д゚)<途中の段階めっちゃあるな。

(´・ω・ `)<せやろ。ほいで、できあがった最後の仕訳だけを見せる。要するに、まず思考停止させるじゃろ。続いてすかさず、ごちゃごちゃした部分を全部すっとばして、見せたい所だけをバーンと見せつける。トドメに「これが真実です!」と刷り込むわけや。

( ゚д゚)<詐欺師みたいやな。

(´・ω・ `)<ほんまやで。まあその話は前回やったから、もう置いとこう。まとめるで。

( ゚д゚)<うい。

(´・ω・ `)<税抜経理ってのは、この↓仕訳からスタートして、

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  • 販売(仕入)のたびに消費税分を計上するルールを追加
  • 費用をマイナスの売上に振り替える
  • 未払金を仮受金の名目に変更

(´・ω・ `)<以上をトッピングして、相殺できるところをできるだけ相殺して、整理する。そうすると税抜経理の仕訳が出来上がるわけよ。

( ゚д゚)<ほんほん。I have a three questions.

(´・ω・ `)<はいはい、3つね。

( ゚д゚)<ハイは1回でええちゅうとるじゃろが。

 

チマチマ計上するのってこれがしたいだけなんか?

( ゚д゚)<前回聞いた、「期中に仕入・販売のたびにチマチマチマチマ消費税分を計上する意味」って、結局これがしたいっていう、それだけ?

(´・ω・ `)<消費税負担がいくらになるかを決算時にまとめて計上するんじゃなくて、「ざっくりかもしれんけど、リアルタイムで日々把握しておこう」っていう話なら、まあ分からんではない。けど、そんなら、こうやって↓消費税の費用計上の仕訳を追加するだけでええはずやねん。

f:id:xbtomoki:20211117174927p:plain

 

(´・ω・ `)<なのに、そこからわざわざ2つの仕訳をこんないじくりまわして、費用は消して、未払金を預かり金に名前を変えるとか、日々把握とは全然関係ないことをしとるってことは、財務省さんの意図は、「日々把握しよう」っていうことではないんとちゃうかなあ。

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消費税はマイナスの売上って言っとるわけか?

( ゚д゚)<費用をマイナスの売上に振り替えるってことは、「消費税は費用じゃありません。マイナスの売上です。」って言っとるわけか?

(`・ω・´)<いえすざっつらいと!

( ゚д゚)<で、消費税をマイナスの売上として、元の売上と相殺しとるから、見かけ上は消えてる風になっとるわけか?

(`・ω・´)<いえすざっつらいと!

( ゚д゚)<じゃあ、(゚⊿゚)<ほれ、費用なんかどこにも無いだろう。って、無いんじゃなくて、見えなくなっとるだけなんか?

(`・ω・´)<いえすざっつらいと!

 

未払金を預かり金って呼んどるだけか?

( ゚д゚)<あの(゚⊿゚)<消費税は預かり金だから負債として計上されていて~って、将来課税されて納付することが決まっとる分の「未払金」のことを「預かり金」って呼んどるだけってこと?

(´・ω・ `)<せやで。

( ゚д゚)<子どものお年玉とりあげた親が「預かってるだけ」って言うみたいなもんか。

(´・ω・ `)<んー、まあ、だいたいそんな感じや。

( ゚д゚)<でも、そんなコロコロ呼び方変えたりしてええんか?

(´・ω・ `)<ダメではないよ。勘定科目に何て名前を付けるかは自由じゃけーの。

( ゚д゚)<ほんほん。

(´・ω・ `)<ただ、負債を資産として計上するとかはよろしくないで。勘定科目の区分(資産・負債・費用・収益)、これは厳密にせんとあかん。「昨日は預かり金を負債として計上してたけど、今日は資産として計上することにしよう。」とかやってたら簿記が成り立たへん。

( ゚д゚)<あれ?じゃあさ、もいっこ聞きたいねんけど。

(´・ω・ `)<おう。ばっちこいこい。

 

費用をマイナスの売上にしてええんか?

( ゚д゚)<きみ、「負債を資産として計上するとかはよろしくないで。」て言うたけど、消費税を費用じゃなくてマイナスの売上ってことにするのはええんか?

(´・ω・ `)<んとな、一応それでも帳尻は合うんよ。合うんやけど・・・相当アクロバットっていうか、素人考えっていうか・・・そんなんやりだしたら、費用と収益に分けて、さらにそれらを細かい勘定科目に分けたりする意味が無くなんねん。

( ゚д゚)<ほんほん。

(´・ω・ `)<ぼくもはじめて簿記の入門テキスト読んだときに「『これは費用の消耗品費で、これは費用の旅費で、これは収益の売上で・・・』とか分けんでも、全部『損益』にしちゃって、それの『増えた減った』だけ記録すればいいんじゃね?」とか考えたわ。

( ゚д゚)<ほーん・・・でも、それじゃあかんのんか?

(´・ω・ `)<完全な素人考えってやつやな。

( ゚д゚)<言うやないか。ほいだら、細かい勘定科目に分ける意味って何よ。

(´・ω・ `)<そりゃ費用・収益の内訳を明らかにするためよ。何にいくらかかったのか、例えば赤字になったときに、外注費が多かったのか、それとも売上が足りなかったのかとか、そういうことや。それを全部「損益」にしてしまったら、赤字か黒字か、それだけしか分からんようになってまう。

( ゚д゚)<ほんほん。

(´・ω・ `)<逆に言うと、わざとそういうことをして、消費税がいつどこでいくら課税されたのか分からんようにすることもできるわけで、税抜経理の狙いはまさにそこにあるわけやな。

( ゚д゚)<ほーん。

 

次回予告

(´・ω・ `)<おつかれさん。これにて消費税のシステムの説明は終了や。

( ゚д゚)<ほいだら、次からはツッコミ編か?

(´・ω・ `)<おう。お楽しみにの。

こんなもんさっさと廃止したらええねん(´・ω・ `)

 

それでは本日ここまで。

 

 

おまけ

ちょっと独り言を・・・

 

さて、岸田さんは、河野さんよりはマシなだけで、結局はクソだったことがだいぶ明らかになってきましたね。

家計簿脳なのは分かっちゃあいましたが、たかだか2兆円で何をゴニョゴニョモチョモチョやっとんのか(´・ω・ `)

 

かと言って、立憲も共産も国民も「緊縮が足りない!」とか言ってるし、維新も「文通費ガー」とかキャッキャしだして、そしたら自民から立憲から、それを正すどころか乗っかってるし。

動物園かっちゅうの(´・ω・ `)

 

テレビでは朝から晩まで「クニノシャッキンガー。コレゼイキンデスカラネ。」を繰り返してて、しかもそれを言ってるのが平熱のおじさんとかの芸人枠の人だけじゃなくて、"上級解説員"とかの肩書きだったりして。

と思ったら、ときどきその平熱のおじさんがそこの席に座ってたりして(´・ω・ `)

 

いや、改めて見ると絶望的ですねwwwww

 

でも私は諦めませんよ。

メシ食ってクソして寝るために生きてるわけじゃないんでね。

 

 

 

日本人は本当はもっと豊かになれます。そのためにはもっと多くの人々が貨幣と経済の仕組みを理解しなければなりません。

私たちが、そして次世代の子供たちが、貧困に怯えずに暮らせる日本を目指しましょう。

 

( ゚д゚)<最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!!

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